スペインかギリシャのバル気分
「料理というのは、手間をかけようと思えばいくらでもかけられます。でも自分が食べるのであれば、そこそこで十分。家で晩酌をしながらつまむなら、小難しくないもの。簡単にできて、非日常的なものがいいのです」(道野さん)
ポイントはメークインを使うこと。カレーや洋食の煮込み料理の場合、ほとんどがメークインですが、その理由は煮崩れしないから。メークインをたわしで洗って泥を落とし、鍋に水を入れて皮付きのまま茹でます。
「ボイルする時に気を付けて欲しいのが、絶対にお湯に入れないこと。お湯が熱いと煮崩れしてしまうだけでなく、水溶性のデンプン質が溶けてしまいます。水から火にかけると、味が逃げません」(道野さん)
約30分後、竹串で突き刺し、すっと通れば茹で上がった状態。火が通っていないと、途中で串が止まってしまいます。茹でダコはスーパーで売っているし、オリーブは瓶詰、アンチョビーフィレは缶詰がありますよ。実質的には、メークインを茹でるだけ。あとは自分の好きなように盛り付けてください。
簡単な割にはおいしくてサマになる。おもてなしにも使える一品です。
【材料】
(2人前)・メークイン 200グラム
・茹でダコ 50グラム
・グリーンオリーブ 10個(なければブラックでも詰め物をしたものでもよい)
・アンチョビーフィレ 3枚
・エクストラバージンオリ ーブオイル 大さじ3
・ビネガー 小さじ1
【レシピ】
1. メークインを皮付きのまま30分ほど茹でて冷ましておく。皮をむいて1センチ幅の輪切りにする。
2. 茹でダコはぶつ切りにする。
3. アンチョビーはボウルに入れ、オリーブオイルとビネガーを注いでスプーンですりつぶしながら混ぜる。アンチョビーが塩辛いので塩は入れなくてもよい。
4. 皿にタコ、ジャガイモ、オリーブを盛り、アンチョビードレッシングを回しかける。
本日のダンツマ達人…道野正さん
▽みちの・ただし
1954年、兵庫県生まれ。同志社大学神学部卒業後、京都のフランス料理店「ボルドー」で7年間修業。31歳で渡仏。3つ星レストラン「ラ・コートドール」、1つ星「ル・ランパール」、2つ星「ジャン・バルデ」で研鑽を積む。帰国後は大阪の「シェ・ワダ」、北海道・旭川の「ハーヴェスト・ロード・ハウス」を経て、90年、大阪・豊中市でフランス料理店「ミチノ・ル・トゥールビヨン」を開業。2009年、大阪・福島区に移転、現在に至る。18年5月、自著「料理人という生き方」を出版。
▽ 「ミチノ・ル・トゥールビヨン」
この道40年のオーナーシェフは、今でも食への探求心は衰えない。類いまれなセンスとフレンチの概念にとらわれない料理は「前衛的」「異端児」と称され、全国から食通が集う。
「ボクはひたすら来てくれたお客さまのために料理を作ってきた。自分が納得し、自信を持って『これがボクの料理です』と言えるものを作ってきたし、これからもそうありたいと思っています」
大阪市福島区福島6―9―11 神林堂ビル1F
℡06・6451・6566
営業時間 昼12~15時、夜18~23時。月曜定休
(日刊ゲンダイ2018年8月21日付記事を再編集)
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