年末のレコ大「黒い羊」とNHK紅白「不協和音」
そんな平手の後輩に何か伝えようという姿勢は着実に田村に届いていた。欅坂46のスローガン、「謙虚、優しさ、絆」、それを平手が見せる姿から受け継いでいた田村。昨年9月の東京ドーム公演前には先輩の平手に支えられる側だったはずの田村が、たった3カ月後の年末の音楽特番出演ラッシュ時では早くも、心身共に平手を支える献身性を見せていた。
「不協和音」に限らず、多くの楽曲で主人公を憑依させてパフォーマンスする平手は常人の想像を絶する心身の消耗を要する。年末に披露された曲も例外ではなく、ライブやテレビ番組で長く封印されてきたものばかりだった。
平手は連日の全力パフォーマンス披露でよほど消耗したのか、29日、30日の第70回NHK紅白歌合戦リハでは本調子でない様子の彼女を田村が支え立ち上がるのを介助していたことが各ネットニュースで伝えられた。
30日夜のレコ大(第61回輝く!日本レコード大賞)では「黒い羊」の披露後、新国立劇場(東京・渋谷区)で観覧していたファンからの目撃情報として、大賞発表を待つ観客席側の座席まで平手は田村と、同じく二期生松田里奈に支えられながら2人に挟まれる形で着席していたとのツイートがあった。
テレビ画面にも田村が自身の膝の上で平手の手を握り続ける様子が映っていた。横に座る平手は全身脱力したような表情だったが、先輩として、グループのエースとして、〈魂を削っても全てを出し切る姿勢〉を田村たち後輩に示していた。
そして、大みそかの紅白本番、平手は連日の体調不良を心配する報道を払拭するように力強く会心の不協和音のパフォーマンスを見せた。
始まりから終わりまで平手を支え続けた田村
曲の主人公に憑依し途中からゾーンに入り込み狂気にも似た不敵な笑みを浮かべ、最後のポーズではおおよそ女アイドルとは思えない表情でカメラを睨み付けながら冷笑する平手……。田村は真後ろから平手の肩に手を添え、平手もその手を両手で優しく包み返した。
その瞬間、スッと不協和音の「僕」から「平手友梨奈」に戻った彼女がか細く「ありがとうございました」という口の動きを見せると、即座に田村は平手が慢性的に痛めているであろう腰をさすり、総合司会・内村光良氏の「良くやった! 素晴らしかった! 新不協和音だ!!」という締めの叫びを受け、笑顔で平手の頭をポンポンする姿が映し出された。
この日もNHKホールで観覧したファンからは出番前に平手が田村に肩を借りながら入場したことがレポートされ、始まりから終わりまで平手を支え続けていたことがうかがえる。
その後、欅坂46公式Twitterでは年越し後のメンバーの姿が投稿されていたが、一期生石森虹花と小林由依の横で、平手は派手な三角帽子を被りながら、クラッカーから放たれたであろう幾重ものテープのクズを田村の頭に乗せる"装飾"をしてあげ、田村もそれを満面の笑顔で受け入れている楽しそうな様子が見られた。
今年1月4日付の一期生・齋藤冬優花のブログには、その紅白終了後の年越しの瞬間の画像がアップされている。
一期&二期メンバー皆が一列になり、手を繋いでジャンプをして昨年から年を跨いだその瞬間。画像はボカシが入ってはっきりと顔面は確認できないが、前述の石森、小林、田村、平手の立ち位置と衣装から、平手は田村と手を繋いで怒涛の2019年を、そして結成から4年半の欅坂46としての活動を締め括ったことが分かる。いかに先輩後輩の垣根なく平手と田村が信頼し合っていたかが伺える瞬間だった。
次回は引き続き、平手が後輩たちに見せ続けた“欅魂”の継承と、それに応えた二期生の奮闘ぶりについてお伝えする。
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