ステロイドの効果はいまひとつでも手術は予定通り行うことに

めりぃ(つけものがかり) 編集者
更新日:2020-04-28 06:00
投稿日:2020-04-28 06:00
 潜在的な患者も含めるとおよそ30〜60人にひとりの女性がかかると言われている甲状腺疾患。バセドウ病は、甲状腺機能が亢進する病気で、動悸や発汗、めまいや悪心、体重減少に筋力低下など、その症状は全身に及びます。治療法は投薬・アイソトープ・外科的手術の3種類とされ、多くの患者は投薬治療で寛解を目指します。 
 これは、投薬治療の末に、手術で甲状腺を全摘し完治に至った筆者が、2年間の闘病生活を振り返るドキュメンタリーです。

「ステロイドが思ったより効いてない」

 血液検査の結果を見ながら病室に回診に来た主治医が渋い顔で伝えたのは、まさかの結果。なんと、「ステロイドが思ったほど効いていない」と言うのです。

「え?」と、思わず固まる私。

 甲状腺の全摘手術をする際にはショック状態になるのを避けるため、甲状腺ホルモンの値が正常値の範囲内にあるのが望ましいのです。つまり、値が高いままだと、それだけリスクが高い手術になるということ。

 ステロイド投与前には、「どんなに甲状腺の数値が悪くとも、一時的にステロイドで急速に数値を落とせるだろう」という説明だったので、この結果にはかなり困惑しました。

手術は予定通り行うことに

「手術は、予定通りできますか?」

 頭が真っ白になった私が、まっさきに気になったのは手術のスケジュールでした。ここで「手術延期」となれば体力がもたないかも、と不安だったのです。この時点で、手術日は2日後に迫っていました。毎日かなりの不調を抱えていたので、「早く甲状腺を取って症状を和らげたい……」というのが切実な思い。

「うん、おそらく大丈夫です。値は高いものの、ステロイドをやる前よりはわずかですが下がっています。手術ができないほどはひどくないから、なんとかなるでしょう。本当はもっと下げたいのですが、仕方ないですね」と主治医。

 手術は予定通りに行えるという判断にホッとしつつも、ステロイドをもってしても満足に下がらなかった私の甲状腺ホルモンに驚愕。素人ながらに、病気の手強さに震えました。

感傷的になる時間すらなかった

「予定通りに手術ができる」という判断だけが朗報で、執刀医から手術に関する説明を受けたり、麻酔科から全身麻酔に関する注意事項の説明を受けたりと、ここからは慌ただしく時間が過ぎていきました。

 手術前には「心細くて泣いちゃうのかな」なんて思っていた私ですが、容赦なく襲いかかる数々の不調に耐えるのが精一杯で、感傷的になる時間すらありませんでした。

「手術前のほうが、ゆっくり話しやすいだろうから」と、お見舞いに来てくださった方もいて気晴らしもできました。淡々と時間が過ぎていき、ようやくひと息ついたのは手術前夜。翌日の手術に備え、甲状腺あたりに付けられた印を見ながら「明日の今ごろは、この甲状腺の腫れも消えているんだな……」と、考えたのを覚えています。

 翌日に備え、早めの夕食のあとは絶食。指定された時間以降は、水分もとることができなくなりました。

いよいよ手術の日が…

 そして迎えた手術日の朝。絶食なのでおなかが空いたまま、手術室に呼ばれるまではひたすら待機です。

 私の手術は午後の予定だったので、午前中は特にやることもなく、たまに部屋に来てくれる看護師と二言、三言の会話をするほかは、テレビを見て時間を潰していました。

 手術時間が近づいたころに夫が面会に来てくれたのですが、私よりも緊張している様子を見て、思わず笑ってしまったくらいでした。なんだかんだで、私自身はそこまで緊張していなかったのかもしれません。

 予定時間が近づいたころ、看護師から「前の手術が長引いていて、手術開始時刻が数時間遅れる見込み」という連絡をもらったときも、「そっか~」と思っただけで、ただひたすらテレビを見て時間潰しを続けていました。

 そしていよいよ、私の手術の番に。看護士が部屋に迎えに来てくれて、手術室までは歩いて向かいました。実は私、テレビや映画のイメージから「病室から手術室まではストレッチャーに乗せられて移動する」と思っていたので、自力で歩いていくと知ったときには軽い衝撃でしたが……!

手術室に向かったとたん実感が湧いてきた

 手術室に向かい始めたところで、急に手術への実感が湧いてきて恐怖心や不安が増したのを覚えています。でも、もう決まっていることをこなすのみ。勇気を出して冷静を装い、歩みを進めました。

 手術台に横になると、麻酔医が処置をしてくれていよいよスタートです。麻酔を入れ始めて急速に気分が悪くなってきたのが、最後の記憶。私の場合、よく耳にしていた「数を数えているうちに意識が飛んだ」のではなく、麻酔を入れ始めた直後に尋ねられた「気分は、どうですか?」の質問に、「ちょっと気持ち悪いです……」と答えたところで記憶が途切れました。

 そして目が覚めたときには、手術が終わっていてーー。

 次回に続きます。

めりぃ(つけものがかり)
記事一覧
編集者
アラフォー編集者。壮絶な結婚生活による人生の荒波をくぐり抜け、バセドウ病発覚。2019年、甲状腺全摘手術を経て、完治。つけものを作らせたらプロ顔負けの腕前だが、今のモットーは「バセドウ病患者のつらさを、もっと世間に知ってもらいたい」。

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


ヤバ、膀胱が緊急事態…知らぬは“地獄”行き!トイレを我慢する方法5つ
 誰しも一度は、トイレに行けない状態で今にも漏れてしまいそうになった経験はあるはず……。バスや電車、会議中やトイレのない...
買い物って「小さな判断」の連続なんだ 2023.5.10(水)
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...
花屋も「らんまん」に注目!紫の開運花ヘリオトロープを竹雄(志尊淳)に
 イケメンが大好物なワタクシ。ストレス解消のため、仕事の合間にTver(本当に神!)で深夜ドラマを見てはイケメン探しに大...
オスを引き寄せるフェロモンジャッジ!貴女の度数は?【5月前半】
 素敵な女性はいい香りがする――。  そう感じるのは、肌から放たれるフェロモンの効果。フェロモンが高まると色気だけ...
【KALDI】もう手放せない! 鬼リピ不可避4品 2023.5.9(火)
 食いしん坊の聖地「カルディ」。棚一杯に並んだ輸入食品やオリジナル商品は、見ているだけでも楽しいですよね。今回はそんなカ...
なんでもない日々のこんな瞬間が好きだ 2023.5.8(月)
 次の予定があるのかな? 待たせている人がいるのかな?  もしかして、移動は小走りと決めているせっかちな性格なのか...
親友の新彼氏にモヤモヤ。その恋大丈夫?と諭すべきか、だんまりすべきか
 20代の頃は、女友達のヤバめな恋愛相談に乗る時「友達なんだから、止めなくちゃ」と思っていました。  友達が学内で...
“たまたま”が緊張の鼻チュー♡ 白黒姐さんの香りにドキドキ
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
お休みは“いつか終わる”からこそ価値がある 2023.5.7(日)
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...
謝るつもりが火に油!「失言の謝罪LINE」絶対に送ってはいけない3選
 人間誰しも失敗をしてしまうことがあります。特に失言は、相手を傷つけてしまい、なかなか関係が修復できないケースも多いはず...
「キラキラしてる人が苦手」と思うのはなぜ? 隠れた理由と賢い対処法
 好感度が高いキラキラした人を見ると、「羨ましいな」と思う反面、「苦手……」と感じる人は多いのではないでしょうか。苦手と...
「今、今、今!」今でしょは生ぬるい!? ママ友からのお受験“圧”LINE3選
 自分の子供の人生を少しでも良くしようと必死の「お受験ママ」。特に小学校受験に関しては、小さな子供本人が希望してというよ...
店員の勧めも食い気味にNO!おばさんになって「楽」と感じる8つの瞬間
 ある程度の年齢になると、嬉しいはずの誕生日も憂鬱に感じるかもしれません。「もうこれ以上、年を取りたくない!」なんて思っ...
ひとりで焚火するのは良い気分 2023.5.5(金)
 パチパチという音を聞きながら、目を細めて揺れる炎をぼうっと眺める。  ひとりで焚火するのは良い気分。こういう時に...
妻を労う夫が選んだスノーピーク×久保田の酒 2023.5.4(木)
 銘酒「久保田」を製造する朝日酒造と、アウトドアブランドの「スノーピーク」。一見、何の関係もないようですが、実はどちらも...
魅惑のオッドアイにうっとり♡ コミュ力抜群な“たまたま”君
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...