えっ転移? 子宮頸がん術後に襲いかかる後遺症リスクのお話

コクリコ 編集者
更新日:2019-10-19 09:16
投稿日:2019-08-20 06:00

6枚の書類…めっちゃ出てきた「転移」話

 人けのない病院で入院手続きを終え、スーツケースの荷をほどいて私だけの“城”を築いていると母が到着。母と2人揃って、執刀医のT先生からの説明を受けます。

 これまでも一度、説明は受けていましたが、改めて術式の説明、術中に起こり得るリスク、術後の後遺症についての説明を伺い、同意書にサインをしなくてはなりません。

 診断名は子宮頸部腺がん。ステージは1B1期の疑い。腫瘍は18㎜――。

 予定術式はリンパ節郭清を伴う広汎子宮全摘術、両側子宮付属器摘出術。骨盤内のリンパ節、卵巣、卵管、子宮全体、基靭帯(きじんたい=子宮を支えている靭帯)、腟の上部2~3㎝、腹水を摘出します。

 書類を見ているだけで倒れそうです。取る部分多いな……。

卵巣の温存は困難

「画像診断では卵巣やリンパ節への転移はないと思われるけど、腺がん(飛ぶタイプのがん)は悪性度が高く、がんのサイズが1㎝未満でも転移をしていることがあるんだ。なので、術中に簡易的な病理検査をしてリンパ転移がないかを調べ、リンパ節を取る範囲を決めます。リンパ転移が見つかったら、へそ上よりもっと切ってリンパ節を取ることになります。卵巣の温存も難しい」とT先生。

 説明をしながらT先生が赤ペンで示した書類には「45歳以下の若年者で卵巣温存を考慮することがあります。しかし卵巣転移の可能性は100%ではありませんし、卵巣に転移があった場合、ほとんどの場合は根治は不可能です」とあります。怖い……ここにきて急に転移の話がめっちゃ出てきた……。

 正式な病理検査は術後ですが、術中にもやるんですね。そして股からへそ上まで15㎝を切る予定なんですね。傷口、大きいな……。

 術中に考えられるリスクとしては、大量出血(特に子宮は出血しやすい)による輸血、肺血栓塞栓症、脳合併症、肺合併症、感染症、腸管損傷、尿管損傷、など。

 そして、予想される術後の後遺症は、排尿障害、尿失禁、リンパ浮腫、リンパ嚢胞、卵巣摘出による更年期障害、術後腸閉塞など。膣からの分泌物はなくなり、膣も切除するため、性交障害が起きたり、排便障害が起きることもあります。そして人工的に閉経となります。

 説明文書はびっしり文字で埋め尽くされ6枚にも及びます。

コクリコ
記事一覧
編集者
実用書の編集者(社畜)。アラフォー未婚のがんサバイバー2年生(進級しました!)。2018年、子宮頸がんにて広汎子宮全摘出術を受ける。現在ホルモン補充療法をしながら経過観察中。SNSをパトロールするのが趣味。“Twitter探偵”とも呼ばれる。でも幸せになりたい。

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


「女人禁制」の読みは「にょにんきんせい」とは限らない?
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「女ことば」では、女性にまつわる漢字や熟語、表現、地...
「明日は何時?」親の老いをLINEでも実感…切ないけれど受け入れる!
 人間誰しもいつかは老いがやってくるものです。ただ、これまでたくさんの愛情と安心を与えてくれた絶対的な存在の「親の老い」...
アラフォーが若者とのカラオケで失敗しない方法3つ 10年前の選曲はあり?
 職場での飲み会後、二次会としてよくあるのがカラオケ。アラフォーともなると、若〜い後輩を引き連れてカラオケに行くこともあ...
「スナック常連客に嫌われるNG行為」初めての店ではマジ注意して!
 いわゆる夜のお店というのは、「大人の社交場」と言われることがあります。昔からなんとなく納得してはいたんですけど、最近や...
キィー!羨ましい! 実はめらめらとママ友に嫉妬している6つの瞬間
 子どもがいると切っても切れない仲になるのが、ママ友。母として生きている女同士、話が盛り上がりますよね。その一方で、近い...
美しすぎる方向転換…国宝級“たまたま”にどこまでもついて行きます
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
夏に日持ちする切り花オススメ7選、家庭で簡単にできる“延命対策”7カ条
 神奈川の片田舎にある猫店長「さぶ」率いる我がお花屋。夏の暑い昼間の来客はめっきり減りますが、夕方の若干涼しい時間帯にな...
人間の決断回数は1日35,000回! 悩ましい「決断疲れ」の最終兵器は猫?
「今日のランチはどこに行こうかな?」「仕事も疲れてきたし、カフェにコーヒーでも買いに行こうかな? それとももう一踏ん張り...
【調香師直伝】汗かいても“爽やかフェロモン女子”!夏の疲れを癒す簡単手作りデオドラントスプレーも紹介
 汗をかく行為はフェロモン放出にとって重要ですが、汗自体のにおいがよくないとフェロモンを上手に活かせません。  本...
育休明けのモヤモヤがしんどい。先輩ママの体験談から紐解く3つの解決法
 育休明けのママたちは、職場復帰するにあたって多くのモヤモヤを感じているようです。子供と仕事と生活の間で、ベストな答えを...
透明ボードの下から失礼しますよ♡ 不思議&かわいい空飛ぶ“たまたま”
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
未来のような街の先に…
 未来のような街は、まるで先の見えないトンネルのよう。  その先にあるものは明るいものであってほしい。
ほっこり癒し漫画/第77回「もふもふサマー」
【連載第77回】  ベストセラー『ねことじいちゃん』の作者が描く話題作が、「コクハク」に登場! 「しっぽのお...
【難解女ことば】蒲魚、何て読む? 予測変換出てこない…
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「女ことば」では、女性にまつわる漢字や熟語、表現、地...
8年前に“ゆるFIRE”した男 新NISAより確実なリターンは自分への投資
 コミックや書籍など数々の表紙デザインを手がけてきた元・装丁デザイナーの山口明さん(64)。多忙な現役時代を経て、56歳...
母親は夢を諦めなきゃダメですか?夫を「支えてあげて」の言葉が悔しい
 かつて漫画家を目指していた夫婦の絵里奈と拓郎。双子の子供ができたことを機に、夢を諦め堅気の生活をしている。  夜...