「信じてくれる人もいる」壮絶セクハラの果てに見えた光明

うかみ綾乃 小説家
更新日:2020-02-10 07:00
投稿日:2020-02-10 07:00

ついに助けの手を差し伸べてくれる人が

 それまでも、ごく身近な数人に、中途半端なSOSを出したことはありました。

 でも、中途半端なSOSには中途半端な反応しか返ってきません。

「Gさんて、ちょっと公私混同するところがあって……」
→「それだけ綾さんに一生懸命なんですね」

「飲むと私の部屋に強引に泊まるし、翌日もなかなか帰ってくれなくて、実はちょっと性的な強要もあって……」
→「えー、本当ですかぁ(笑)」

 もしも本気でSOSを出していたら、どうなっていたか。

 誠実そうでコミュニケーション力の高いGと、エロ仕事をしてエキセントリックに見られがちな私。
→「綾さんがなんか、おかしなことを言いだしてる」

 男女のいざこざでもこういうことは、若い頃から経験してきました。

 けれど、彼女はやり過ぎました。

 そのおかげで、私のSOSに信憑性が生まれました。

 それともうひとつ、私がそれなりに仕事を頑張った結果、ちゃんと信じ合える人たちと出会えていたのだとも思います。

「そうだったのか。いろいろ合致した」

「辛かったね。でもそれは泣き寝入りしちゃいけない。協力するから、やることやろうよ。作品とギャラを取り戻そうよ」

 信じてくれる人もいるんだ……。

 この驚きによって、私はようやく、目が覚めました。

 次回に続きます。

うかみ綾乃
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小説家
2011年「窓ごしの欲情」(宝島社文庫)で日本官能文庫大賞新人賞受賞。’12年「蝮の舌」(悦文庫)で第二回団鬼六賞大賞受賞。コラムニスト、映画の原作&脚本家としても活躍中。近著に「蜜味の指」(幻冬舎アウトロー文庫)。2020年から原作映画『モンブランの女』(『モンブランを買う男』AubeBooks)が全国で公開中。
ブログ http://ukamiayano.blog.fc2.com/

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