ライブ配信では日常風景? “色恋営業”で投げ銭を集めるひと

並木まき ライター・エディター
更新日:2020-12-24 23:32
投稿日:2020-10-02 06:00
 ライブ配信は、まさに魑魅魍魎(ちみもうりょう)がうごめく世界。今日も今日とて、多くのライバーやリスナーは、配信をめぐってアレやコレやの大騒ぎでございます。メンタル心理カウンセラーであり、配信者としての顔も有する並木まきが、“ライブ配信にいるアレなひとびと”を解説するこちらの連載。記念すべき1回目は「色恋営業に走りたがるひとびと」でございます。

アレな人図鑑1:色恋営業でギフトをかき集めたがるひと

恋心につけ込んで投げ銭を稼ぐ(写真:iStock)
恋心につけ込んで投げ銭を稼ぐ (写真:iStock)

 ライブ配信主であるライバーは、リスナーからのギフトをもらってナンボの世界。配信事務所に所属する公式ライバーには、厳しいノルマを課せられている人も少なくありません。最初のうちは正攻法でギフト集めに精を出していたライバーでも、だんだんと焦りが芽生えた結果、色恋営業にシフトする話も多いのでございます。

「ギフトを投げてもらうなら、色恋が一番手っ取り早い!」と豪語するライバーさんもいまして、それはまるで【密着歌舞伎町24時】(こんな感じのテレビ番組がありましたよね?)の様相です。

 とは言っても、ライブ配信は基本的に「デジタル」の人間関係で成り立っていますので、ひと口に色恋と言っても、デジタルの世界だけで完結する上級者もいます。「アレ」な感じに映りがちなのはやはり、リアルな世界にデジタルな人間関係を落とし込むツワモノでございましょう。

 それはもう魑魅魍魎(ちみもうりょう)の極みと言えるくらいの凄まじさ。配信上で狙いを定めたリスナーに対し、ダイレクトメールを送信しまくり、LINEの交換をせがみ、さらにはデートに持ち込んで、若さや美貌、イケメンをウリに「あなただけが、自分にとって特別な人」感を演出しながら、巧みに投げ銭を集めるのです。

毎日見ることで好意が高まる「ザイオンス効果」

「ザイオンス効果」というマジック(写真:iStock)
「ザイオンス効果」というマジック (写真:iStock)

 ところで「ライブ配信とは、なんぞや?」という人には、なぜ配信上での色恋営業が成り立つのか不思議でならないのでしょう。会ったこともない相手から色恋営業を持ちかけられても、そこには物理的な距離があることから「デジタルを通じた色恋営業を本気にするなんて、限られた人の話なのではないか?」と感じて当然です。

 しかし、ここにライブ配信固有のマジックがあるのです。配信はスマホで見る人も多く、リスナーは、ライバーと個人間でオンライン通話を楽しんでいるかのような錯覚に陥りやすいのです。そしてこの仕組みは、見ている人からライバーに対する心の壁が取っ払われやすい効果もあることから、何度か特定のライバーの配信を見ているうちに、さもその人と毎日テレビ電話で話しているかのような親しみを覚えやすいというわけ。

 さらに配信中には、リスナーからのコメントを通じた双方向コミュニケーションも成り立つので、まるで古くからの友人と、日課のテレビ電話を楽しんでいるかのような特殊な感覚を覚えやすいのです。

 また、ライブ配信者は毎日コツコツと配信をするのが基本スタイルなので、同じ顔を毎日見ているうちに、旧知の間柄であるように錯覚しやすいうえに、同じ相手に繰り返し接触することで好意が高まる「ザイオンス効果」も生まれるのです。

 なんともまぁ、色恋営業が成り立ちやすい仕組みですよね。

おわりに

 どんな世界でも、どのようなやり方で上を目指そうとも、それは個人の自由。さりとて、人間としての品格を失ったかのような行動に出てしまえば、やっぱり「アレな人」として映るのも事実でございましょう。

 もちろん、真っ当な方法でライブ配信を楽しんでいる方々もたくさんいらっしゃいますが、一方で「アレ」な人たちもゴロゴロ生息しているのが、ライブ配信界のリアルでございます。

並木まき
記事一覧
ライター・エディター
元市議会議員・時短美容家(一般社団法人 時短美容協会・代表理事)の肩書きを有する。20代から見聞きしてきた魑魅魍魎(ちみもうりょう)な人間模様への分析を活かし、美容や恋愛に関するコラムを中心に、さまざまな媒体に寄稿。
Instagram公式HP

日刊ゲンダイ掲載「あの人は今」
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geino/277865

ライフスタイル 新着一覧


私って性格悪い? 自分のダークサイドを自覚した4つの瞬間
 誰の心にだって、優しい部分と優しくない部分が存在するもの。そうわかっていても、自分の心のダークサイドを自覚すると「もし...
卒入学、彼岸、送別会【花屋が教える】予算内で理想の花束を贈る7カ条
「斑目さん、今年こそは頑張って期限内にお願いしますよ!」  お正月がなんとなく終わったばかり、なんて思っていたら、我が...
「とにかく盛り上がるやつ頼むよ」ってさぁ 先輩の無茶ぶりLINEがすぎる
 お笑い芸人の松本人志とその後輩芸人たちによるアテンド飲み会が話題になっていますね。  ニュースの真偽はともかく、...
2024-02-21 06:00 ライフスタイル
仕事のサボりがバレた瞬間4選 リモートワークは意外と見られている!
 近年では、リモートワークやフレックスタイムなどの制度が導入されて、数年前よりも働きやすくなりました。  一方で、自由...
真似から始まったファッションも、いつか体に馴染むもの
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...
年の差婚の弊害?夫の“昭和の価値観”を持つ息子の将来が不安すぎる件
 セックスレスやセルフプレジャー、夫婦の在り方などをテーマにブログやコラムを執筆しているまめです。  私の夫は10...
仕事のモチベが上がらない!30女40女のやる気スイッチをONにするテク
 どんなに好きな仕事でもモチベーションが上がらない時だってありますよね。気持ちが乗っていない時は、ミスしたり、時間が永遠...
この子を育てるのは無理かも…発達障害児がストレスで鏡に刻みかけた言葉
 ステップファミリー6年目になる占い師ライターtumugiです。私は10代でデキ婚→子ども2人連れて離婚→シングルマザー...
菜の花の小道で一触即発! 道を譲るのはどっちの“たまたま”
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
今夜は誰と出合おうか…人で溢れる街の隅っこに転がる心
 先に仮想世界(?)でお互いを見つけて、そこから顔を合わせるって最初は気まずくないのかな? と昭和の世代は思っちゃうけど...
水商売の水は流水説 夜の街で働くホステスやホストだけが当てはまるの?
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「女ことば」では、女性にまつわる漢字や熟語、表現、地...
2月相次ぐ地震で“南海トラフ”がトレンド入り 専門家の警戒する地震は?
 2月15日午前10時8分、京都府南部で震度3(マグニチュード=M3.7)の地震が発生。14日にも同じ場所で震度4(M4...
贈り物に「無理して喜ぶ」はNG行動 本当にイイ女は“感動コスパ”の猛者
 誰かに喜んでもらえるのって嬉しいですよね。そして小さな労力でたくさん喜んでもらえたら、もっと嬉しいですよね。それが“感...
シャトレーゼ専用のポイ活は知らなきゃ損! 激アツ宿泊特典&賢い裏ワザ
 シャトレーゼのお菓子はよく食べているのに、シャトレーゼのポイント「カシポ」を知らないなんてもったいない! 「カシ...
イラッ!遅刻を許せない私は心が狭い? 穏やかな心を保つ3つの考え方
 会社や約束の時間に、平気で遅刻を繰り返す人を見ると「許せない!」と感じる人は多いはず。とはいえ、自分がイライラすれば周...
朝日に向かって飛び立つハクチョウにも悩みがあるとしたら…
 朝日を浴びて飛び立つハクチョウたち。並んで飛んでいるけど、それぞれどんな立場で、どんな関係なんだろう。  きっと...