「生きることが難しい」不注意すぎる私の日常。PR案件の真偽や如何に。

新井見枝香 元書店員・エッセイスト・踊り子
更新日:2025-09-01 12:28
投稿日:2025-08-31 11:45
 踊り子として全国各地の舞台に立つ新井見枝香さんの“こじらせ”エッセーです。いつでも、いついつまでも何かしら悩みは尽きないし、しんどいことだらけの日常ですが、生きていく強さを身に付けるヒントを共有できたらいいなという願いを込めまして――。

私の「不注意」はドジっ子のレベルを超える

 ここ最近、「どうして私ってこうなんだろう…」と、自分の不注意に嫌気が差すことばかりが続いている。

 玄関の電球が切れたので急いで買ってきたら、うずら卵と鶏卵くらいサイズが違う。なぜ確認してから買いに行かないのか。自分が出演するイベントをSNSで告知したら日付けも曜日も間違える。素麺を茹でたら束ねる紙を外し忘れて鍋の中でしめ縄が出来上がる。釣り竿を振りかぶったら後ろのフェンスに引っかかって尻もちをつく。

 かわいいドジっ子のレベルを遥かに超えて、生きることが難しい。

【こちらもどうぞ】電マの営業からラブホの清掃員へ…羞恥心とも戦うストリッパーが思うこと

 先日も、自分で時間指定をした宅急便が届くことをすっかり忘れて、近所に昼飯を食べに出掛けてしまった。それを思い出したのは、スマホにメールが届いたからだ。

 差出人の名は大手宅急便会社で、配送方法の確認である。食べたらすぐに戻るから、今日は置き配にしてもらおう。実はこういったミスは初めてではない。また〇〇号室の新井は時間指定したくせに不在かよ、と宅急便屋さんに言われてしまう。慌ててメール内のリンクを押そうとして、違和感に気付いた。いつもこんなメールが届いただろうか。

 差出人のアドレスを確認すると、ドメインが会社の名前ではない。もしや迷惑メールか。タイミングが良すぎて危うく騙されそうになったが、冷静になれば胡散臭さ極まりない。帰ったら案の定、おなじみの不在連絡票が入っていたので、平身低頭、再配達を依頼した。

壊れる家電、トラブルは連鎖する

 そんなここ最近、様々なトラブルも続いている。唐突に電子レンジが動かなくなり、掃除機、電気ケトルも故障した。その上、大事にしていたヘッドホンまで調子が悪い。そんな時にSNSのアカウント宛てにダイレクトメッセージが届いたのだ。

 とある外資系メーカーを名乗る担当者から、新製品電化製品のモニターをしませんか、と。まるで私の状況を察したかのようなタイミングである。iPhoneが私の心の声を届けてくれたのかもしれない。

新井見枝香
記事一覧
元書店員・エッセイスト・踊り子
1980年、東京都生まれ。書店員として文芸書の魅力を伝えるイベントを積極的に行い、芥川賞・直木賞と同日に発表される、一人選考の「新井賞」は読書家たちの注目の的に。著書に「本屋の新井」、「この世界は思ってたほどうまくいかないみたいだ」、「胃が合うふたり」(千早茜と共著)ほか。23年1月発売の新著「きれいな言葉より素直な叫び」は性の屈託が詰まった一冊。

XInstagram

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


美人局の語源に「筒」と「陰茎」
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「女ことば」では、女性にまつわる漢字や熟語、表現、地...
帰ったらお風呂に…夫「沸いてるよ!子供が入ってる」危機管理能力ゼロや
 子育て中のママにとって、子供の命と健康を守るのは一番大切な使命。だからこそ、危機管理能力は嫌でも高くなります。 ...
メガバン妻が悟ったリーマンの限界値 吉祥寺より2駅下った中古マンション
 武蔵野の自然を携えそびえる瀟洒な白亜の建物は、まるでこの場所がヨーロッパの一都市であるかのような錯覚を与えてくれる。 ...
「夫の駐在時にね…」なぜあのコが?田舎の同級生“玉の輿婚”に心ざわつく
 独身時代は都心に暮らし、華やかな生活をしていた千佳。しかし、結婚を機に都内から離れ、武蔵境に住み始めた。しかし、妥協し...
豊洲の人生勝ち組妻でも幸せじゃない?彼女が裕福と引き換えに諦めた事
 独身時代は都心に暮らしていたが、結婚を機に武蔵境に暮らし始めた千佳。しかし、郊外のこの地を愛せない。そんな時、中学の同...
占い好きな成功者と占い好きな非成功者の違い…占いライターで一攫千金も
 コミックや書籍など数々の表紙デザインを手がけてきた元・装丁デザイナーの山口明さん(63)。多忙な現役時代を経て、56歳...
大人は「さようなら」とハッキリ言わないけど…
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...
号泣しながら「愛の讃歌」を熱唱 なぜ人はスナックでダサい姿を晒すのか
 私はこれまで多くの夜の世界を見てきましたが、スナックは本当に不思議な場所です。  完全無欠のモテ人間ほど、なぜか...
この勇姿もあとわずか…去勢手術予定“たまたま”を記念撮影!
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
春の行楽、御朱印集めはスタンプラリーと何が違う? 作法やタブーとは
 山形県東部にある山寺(山形市)で自らの行いについて考える出来事がありました。我よ、御朱印集めがスタンプラリーと化してい...
人は「趣味が合わない相手」と恋に落ちることがある
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...
「クリスマスローズ」で究極のほっぽらかし園芸!怠け者でも花いっぱい♡
 猫店長「さぶ」率いる我が花屋のある神奈川は地球温暖化の影響もあり、ここ近年の特徴は卒業式に桜咲くでしたが、今年は入学式...
立ち止まっていても時間が進むのなら…
 立ち止まっていても時間が進むのなら、いっそのこと急がなくても良いのかも。  人は人、自分は自分。
かわいい“たまたま”が大集合!夕暮れの集会の議題はなあに?
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
結婚、出産、身分の違い…仲良かった友達に会いたくないのはダメな感情?
 学生時代を毎日一緒に過ごした親友。でも、年齢を重ねるに連れて「あんなに仲が良かった友達なのに、今ではもう会いたくない」...
「委ねる」は読めるかも? 「委しい、委せる」はなんて読むのかな
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「女ことば」では、女性にまつわる漢字や熟語、表現、地...