アナフィラキシーだった…バセドウ病治療は危険と隣り合わせ

めりぃ(つけものがかり) 編集者
更新日:2020-02-18 17:59
投稿日:2020-02-04 06:00
 女性ではおよそ30〜60人に1人、男性ではおよそ50〜100人に1人がかかると言われている甲状腺疾患。圧倒的に女性に多い疾患として知られるバセドウ病は、甲状腺機能が亢進する病気で、動悸や発汗、めまいや悪心(おしん)、体重減少に筋力低下など、その症状は全身に及びます。
 現代医療での治療法は投薬・アイソトープ・外科的手術の3種類とされ、多くの患者は投薬治療で寛解を目指します。
 これは、投薬治療の末に、手術で甲状腺を全摘し完治に至った筆者が、2年間の闘病生活を振り返るドキュメンタリーです。

救急搬送先の病院で発覚した衝撃的な事実

「薬の副作用、アナフィラキシー! もうちょっとで危ないところだったよ」

 救急搬送された病院で点滴治療を受けたところ、びっくりするくらいすぐに蕁麻疹はひき、呼吸も楽になりました。

 そして診察した医師は、薬(メルカゾール)の副作用によって、アナフィラキシーの症状が出ていたと、興奮気味に私に告げたのです。

 私が「おととい、その薬を処方しているクリニックに行ったら、飲み続けろと言われました」と伝えると「ひどい医師に当たったねぇ」と同情される始末。この救急病院の医師いわく、メルカゾールの副作用は侮れず、ちょっとでも症状が出たら対策すべきだったとのこと。

 確かに、こんな大騒ぎになっているんだから、そりゃそうだ。

「もう大丈夫。点滴が終わったら帰れます。だけど、もうそのクリニックはやめて、ちゃんとした病院で診てもらってね」と救急病院の先生。

 うんうん、言われなくてもそのつもり。もう二度と、あのクリニックには行かない!

 救急病院で受け取った診断書には、しっかりと「アナフィラキシー」と書かれていました。

大学病院での診断結果はバセドウ病「中の重度」

 点滴を終えると、自由に動けるもとの身体に戻りました。気分もよく、付き添ってくれた友人も、ホッと安堵。

「お腹すいたね~」なんて言いながら、ご当地ラーメンを食べて帰宅できるほどまで回復しました。

 家に帰ると、まずやるべきことは病院探し。最初の病院でとんでもない目に遭ったので、今後は専門医に診てもらうことにしました。

 ほうぼうに相談した結果、大学病院の甲状腺専門医の診察を受けられることに。

 1週間後の大学病院での診察までは、処方されているメルカゾールの服用はやめていいとのこと。

 アナフィラキシー騒動以降は不調も感じていなかったので、その後の1週間は平穏な日常を過ごすことができました。

 そして迎えた大学病院での診察。血液検査やエコーなどひととおりの検査を終え、診察を受けると「バセドウ病で間違いない」とのこと。そしてその程度は「中の重度」だそう。

 大学病院となれば、私より重症な人も多く診察に訪れているのでしょう。安心感が違います。

 無駄のない明快な説明を受け、薬は、プロパジールに変更されることに。

「もう出ないと思うけど、万が一、少しでも蕁麻疹が出たら、すぐに連絡して受診してください」と指示を受け、さらには念のためアレルギーの薬も処方され、万全!

 次の診察は2週間後。

 バセドウ病治療に使う薬は、副作用に気を付けなくてはなりません。私のような蕁麻疹だけでなく、もっとも怖い副作用には無顆粒球症もあり、命の危険と隣合わせなのです。そのため、副作用が出ていないかを慎重にチェックするため、投薬開始からしばらくは頻繁に血液検査をして、様子を見ます。

 幸いなことに、私はこのあと危険な副作用は出ませんですたが、常に危険と隣り合わせの治療であることは、改めて肝に銘じました。

「妊娠を希望するなら手術をしたほうがいい」

 順調に治療が進んでいた半年後。

 疲れやすさや身体の重だるさはあったけれど、日常性格には支障のない範囲内。甲状腺ホルモンの数値も投薬の成果で正常範囲内をキープできていました。

 そんな矢先、主治医との雑談で「今後妊娠を希望するなら、手術したほうがいい」との提案を受けたのです。

 このときの私は40歳。バセドウ病の治療は長期にわたるため、もし妊娠を希望するなら、投薬ではなく甲状腺を全摘したほうがいいとの趣旨でした。

 それまで、妊娠については考えてこなかったのですが、この主治医の言葉がキッカケとなり、今後の治療方針を検討する流れにーー。

 妊娠するなら甲状腺を取る!? 私が出した結論は……。

 次回に続きます。

めりぃ(つけものがかり)
記事一覧
編集者
アラフォー編集者。壮絶な結婚生活による人生の荒波をくぐり抜け、バセドウ病発覚。2019年、甲状腺全摘手術を経て、完治。つけものを作らせたらプロ顔負けの腕前だが、今のモットーは「バセドウ病患者のつらさを、もっと世間に知ってもらいたい」。

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


妙齢って何歳? 三省堂 現代新国語辞典のいまっぽい凡例に注目
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「女ことば」では、女性にまつわる漢字や熟語、表現、地...
#3 結婚で“輪”から去る友人への寂しさ。心地よい独身生活で失ったもの
【#2のあらすじ】  ミュージシャンの沙恵は高円寺に暮らし、毎晩芸人の卵や音楽仲間と飲み歩いている。高円寺はうんざ...
#2 友達の結婚、喜べないのはなぜ? 勝ち組を裏切りだと感じてしまう記憶
【#1のあらすじ】  ミュージシャンの沙恵は高円寺に暮らし、芸人の卵や音楽仲間と毎日飲み歩いている。高円寺はうんざ...
「最終的には学歴!」すごいですねー(棒)高学歴義母のマウントLINE3選
 義母が高学歴だとなんとなく上品でスマートな人柄が連想されますが、現実では学歴の高さと人格は比例しないようです。実際には...
2023-12-16 06:00 ライフスタイル
#1 夢を諦めきれない32歳の女。高円寺で燻る芸人らと酒に溺れる日々
 この街は、まるでネバーランドだ。  いつもの店に行くと、いつもの仲間がいて、相変わらずのバカな話で盛り上がれる。...
母親が施設から帰ってくる夢…認知症の予兆を「ボケたな」で済ませない
 コミックや書籍など数々の表紙デザインを手がけてきた元・装丁デザイナーの山口明さん(63)。多忙な現役時代を経て、56歳...
おひとり様全盛時代でも? 老後こそ“コミュ力”がものを言う
 ぶっちゃけ、私はあまり人づきあいが得意なほうではありません。一人のほうが気を遣わなくていいし、楽だから。  これから...
ムーミン好き必見!ESSEの時短レシピ&開運グッズ付録など使いこなす術
 今回ご紹介する雑誌付録は、「ムーミントラベルポーチ3点セット」と「別冊付録:保存版!ESSEのBest時短ベストおかず...
同僚のボールペン“カチカチ”に敏感反応!繊細すぎる人へのLINEどう返す
 世の中には、人一倍豊かな観察力や感受性を持つ人も存在します。そうした人は「優しい」「気遣いができる」などの長所をたくさ...
黄金色の葉と朱赤の柿の景色 心まで秋色に染まるような日
 秋は色鮮やかな季節。まるで黄金色のイチョウの葉、鮮やかな朱赤の柿。  心まで秋色に染まるような日だった。 ...
「何で後ろから撮るにゃ?」“たまたま”の質問攻めにきゅん♡
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
年末大掃除、夫が戦力にならない…今年こそやる気を出してもらう方法4つ
 年末の大仕事といえば、家の大掃除ですよね。やはり、一年の汚れを綺麗にしてから、新しい一年を迎えたいものです。でも、何か...
コスパ最強!シクラメン超長生き育成術、この冬は美しい姿をキープさせる
 暖冬にも程がある2023年師走ですね。  カントリー風情たっぷりの立地にある猫店長「さぶ」率いる我が愛すべきお花...
日用品は見た目も大事よね♡ 好みの香りで良質な睡眠時間を
 コクハクリーダーズ1期生の「あんず」と申します。今回、ワクワクしながら新商品を使う機会に恵まれました。  日常生活で...
2023-12-16 17:32 ライフスタイル
「見慣れる」ってこわい 散らかった部屋を眺めて考えたこと
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...
温泉旅行を計画中! でも浴衣の下は何が正解? オトナ女性の3つの選択肢
 彼氏や女友達と楽しむ温泉旅行。最近では旅館に添えつけの浴衣が用意されているところも多いですよね。  でも浴衣姿で...