「かわいそうに…」かつては港区美女、今では老けた子育て女に――都落ちした親友に感じた優越感

ミドリマチ 作家・ライター
更新日:2026-02-07 11:45
投稿日:2026-02-07 11:45

冴えないスーパー店員と結婚した理由

「――馴れ初め?」

 日当たりがいい、としか褒めることができない小さなリビングダイニング。ニトリの北欧風ソファに案内され、落ち着いたところで、奈江はずっと疑問だったことを質問した。

「私と夫の…だよね?」
「そう。意外だなと思って」
「ただの幼馴染だよ。小学校の時の同級生なの。同窓会で再会してね」

 彼女はとろけるような表情で目尻にいくつもの皺を寄せて答えた。

「ガンガン押されて、という感じで?」
「いやいや。私の方からよ。でも、相手もすぐ乗り気になってくれて…ふふっ、お互い、と言った方がいいのかな? フィーリングが合ったの」

 フィーリング、と言われてしまうと何も言えない。気持ちを取り繕うように、彼女が淹れてくれたルイボスティーを口に含むと、優梨愛は奈江の複雑な感情を察したのかニヤリと微笑んだ。

「まあ、いろいろ言いたいんでしょ。夫のこと」
「いやそんなこと…あるけど」
「彼は、奈江の好みじゃないからね」

 ためらいつつ頷いた。反論を飲み込んだことは否めない。

 ――オトコの好みは一緒のはずでしょう? 

 奈江は、優梨愛との出会いを思い出す。それは、3年前のことだ。

いつも「ヒロイン」の彼女は美しかった

 クラブイベントのVVIP席。奈江はその数日前、食事会で若き飲食店経営者・西本琢磨に食事会で出会い、イベントに誘われた。

 西本と交際できるかもしれない――淡い期待を抱き、精一杯着飾ってVVIPエリアに赴くも、彼の隣にいたのは今まで見たこともない美女だった。それが、優梨愛。

 ふたりの間に流れていた割り込めないほどの濃厚な空気感に、この場に誘われた意味を理解した。自分はただの背景であると。

 ヒロインである優梨愛は、経営者仲間と話し込む西本の隣に寄りかかり、スマホを眺めているだけであったが、奈江のように賑やかしで集められた女たちとは違う上品な美しさと輝きがあった。

 西本に対し、あわよくば、と思っていた自分が恥ずかしくなるくらいに。

ミドリマチ
記事一覧
作家・ライター
静岡県生まれ。大手損害保険会社勤務を経て作家業に転身。女子SPA!、文春オンライン、東京カレンダーwebなどに小説や記事を寄稿する。
好きな作家は林真理子、西村賢太、花村萬月など。休日は中央線沿線を徘徊している。

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


「卒業」ばりに花嫁略奪!事実は名画より奇なり、破天荒な友人がヤバすぎ
 破天荒とは、「誰もしなかった前代未聞の行動をする」ことを意味します。そして、世の中には、まさに「破天荒」の言葉にふさわ...
ほっこり読み切り漫画/第58回「サクラ鳴く」
【連載第58回】  ベストセラー『ねことじいちゃん』の作者が描く話題作が、突然「コクハク」に登場! 生きものたち、...
夏空が秋にかぶさる風景 季節がバトンタッチする時期がきた
 夏空が秋にかぶさる。そうだ、あしたはもう「秋分の日」。  ここまでくると「いよいよ今年も後半戦」という感じがして...
気づけば10年前のまま…大人のメイクは年単位で見直すべし!
 みなさんはぶっちゃけ、メイクの勉強をしていますか? 私はお恥ずかしながら、10代の時に雑誌を参考にして習得した以来、や...
妊娠5カ月、4畳のシェアハウスへの単身引越しに踏み切った話
 先日、夫の実家で親戚の子どもたちと上の子の5歳の誕生日を祝いながら、ふと「ってことは、自分も人の親という立場に置かれて...
気が付けば先輩社員の立場に…「職場で憧れられる存在」に5つの共通点
 仕事がバリバリできて見た目も完璧な女性は、職場の頼れる存在であり、憧れる存在でしょう。「私も少しは後輩から憧れられる女...
2023-09-21 06:00 ライフスタイル
「ほよよ顔」がたまらにゃい!プー太郎君の“たまたま”を激写
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
ギャラ飲みは私の天職! 月収100万円、一度だけ恋人関係になった人も…
 経営者や著名人、人気のインフルエンサーも利用する「ギャラ飲み」なるサービスって知っていますか? 東京都内のみならず、全...
「必ず夢は叶う」は罪なアドバイス? どっちにしろ人生は続くのです
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...
日持ち抜群「ジンジャー科のお花」の摩訶不思議、1週間過ぎても元気!
 ワタクシの大切なお花友達のAさんは、見た目は男性ですが、心は妄想が止まらない夢見る乙女。朝の精神統一は「花を触ること」...
子育てワンオペ問題…親頼みのママにモヤモヤ、男性の育児休暇は必要?
 先日友人と、子育てについての話になりました。  私の仲の良い友人たちは、自分の子どもが乳児の時に、実家の協力が得...
おなら、誤爆、カビパン…40年生きてたら、恥ずかしい思い出ぐらいね
 生きていれば、誰にでも一つや二つの恥ずかしい思い出があるものですよね。時間が経って忘れた頃に、ふと思い出してしまうと、...
親との距離感むずい…小言付き同居or孤独な別居、子連れで出した答え
 ステップファミリー6年目になる占い師ライターtumugiです。私は10代でデキ婚→子ども2人連れて離婚→シングルマザー...
遊びスイッチ全開にゃ! 猛ダッシュ“たまたま”の一瞬をパチリさせて~
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
死語説もあるけど便利な「OL」、海外では通用しない?
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「女ことば」では、女性にまつわる漢字や熟語、表現、地...
私が稼ぐしかない!「月経ディスク」で起業、元居酒屋店員の猪突猛進人生
 パワフルの塊のようなアラサー女性がいます。「株式会社MONA company」代表取締役の向井桃子さん(35)。生理用...