中年のニラが歯に挟まる問題。口内インフラも老朽化するのだ。治療は保険治療か、それとも自費か

小林久乃 コラムニスト・編集者
更新日:2025-04-30 12:02
投稿日:2025-04-30 06:00

月に一度のメディカルチェック

 ニラ事件以来、デンタルケアを考えるようになった。口内の細菌が増えるという起床後は『コンクール』でうがい消毒をして、1日2回ペースだった歯磨きを、起床後と朝昼夕食後と、1日4回に回数を増やした。就寝前は(忘れていなければ)、フロスケアも行う。

 これらのホームケアに加えて、月に一回、歯医者でチェックを受けるようにした。たまたま徒歩圏内に友人の家族が歯科医を開業していたので、お世話になることを決めたのだ。医院では歯科衛生士さんによるクリーニング、歯のチェックやケア、普段はやりづらい奥歯もきっちりフロスケアをしてもらう。もちろん医師による診察もある。

「僕は歯の訪問治療もしているんですけどね、歯は本当に大事なんですよ。口内を見たらその人の健康状態もだいたい分かりますもん。人間、自分で噛んで栄養を吸収できなくなったら終わりですからね」

 医師の話を聞きながら「よーし、私は完璧!」と、満足していたけれど、歯と歯の隙間は口内インフラ崩壊の序章にすぎなかった。

保険治療か、それとも自費か

 体の節々といった分かりやすい部位は、劣化に気づくとすぐに治療をするけれど、歯はなかなか自分で気づかない。が、40代中盤を過ぎたあたりから、銀の詰め物が次々に取れていく…といった事件が起きるようになる。これは口内で何かが起きていると気づく。

 当初は固い食べ物を咀嚼していた際に「ゴキっ」と、銀歯を噛んだ音で「あ、外れた」と一瞬、ドキリ。いつ装着したのか記憶にない銀歯だ。ひょっとしたら中学生くらいにつけたかもしれない。それでもまた付け直せばいいと、外れた詰め物を歯医者に持ち込む。

「これはもうだいぶ古くなっていますし、歯に合わなくなっているんですよ。新しい銀歯を作るか、もしくは保険適用の新しい詰め物を作る。あとは保険適用外の治療もありますね」

 奥歯にセラミックで高額治療をするのは、腑に落ちず、もちろん財布も納得しなかったので新しい詰め物を作ることにした。私の口内インフラは気づかぬうちにだいぶ老朽化していたらしく、他の4カ所も治療が必要になった。歯間の隙間、詰め物劣化、次に押し寄せてくる口内事件はなんだろう。

 よく40代になってから高額な費用をかけて、歯列矯正をすると聞く。今まで明確な理由がわからなかった。芸能人でもあるまい、歯が命ではないのだからと聞き流していたけれど、おばさんになった私にとっては切実な課題であると身に沁みる。これからどれほど歯に金がかかるのだろうかと思いを巡らせながら、そして頑張って働いて費用を稼ごうと、今日もPC前でひたすら文章を打つ。

小林久乃
記事一覧
コラムニスト・編集者
出版社勤務後、独立。2019年「結婚してもしなくてもうるわしきかな人生」にてデビュー。最新刊はドラマオタクの知識を活かした「ベスト・オブ・平成ドラマ!」(青春出版社刊)。現在はエッセイ、コラムの執筆、各メディアの構成と編集、プロモーション業が主な仕事。正々堂々の独身。最新情報は公式HP

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


この縄張りは渡さにゃい! 仁義なき“にゃんたま”抗争勃発中
 今回は、にゃんたま同士の決闘シーン。  きょうこそは、この縄張り問題に決着をつけにゃいと!  目を逸らさず...
別居、DV、酒浸り…IT起業家の暗黒面あるある“7つの習慣”
 起業家――。華々しい響きを放ち、西麻布、六本木、恵比寿、銀座など煌びやかな繁華街でシャンパンをたしなみ、有名女優との交...
真夜中に突然の大量出血で119番、緊急搬送され人生初のERへ
 私は42歳で子宮頸部腺がんステージ1Bを宣告された未婚女性、がんサバイバー1年生です。がん告知はひとりで受けました。誰...
ハッシュタグは“いいね”を超える? 承認欲求の先にあるもの
 SNSで昨年あたりから、ハッシュタグの新しい使いかたに脚光が集まりつつあります。ハッシュタグとは冒頭に「#」をつけた言...
こにゃんたま君のパパ「タンク君」のご立派“にゃんたま”
 きょうのにゃんたまは、先日ご紹介した「こにゃんたま君」(奥に写る子猫)のパパです!  その名も「タンク」君! ...
悲劇はもう二度と…園児の外遊びの大切さと保育士さんの努力
 保育園の子どもたちや働く保育士さんにとって、あまりに悲しい出来事が続いています。園児2人が亡くなった大津市の事故のショ...
ゴロンゴロン♪ “にゃんたま”流ストレス解消法でリラックス
 気が付くとストレスで、体が緊張状態になっていませんか?  きょうは、体の力を意識的に抜いてコロコロしてみる、にゃ...
毎朝のお弁当作り 「苦痛→楽しい」に変える4つのコツ!
 手作りのお弁当って子どもの頃はもちろん、大人になっても嬉しいものですよね。でも、作る側はいつも大変!うんざりして、苦痛...
「SNSイタい女」とは呼ばせない オトナ女子のインスタ技3選
 InstagramをはじめとしたSNSは、今や日常生活に欠かせないコミュニケーションツールになりました。少し前までは、...
「え、悪性って…」病院を出たら子宮頸がん患者になっていた
 私は42歳で子宮頸部腺がんステージ1Bを宣告された未婚女性、がんサバイバー1年生です。がん告知はひとりで受けました。誰...
三崎港で“にゃんたま”発見! おすすめマグロ店をご案内?
 神奈川県・三浦半島にある三崎漁港。  全国有数のマグロの水揚量を誇る漁港近くで、にゃんたま発見です。  多...
怠惰な人にこそ効く!「やる気が出ない」を解消する3STEP
 どうしてもやる気が出ない時ってありますよね。脳科学を利用した「やる気を出す方法」がネットに多々転がっているものの、それ...
京都・伏見稲荷大社で発見 神のオーラ感じる白“にゃんたま”
 朱色の鳥居と、白いキツネがシンボルの神社。  京都・伏見稲荷大社で、白いにゃんたまωに出逢いました。  鳥...
先生どうして辞めちゃうの? 保育士さんが一斉退職する理由
 保育園で問題になっている保育士さんの一斉退職。子供たちだけでなく保護者の心にも傷を負わせかねない問題ですが、なぜこんな...
私は、子宮頸部腺がんステージ1Bを宣告された未婚女性です。
 私は42歳で子宮頸部腺がんステージ1Bを宣告された未婚女性、がんサバイバー1年生です。がん告知はひとりで受けました。私...
期間限定だから尊い 可愛い子猫の“こにゃんたま”にメロメロ
 ニャンタマニアのみなさまこんにちは。猫フェチ撮影の日々を送る芳澤です。  きょうは、にゃんとも可愛い子猫にゃんた...