お盆と何が違うの? アナタの心を整える“お彼岸のススメ”

斑目茂美 開運花師
更新日:2021-03-17 06:29
投稿日:2021-03-17 06:00

そもそもお彼岸ってなんですか? お盆との違い

 世の中には「お盆」と「お彼岸」の区別や意味をご存知ない方が、たくさんいらっしゃると思われます。

 恥ずかしながら、花屋になってから、ちゃんとこの二つの大事な日本の風習を知ることになったワタクシ。

 平たくいえば「お盆」は亡くなった方が(あの世)から帰ってくると言われておりますが、「お彼岸」は帰って参りません。

 そして、「お彼岸」とは、国民の休日である3月の春分の日と、9月の秋分の日をそれぞれ挟んだ前後3日間、つまり計7日間のことでございます。初日は彼岸の入り、春分の日と秋分の日当日は中日、さらに最終日は彼岸の明けとよばれております。

 春分と秋分の日付は年によって変動いたしますが、2021年の春分の日は3月20日で、彼岸の入りは3月17日、彼岸明けは3月23日でございます。

「みんなが行くから行くけど、本当はお彼岸ってよくわからないままお墓参りをしています」

 花屋の店頭で時々言われることでございますが、そんなときワタクシは決まってこう答えます。

お彼岸とは、あの世とこの世が最接近する一週間だからでございます

 お彼岸は平安時代の中期に始まったとされていて、もともとご先祖様や太陽などの自然信仰のあった日本独自の行事でございます。とりわけ、仏教の宗派のひとつである浄土宗(浄土思想)の影響を強く受けていると言われております。

 煩悩や迷いの苦しみをクリアして悟りの境地に到達した川向こうを「彼岸」と呼び、我々煩悩にまみれた人間の住むこの世(此の世)を「此岸」と呼びました。また、浄土信仰では“極楽浄土”は西の果てにあるとされ、仏様の世界である「彼岸」は西の先にあると考えられておりました。

 太陽の動きが真東から昇ってまっすぐ一直線に真西に沈む春分・秋分の日は、まさに今を生きる我々の住む「此岸」と最果ての西にあるとされるご先祖様の住む極楽浄土の「彼岸」が、もっとも通じやすくなるとされています。ご先祖様のご冥福を祈る思いが通じやすくなり、自らも悟りの境地に到達できるのではないかぃ? という気分になるのも、このお彼岸ウィークだと言われております。

 つまりは、春分・秋分の日前後3日を合わせた一週間はまさに、「彼岸」と「此岸」の交流ウィークであり、その交流場所が「お墓」なのだそうで、そういった意味でもお彼岸の「お墓参り」は行うべき日本の風習なのでございます。

お彼岸に欠かせないものとは

「暑さ寒さも彼岸まで」ということわざもあるように、お彼岸は季節の重要な節目でもあります。

 ワタクシのような花屋にしてみれば、たとえば「鉢物植物の植え替えはお彼岸が目安でございますわよ」といった具合に、お彼岸は一つの節目であり、季節とともにお花の種類も切り替わってまいります。

 お彼岸にご先祖様にお供えするものといえば、邪鬼祓いの赤い色をした小豆を使った「おはぎ」「ぼたもち」、そしてなくてはならない「供花」でございます。

 そこでお墓参りにアナタが行かれる際には、造花ではなく生きたお花を持って行くのが大事なポイント。

 仏様は生気を食すと申します。生きた花は、亡くなった方にしてみたら「食べ物」と同じ。お供えには欠かせないものでございますよ。

 春のお彼岸は、お供えするお花の種類がまさに豊富。仏様にしてみたら、生気とともに、香りもお線香ともども重要な食べ物でございます。

 春のこの時期、菊はもちろんでございますが「ストック」や「スイトピー」、「ユリ」や「フリージア」などは香り高くオススメ。

 昔ながらの仏花にこだわらず、故人のお好きだったお花やアナタのお好きなお花をお供えしてもよいのでは。

「墓参り」なんてしないというアナタへ

 そして、「私はお墓参りなんて行けないわ」というアナタ。このご時世、遠出を控える方も多いとは思われます。それにお彼岸は平日も含んだ一週間ですから、無理もないことでございます。

 また、「私のご先祖は誰も知らない」あるいは「認識しているご先祖は全員生きている」というアナタ。しかし、そういう方にも、亡くなった「ご先祖様」という方はあの世にいらっしゃるものでございます。

 でも、お墓参りに行くばかりがご先祖供養ではございませんよ。

 たとえ花一輪でも、アナタのお家のお玄関、おトイレ、リビング……どこであってもご先祖を思って飾り、「ご先祖様、ありがとうございます」と心の中で唱えるだけで、ご供養になると知り合いのお坊さんがおっしゃっておりました。

 お彼岸とは、ひととき彼岸にいるご先祖様を思い、今の自分がいることをご先祖様や生き物に感謝することで自分の心が整い、きれいになった素直な気持ちになれる行事。そして、どんなに小さなものでも幸せを感じるのが得意な「幸せ体質」になれるのではなかろうか……と思う、ワタクシなのでございます。

 生きたお花で迎えるお彼岸が、アナタにとって有意義な一週間でありますことを……遠いお空の向こうからお祈りしておりますよ~。

斑目茂美
記事一覧
開運花師
半導体エンジニアを経て花業界に転身。イベント・ホテルなどの装飾も手がける生花店を営む傍ら、コンテストで優勝・入賞を重ね、雑誌・新聞等に作品を発表する。神奈川各所にて花教室を開催。障害者支援も花で実践。悩ましくも素敵なお客様を「花」で幸せへと導く道先案内人。ブサかわ猫店長「さぶ」ともに奮闘中。Facebookやってます。

ライフスタイル 新着一覧


ピルの価格はどれくらい? ピルを安く購入する4つのポイント
 これまで、ただの「避妊薬」ではないピルのメリットや効果について連載の中でお話ししてきましたが、うっかりお伝えし忘れてい...
楽しく健康に! 老後に趣味を持つメリット4つ&おすすめ趣味
 もともと介護士をしていた筆者は、今でも高齢者とたくさんの交流があります。まだまだ老人ホームに入る必要がない“現役”の高...
SNSに疲れた女性が急増中! SNS疲れの原因と賢い対処法3つ
 女性のみなさん。流行りのSNSを楽しんでいるでしょうか? InstagramにTwitterなど趣味の合う人たちの交流...
仕事のやる気が出ない…目標設定で再び“やる気スイッチ”ON
 仕事をするためのモチベーションって大切ですよね。私は名指しで任されたものについては、はりきっちゃうタイプです。特に得意...
猫に挨拶しながら坂道を…広島・尾道は猫好き女子にお勧め
 猫好き女子の旅にぜひお勧めしたい、瀬戸内海に面した坂の町、広島県・尾道。  昭和の面影を残す商店街、パワースポッ...
人前で緊張しないための考え方&あがり症を克服する方法♪
 結婚式でのスピーチや大勢の前で自己紹介や発表をする時、「どうしても緊張してしまう……」と悩んでいませんか?  せっか...
冬の乾燥肌対策にも 可愛らしい「月桃」の実の効能と活用法
 秋も深まり朝晩がめっきり寒くなると、冬の匂いのする時間が日を追うごとに長くなってまいります。冬はお花屋にとっては微妙な...
男の子なのにどうして? 女の子の服ばかり着たがる理由とは
 保育園ではたまに女の子の服を着たがる男の子がいます。その姿を見て、特に心配するまではいかなくても「なんでこの服ばかり選...
見返りで大見得を…まだあどけないお子さま“にゃんたま”
 世界で1番可愛い下ネタ。  きょうは、にゃんたまω未成年ショットです。  この猫島で唯一、ピンクの可愛い首...
友達がいないのは寂しくて変? あなたに友達がいない理由3つ
 インスタグラムやツイッターなど、SNS全盛期の昨今。インスタ映えを狙ってフォトジェニックなレジャースポットに友達と出か...
今しかできない? 花の独身時代に済ませておきたい4つのこと
 結婚をしていないうちは「早く身を固めてしまいたい」「さっさと結婚して安定した暮らしがしたい」と思いつめてしまいがち。で...
楽しい老後を送りたい! 忙しい30代から準備できる4つのこと
 仕事にも慣れてきた30代。結婚して生活が変わったり、仕事と育児の両立であったりと、人によっては一番忙しい時期かもしれま...
もう2度と…子宮全摘&腸閉塞と全力で闘った30日間入院生活
 私は42歳で子宮頸部腺がんステージ1Bを宣告された未婚女性、がんサバイバー2年生です(進級しました!)。がん告知はひと...
草むらをくんくん…“にゃんたま”君の探し物は何ですか?
 無限に見ていたいパーツNo.1といえば、にゃんたま!  今回は探し物中のにゃんたまにロックオン。  たしか...
苦手な人との向き合い方! 職場の人間関係を円滑にするコツ
 仕事の内容には慣れてきたし、プライベートも楽しくできている。ただ、「職場に苦手な人がいるっ」――。そんな方も多いと思い...
自分で皮下注射も…採卵手術前日までにやるべき3つのこと
 日本は不妊治療の件数は世界一なのに、体外受精で赤ちゃんが産まれる確率は最下位。そんな状況を変えるために、ミレニアル世代...