「ハッピーフロッグ」の謎…カエルはなぜ縁起がいいの?

高山ビッキ 100年カエル館副館長
更新日:2020-05-10 07:39
投稿日:2020-05-10 06:00

時代をかえる

 そして、カエルとウサギが出てきたところで日本から英国へ。19世紀後半から20世紀にかけて活躍した英国の女流絵本作家ベアトリクス・ポターの「ピーターラビット」シリーズ。今でも特に日本の女性に人気がありますが、そのシリーズのひとつにカエルの「ジェレミー・フィッシャーどんのお話」があります。

 日本は幕末から明治にかけて大きく変化したこの時代、江戸時代に生まれた美術品が欧米に渡り、欧米の画家たちに影響を与えたジャポニスムというムーブメントが起こりました。その絵画や工芸品の中にはカエルをモチーフにしたものが少なからずあり、このジャポニスムによって欧米の人々のカエルの見方が変わったのではないかと考えられます。

 それまでどちらかというとグロテスクな存在と思われていたカエルに愛らしさのようなものを感じるようになったのではないか、と。ポターが生み出したジェレミー・フィッシャーどんもそんな時代背景と大きくかかわっているとしたら、カエルは「時代を変える」「価値観を変える」存在でもあります。この頃からカエルは世界的に幸運のシンボル、ハッピーフロッグと考えられるようになったのではないかと想像をふくらませています。

 まさにカエル好きの故事付け(こじつけ)ではありますが、カエルの語呂合わせとカエルに接点のある古今東西の女性を結びつけてみました。女性の幸福について考えるとき、中国神話の女性の嫦娥からカエラーを含む現代の日本女性にいたるまで共通する思いと、そこになぜか見守るようなカエルの存在がありカエルが心の支えになることがあります。

だからカエルは縁起がいい

「お金がかえる」は、紀元前後からその存在が伝えられ、日本では江戸期に絵画や根付に表現された、金貨をくわえた三足の蛙を釣り上げた中国のガマ仙人を由来のひとつとすることができます。

 また、私の祖父が「無事かえる」を縁起物として集め始めたきっかけは、あらゆる方角の魔除けをしてくれると聞いた神様、猿田彦大神(さるたひこのおおかみ)の使いがカエルとされていたからです。

 今回は、カエルが縁起がいいことの根拠となる云われを挙げてみました。これを機会にカエルに因んだものとの出会いを縁起がいいと感じていただけると幸いです。

(高山ビッキ/100年カエル館副館長)

高山ビッキ
記事一覧
100年カエル館副館長
大学卒業後、西武百貨店などを経てフリーのライターに。2004年、祖父の代から集めたモノのカエルをもとに福島県喜多方市に100年カエル館を創設。2008年に学芸員資格取得。現在、同館及び同館の友の会「カエ~ル大学」を運営し、カエルの文化的側面を中心に研究、情報発信などを行う。日本両生類研究会会員。著書に『カエラーたちのつぶやき』(共著・グスコー出版)、『かえるる カエルLOVE111』(山と溪谷社)、『ときめくカエル図鑑』(共著・山と溪谷社)など。ブログはこちら→「コトバデフリカエル

ライフスタイル 新着一覧


MUJIのフレグランスオイルが優秀 価格は有名高級ブランドの6分の1以下
「無印良品」が好きなくせに知らなかった不覚…。インテリアフレグランスオイルの「ウッディ」、すでに人気の商品ですが、噂に違...
長期休暇でも帰省しない選択…6つのあるある理由、罪悪感を抱く必要なし
 皆さん、長期休暇のときは帰省しますか? 帰省を毎年のイベントとして楽しみにしている人もいれば、「帰省したくない」と悩ん...
母の日の定番アジサイを長持ちさせるには?「伊予獅子てまり」が大注目
 猫店長「さぶ」率いる我がお花屋が位置する神奈川は、有名な温泉場がいくつも点在しているお土地柄。ワタクシが居を構える場も...
【月5万円】収入&スキルUPを目指すシンママは集合!
☆月に5万円、10万円の収入UPをしよう! ☆文章力をUPさせよう! 『コクハク』の読者選抜チームとして、メディ...
2024-04-30 13:20 ライフスタイル
家事大っ嫌い~!40独女のQOL(生活の質)が爆上がりした2大時短家電
 7月よりドラマ「西園寺さんは家事をしない」(TBS系)が放送されるそうですね。 “干物女”を生み出したドラマ「ホタルノ...
40代もやらかす“プチ老害”の落とし穴 全長数十cmの長文LINEで見切れ
 40代にとっては他人事のように感じる「老害」ですが、実は今、40代の人から届く「プチ老害LINE」に困る若者が増えてい...
困り顔がたまらない! オッドアイ“たまたま”君にロックオン
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
今更「アイドル」になろう。そして、安倍なつみとCoCoの追憶
「おら、アイドルになる!」  そう叫んで、女の子走りでステージから捌けた瞬間、自分でブッと吹き出してしまう。アイド...
友史上極ネガ、ごめん連呼、Wi-Fiジャック…LINEの異変はSOSサイン?
 毎日ネガティブなニュースが流れる現代では、メンタルがやられてしまう人が少なくありません。  自分は大丈夫でも身近...
早咲きも遅咲きも
 桜の種類によって咲く時期はそれぞれ違うのだという。  ソメイヨシノは蕾が膨らみかけている白州で八ヶ岳を背に満開の...
ほっこり癒し漫画/第72回「爪切りはイヤイヤ」
【連載第72回】  ベストセラー『ねことじいちゃん』の作者が描く話題作が、「コクハク」に登場! 「しっぽのお...
「立てば芍薬 座れば牡丹 歩く姿は百合の花」って最上級の褒め言葉?
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「女ことば」では、女性にまつわる漢字や熟語、表現、地...
インフルだから修学旅行ずらせる?⇒令和も健在!“あたおか”モンペの恐怖
 モンスターペアレント、略してモンペ。自己中心的、理不尽、過保護、クレーマーとして学校や教師を悩ませる存在ですが、LIN...
私が見た最凶の闇ホステス!後輩いびり、“ブルーカラー”のお客様を蔑む女
 ホステス歴10年。スナックへの愛は今も増しており、これからもスナックの良さを知っていただくべく、何か綴れたらと思ってい...
“取り柄のない”自分の才能の見つけ方 手作りも副業も無理…深く悩まないで
 コロナ禍以降、近場のイベントを楽しむ人が増えました。そのなかで伸びてきているのが、手作りのものを販売する市場的イベント...
お花畑に2匹目の“たまたま”が♡ 今日の恋愛運はいかがかにゃ
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...