異なる味のハーモニーを楽しむ
糸ウリもナスも旬は夏。ですが今や真夏の果物スイカも冬に食べられる時代。秋冬に涼しげな一品をいただくのも一興です。
ナスのおひたしは、個人的に大好きな料理。口に入れた途端、ジュワッとダシがあふれ出てくるのがたまりません。今回は糸ウリとの共演です。茹でるとほぐれてそうめん状になることから、そうめんカボチャとも呼ばれるそう。
ガラスの容器にナスと糸ウリが上下重なって出てきました。まずはナスから。ほんのりついた焦げの香りが食欲をそそります。吸い地のほのかな塩気が爽やか。続いて糸ウリ。シャリシャリとした食感がたまらない。ん? ナスのダシと違う?
「ええ。少し濃いめにしています。異なる味が口の中で合わさることで、よりバランスがととのい、深みが出るんです」
なるほど、今度は両方をよくまぜて一緒に食べてみます。先ほどとはまた違う複雑な味に変化。手間はかかりますが覚えておきたいテクニック。料理の幅が広がりそうです。
【材料】
・焼きナス 1本
・糸ウリ 2分の1
<焼きナスのひたし汁>
・鰹ダシ 180ミリリットル
・酒 少々
・塩 小さじ1
・薄口醤油 少々
・みりん 少々
<糸ウリのひたし汁>
・鰹ダシ 10ミリリットル
・酒 10ミリリットル
・濃い口醤油 10ミリリットル
・みりん 10ミリリットル
・追い鰹 適量
【レシピ】
(1)焼きナスを作る。網にのせ、コンロのじか火で焼く。皮が焦げて軟らかくなったら冷水に落とし、指で皮をはぐ。
(2)ひと煮立ちさせた焼きナスのひたし汁の中へ1を入れる。キッチンペーパーをかぶせ、冷ましたら小口に切る。
(3)糸ウリを切って、茹でる。糸状になったら、ザルにあげて、流水で冷ます。
(4)ひと煮立ちさせた糸ウリのひたし汁へ3を入れ、追い鰹(キッチンペーパーに削り節適量を包んで一緒にひたす)。そのまま冷ます。
(5)糸ウリの上に、小口に切った焼きナスをのせて完成。
※写真はモズク入り
本日のダンツマ達人…小林宏輔さん
▽小林宏輔(こばやし・こうすけ)
1979年、新潟県新発田市生まれ。東京の魚問屋が営む鮨店「魚真」で板前修業を積み、2010年に帰郷。17年のリニューアルを機に「登喜和鮨」3代目を襲名。
▽登喜和鮨
新潟県北部に位置する新発田市に昭和29年創業。飯豊連峰の山の幸と日本海の海の幸、それぞれの素材を引き出すことにこだわる。近ごろは県外からも多数来客。地酒も数多く揃える。新潟県新発田市中央町3―7―8。
(日刊ゲンダイ2019年11月29日付記事を再編集)
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