「やられた」を「やらかし」に…夫の不倫を応援した妻の思惑

うかみ綾乃 小説家
更新日:2020-07-29 05:15
投稿日:2020-07-22 06:00

おしどり夫婦に起きたある事件

 私の知人にも、この幕の下ろし方の上手な奥さんがいました。

 彼女、H美さんと夫のKさんは、大学時代からの付き合いで、卒業してすぐに結婚。カメラマンとして収入の不安定だったKさんを、H美さんが実家からの仕送りや自身のアルバイトで支えていました。

 やがてKさんがカメラマンとして成功し、H美さんも趣味のカフェを開き、仕事も生活も安定していた40代半ば。Kさんが突然、アシスタントのJ子さんと恋仲になりました。J子さんはカメラマン志望の23歳でした。

 最初のうちは、「Kさんの女の子好きがまたはじまった」と仕事関係者も笑っていました。

 Kさんが若く可愛い女の子にプローチしたがるのはいつものことで、でも本人はそうモテるタイプではなく、強く押すわけでもなく、「まあ、あの人は始終、誰かにときめいて振られるまでが趣味だからね」というのが周囲の見方でした。

 H美さんも「この人は恋をしたらいい仕事をするから」とほがらかに言う人で、なんだかんだ二人はおしどり夫婦でした。

うかみ綾乃
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小説家
2011年「窓ごしの欲情」(宝島社文庫)で日本官能文庫大賞新人賞受賞。’12年「蝮の舌」(悦文庫)で第二回団鬼六賞大賞受賞。コラムニスト、映画の原作&脚本家としても活躍中。近著に「蜜味の指」(幻冬舎アウトロー文庫)。2020年から原作映画『モンブランの女』(『モンブランを買う男』AubeBooks)が全国で公開中。
ブログ http://ukamiayano.blog.fc2.com/

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