毛穴にいい?「あの洗顔法」の真相を医師が解説。向いてる肌質もあるけれど…【美容のウソ・ホント】

コクハク編集部
更新日:2025-05-05 10:59
投稿日:2025-05-05 06:00

山内医師の考える「メリットとデメリット」とは?

メリット

1. 肌への刺激が少ない可能性:
 界面活性剤を使用しないため、肌のバリア機能に不可欠な皮脂や天然保湿因子などを過剰に洗い流すリスクが低いと考えられます。この点は、乾燥肌や敏感肌の方にとってはメリットとなり得ると解釈される場合もありますが、基本的にメイクを落とすことには向いていません。

2. 保湿効果が期待できる可能性:
 洗顔後、肌にわずかに残ったオイルが水分の蒸発を防ぎ、しっとりとした感触を与える可能性があります。洗顔後のつっぱり感が軽減されるかもしれません。しかし、油分が皮膚に残存して酸化すると皮膚の炎症の原因ともなるため、すべての肌質で皮膚の保湿効果を期待できるわけでは無いと考えられます。

3. 毛穴の角栓への効果(限定的):
 継続することで、オイルが角栓を柔らかくし、取れやすくするという報告もあります。また、残ったオイルが毛穴周りをコーティングし、新たな角栓形成を抑制する可能性も指摘されています。ただし、後述のように逆に毛穴を詰まらせるリスクと表裏一体です。

デメリット

1. 洗浄力が不十分であること:
 ベビーオイルの洗浄力は比較的マイルドです。油性の汚れはある程度落とせますが、カバー力の高いファンデーションやウォータープルーフのメイク、ラメなどの不溶性の粒子は落としきれない可能性があります 。メイク汚れの残留は、肌トラブルの原因となります 。

2. 洗い流しにくさとオイルの残留リスク:
 ベビーオイルは水を弾くため、水だけで完全に洗い流すのは困難です 。ティッシュオフが主な除去方法ですが 、オイルや汚れが肌に残りやすいという欠点があります 。

3. 毛穴詰まり・ニキビのリスク:
 残留したオイル、特に主成分であるミネラルオイルは、肌に浸透しにくく 、毛穴を塞いでしまう(閉塞させる)可能性があります。これは、元々皮脂分泌が多い脂性肌の方や、ニキビができやすい方にとっては、症状を悪化させる大きなリスクとなります。毛穴ケア効果を期待する声とは裏腹に、皮膚科医としてはこのリスクを強く懸念します。

4. 摩擦による肌刺激:
 オイルを塗布する際やティッシュで拭き取る際に強く擦ってしまうと、物理的な刺激となり、肌のバリア機能を損なう可能性があります。オイルの量が不足している場合も同様です。これは「肌に優しい」というメリットと矛盾しかねません。

5. 特定の肌質・状態には不向き:
 上述の通り、脂性肌、ニキビ肌の方には推奨できません。また、脂漏性皮膚炎がある場合も、オイルが過剰になる可能性があるため避けるべきです。アトピー性皮膚炎など、皮膚疾患で通院中の方は、必ず事前に医師にご相談ください 。

6. アレルギー・接触皮膚炎のリスク:
「ベビー用」と名前が付いていても、すべての人に安全とは限りません 。ベビーオイル(ミネラルオイル)自体が肌に合わず、赤み、かゆみ、湿疹などを引き起こす可能性もあります。

コクハク編集部
記事一覧
コクハクの記事を日々更新するアラサー&アラフォー男女。XInstagram のフォローよろしくお願いします!

関連キーワード

ビューティー 新着一覧


一晩に何度起きたら頻尿ですか?【医療従事者解説】頻尿のセルフチェック&トイレによる寝不足改善法
 彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、...
990円の“プチプラ化粧水”1本だけで10日間過ごしてみた。乳液&クリーム不使用で意外な結果が…
 話題のコスメや、広告でよく見かける化粧品や日用品。「webでよく見るあの商品、本当にイイの?」「買ってみたいけれど、口...
「妊活を始めたものの、なかなか授からない…」《男性不妊》って知ってる? 意外と多い“精索静脈瘤”の話
「妊活を始めたけど、なかなか授からない…」そんなとき、多くの女性が婦人科に行く。でもちょっと待って。実は不妊の約半数は「...
今夜もぐっしょり…寝室温度をめぐって夫と大喧嘩!【医療専門者監修】寝汗は更年期だけじゃない?
 彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、...
40代が「垢抜け顔」になれないワケは?【美容家が使って実感】激推し最新コスメ3品
“垢抜け顔”になりたいけど、思いどおりの仕上がりにならない…。そんなお悩みは、選ぶコスメで解決!  40代の時短美容家...
生理前に限らず些細なことでイライラ!【医療従事者監修】アラフォーが注意したいPMSではない意外な理由
 彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、...
春先の紫外線も乾燥も怖くない!【美容家厳選】アラフォーに激推ししたい“二刀流”UV対策
 春の陽気を感じる日も増えてきましたね。日差しが強くなってくると気になるのは、UV対策です。春夏は特に紫外線量が増えるた...
加齢で増えがちな「ほくろ」はシミと何が違う?【美容外科医が解説】電気メスで削ると? 保険適用の条件は?
 この連載では美容医療“若葉マーク”の方々に向けて、テッパンの不安や疑問を分かりやすく“一発回答”。今回はお悩みの多い「...
うさぎ舌リップってなんぞ? 40代でも挑戦できる作り方と色選びのコツ
 純欲メイクや白湯メイク、地雷メイクなど、これまでいろいろなメイクがトレンドに上がってきましたが、もっかSNSで話題なの...
寒暖差疲労の原因と対処法【医療従事者監修】季節の変わり目はイベントてんこ盛りで休めない…どうする?
 寒暖差が激しい季節は、いつもと同じように睡眠時間を確保したつもりでも、なんだか疲れてしまいがち。そんな「寒暖差疲労」を...
40代がやりがちなNGメイクとインナーカラー全8選。痛いおばさんは回避したい…
 アラサー・アラフォー女子は、メイクやヘアカラーというパーソナルなことですら、常に厳しい目線を向けられてしまうから大変で...
長財布はダサい&時代遅れとされる3つの理由。令和におすすめの財布は?
 最近、長財布を使っている人をあまり見かけなくなってきましたね。今でも長財布を愛用しているものの、「もしかしてダサい? ...
女性は30代以降、筋肉量が年間1%ずつ減!?【医療従事者監修】今すぐ試せる“ぽっこり下腹”引き締め術3選
 彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、...
【検証】メイクしたまま寝ると汚肌一直線?20代美容ライターが3日間オフなしで過ごしたら意外な結果に…
「メイクを落とさないと肌が荒れる」とはよくいったもの。メイクをしたまま寝ると毛穴に詰まった汚れや皮脂が酸化して、肌荒れや...
「美容医療」反対派と賛成派の意見。トライする前の参考にしたい
 いつの時代も、女性は美しくなりたいと思うもの。そして、今の時代、美容医療や美容整形がより手軽になり、挑戦する人も増えて...
更年期の“意外と知らない”基礎知識/更年期症状は遺伝する? 出産経験の有無は影響する?【医療従事者監修】
 彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、...