高市早苗さんが落選中、公開録画ゲスト審査員で来たときの“おもろい”エピソード
【お笑い界 偉人・奇人・変人伝】#265
高市早苗さん
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憲政史上初めて女性の内閣総理大臣に就任された高市早苗さん。2003~05年の落選中に「うめだ花月シアター」で行われていた公開録画の漫才番組で、ゲスト審査員として来ていただき、お会いしました。事前に用意された10のテーマからルーレットで3個を選び、3分程度の即興漫才で得点を競う、というもの。高市さんは奈良県出身ということもあり、飾り気のない関西弁で非常にフレンドリー。周囲にも気を使いながら気さくに話をされる方でした。
ルール説明に高市さんは「これってどのテーマが当たるかは事前に決めてるんでしょう?……ということはぶっつけ本番なん!? そんなことできんのん? グチャグチャになってしまうんちゃうのん?」「それも含めて笑いに変えていってもらおうということです」「ようそんな怖いことしゃはんね? そんな審査員私にできるんやろか?」と審査員席へ向かいました。
本番が始まると、「うまいこと話組み立てはりますね! さすがプロやね!」「あのくだりメチャクチャ面白かったです! 思わず噴き出しました!」「Aも面白かってんけどBでもいけるんちゃう?」と当意即妙、的を射たコメントで大いに盛り上げてくださいました。この鋭い切り返しが今の歯切れのいい演説や答弁にも続いているのでしょう。
終了後の控室で「漫才師さんも政治家も一緒やね。一瞬の機転、言葉の選び方で評価が分かれるね。考える時間があったらもっと精度の高い話を作られるんでしょうけど、時間がないからこそひらめきで思いついた部分もあったやろし……」と、ご自身の職業と重ねて分析され、「とにかくすごいわ! ほんで“ココで笑うのん?”“これは笑わへんのん?”て、ツボが違うんですね。笑ってるだけでいいですからて、呼ばれてんけど、ムチャクチャ勉強になりました、感動したわ。今日はおおきにありがとうございました」と颯爽と帰られました。
政治家さんが出演すると、据え物のようになり、コメントも上から目線になりがちですが、高市さんは少しでも面白くしようと全力で取り組み、貪欲さと勤勉さが違いました。トランプ大統領との日米首脳会談をはじめ、就任早々、存在感を世界に示されましたが、瞬発力とユーモアのセンス、あのチャーミングさがあってこそ。一番のホメ言葉が“おもろいヤツ”という関西の文化で磨かれ、鍛えられてきたことが原動力になっているのかもしれません。
総理という激務の波を乗り越えて日本の舵取りを頑張っていただきたいと思います。
(本多正識/漫才作家)
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