和食の基本と潔さ 手間をかけただけおいしくなる「煮ガキ」

コクハク編集部
更新日:2020-11-12 06:00
投稿日:2020-11-12 06:00
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は新潟・新発田の寿司の名店「登喜和鮨」の中小林宏輔さんに、旬の素材を使った「煮ガキ」のレシピを教えていただきました。

塩とダシだけでうま味を引き出す

合う酒=日本酒(C)コクハク
合う酒=日本酒 (C)コクハク

 素材を生かし余計な手を加えない――和食の基本中の基本ですが、そうは言ってもつい余計なアレンジを加えたくなるのが素人たるゆえん。もちろん比べるのもおこがましいですが、越後の城下町・新発田で名店と知られる「登喜和鮨」3代目の小林さんは、その基本中の基本をかたくなに守る料理人です。

「どうぞ」とだけ言ってカウンター越しに差し出されたこの煮ガキ。ひと口食べて驚きました。アン肝のような濃厚なうま味。カキ特有の生臭さは一切なく、後味はさっと引いて潔い。香り華やかでキレのある純米吟醸酒に合います。

 作り方を聞くと「塩でもんで余分な水分をとり、後は昆布ダシでコトコト煮るだけですよ」と事もなげ。しかし、もんだ塩を洗ったり、昆布ダシで煮る前に霜降りにしたり、流水で冷ましたりと、こまごまとした手間がかかります。

「そうそう、昆布ダシの温度は58~60度をキープ。鍋を火から外したりしてなるべく一定に保って下さい」

 それでおいしくなるならやるしかない!?

【材料】

・生食用カキ 500グラム
 ※なるべく大きな粒を

・ダシ用昆布 20グラム程度
・水 800ミリリットル
・塩 30グラム

【レシピ】

(1)鍋に昆布と水を入れ火にかける。60度になったら弱火にし、最低30分火にかける。
(2)カキを水でよく洗い、ザルで水をよく切る。
(3)ボウルに移したカキにまんべんなく塩をかけてもみ、そのまま20分置いて、流水で洗う。
(4)沸かした湯でカキを霜降りし、流水で急冷。
(5)58~60度に保った昆布入りの鍋に霜降りしたカキを入れて煮る。約20分後、耳たぶくらいの硬さになったら完成。

本日のダンツマ達人…小林宏輔さん

▽小林宏輔(こばやし・こうすけ)
 1979年、新潟県新発田市生まれ。東京の魚問屋が営む鮨店「魚真」で板前修業を積み、2010年に帰郷。17年のリニューアルを機に「登喜和鮨」3代目を襲名。

▽登喜和鮨
 新潟県北部に位置する新発田市に昭和29年創業。飯豊連峰の山の幸と日本海の海の幸、それぞれの素材を引き出すことにこだわる。近ごろは県外からも多数来客。地酒も数多く揃える。新潟県新発田市中央町3―7―8。

(日刊ゲンダイ2019年11月26日付記事を再編集)

コクハク編集部
記事一覧
コクハクの記事を日々更新するアラサー&アラフォー男女。XInstagram のフォローよろしくお願いします!

関連キーワード

フード 新着一覧


30代女が鬼リピ! コンビニで買えるストレス解消アイテム4選
 忙しい日々を過ごすみなさん、ストレスケアはしていますか? 少しぐらいは耐えないと……とストレスを放置しているとお肌にも...
これぞ新世界の味!絶対外さない「ニューワールドの“神旨”ワイン」3銘柄
 フリーアナウンサーの市野瀬瞳です。ワイン好きが高じて猛勉強の末、ワインエキスパートと世界共通のワインの国際資格である「...
市野瀬瞳 2023-09-06 06:00 フード
ハリボーのクマに洋酒を吸わせたらプルンプルン! 映えるお酒アレンジ3選
「家から一歩も出たくない病」を発病してから、はや数年……。やれ紫外線が気になって……化粧はめんどくさくて……と理由をつけ...
2023-09-02 06:00 フード
「叩きキュウリ」簡単定番だからこそ、うまさ倍増のひと手間は下処理
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は東京・富士見ヶ丘の「HONGKONG DININ...
懐かし味! 目玉焼きのっけナポリタン。麺も卵もレンジ一発、爆速で完成
「爆速レシピクリエイター」およねさんが考案する《最小限の工程で》《最低限の洗い物で》作れる、まんぷく連載「およねの爆速!...
およね 2023-08-28 06:00 フード
「キュウリとトマトのマリネ」万能ドレッシングはゴーグル着用で仕込む!?
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は東京・月島の「食堂 ユの木」の土屋為芳さんに、バ...
ワインの師匠も納得!濃厚アイスにドンピシャな“高コスパ”甘口発砲ワイン
 コンビニでつい手にとっちゃう! 自分へのご褒美でついお取り寄せしちゃう! みんな大好きなアイスクリーム♡  最近...
市野瀬瞳 2023-08-23 06:00 フード
大阪みやげ6選 新大阪駅構内で買える! 2023.8.22(火)
 東京から新幹線で2時間半。今回は、大阪の魅力を手軽に味わえるおみやげをご紹介します。独自の味と歴史が詰まった大阪ならで...
市販の白だしでチョー簡単!「水茄子とみょうがと三つ葉のおかか和え」
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は東京・茅場町の「ギョバー茅場町店」の菊地博さんと...
グラグラ茹でずに“ぽきっ”とレンチン一発!「ベーコンの生レモンパスタ」
「爆速レシピクリエイター」およねさんが考案する《最小限の工程で》《最低限の洗い物で》作れる、まんぷく連載「およねの爆速!...
およね 2023-08-14 13:54 フード
大衆居酒屋「丸千葉」といえば、下町のエメラルド! 2023.8.13(日)
 東京・南千住にある人気大衆居酒屋「丸千葉」。  どれを頼もうか目移りするぐらい、吞兵衛のココロをくすぐる肉・魚・...
麻婆豆腐にはビール派?1本800円台で楽園に行ける「泡ロゼ」の世界へ
 うだるような暑さこそ食べたくなる(!)ピリッと辛い麻婆豆腐。麻婆豆腐が大好きなので、特に夏はいろんなお店の麻婆豆腐を食...
市野瀬瞳 2023-08-09 06:00 フード
ズボラ最強!「流水麺」で汁なし『鮭マヨアボカド混ぜそば』をガッツリ
「爆速レシピクリエイター」およねさんが考案する《最小限の工程で》《最低限の洗い物で》作れる、まんぷく連載「およねの爆速!...
およね 2023-07-31 06:00 フード
夏バテ撃退!ロイヤルホストで目玉付き朝カレー♡ 2023.7.29(土)
 一日の計は“朝ごはん”にあり――。今回はファミリーレストラン「ロイヤルホスト」のモーニングにお邪魔しました。
夏の一品!「ホタテとモロヘイヤのガーリックバターソース」白と合う♪
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は東京・中目黒の「Bar à Vin ムッシュヨー...
ガツンと焼肉に仏の赤ワイン! タン塩、ホルモン…なんでもイケる1本♡
 夏到来! 連日の暑さで夏バテ気味だったり食欲が失せたり……。そんな日はガツンと焼肉を食べながらワインを楽しみませんか♪...
市野瀬瞳 2023-07-26 06:00 フード