縁起が悪いっていうけれど…実はご利益たっぷりな「菊の花」

斑目茂美 開運花師
更新日:2021-09-08 07:05
投稿日:2021-09-08 06:00

「菊は縁起が悪い」と思われる理由

 「菊は縁起が悪い」と言われるのは、「お葬式に使われているから」の一言に尽きるのでございます。

 これって「死」にまつわるものを「穢れ」と思う、日本ならではの感覚でしょう。「縁起が悪い」というのは、あくまでもイメージ。本来の菊は、その逆「縁起が良い」お花なのでございます。 

 実は本来、日本の葬儀で使われていた植物は菊ではなく、密教には欠かせないアイテム樒(しきみ)と呼ばれる香木でございました。ワタクシのように関東に住む者にはあまり馴染みがございませんが、仏花として関西ではいまだその風習が残っている地域がございます。樒(しきみ)は神棚に上げる榊とも似ておりますが、まったく別物。

 樒(しきみ)は常に緑の葉を保ち、古くから「邪気を払い、死者を悪霊から守る」とされており、その独特な香りは死臭をカモフラージュするだけでなく、根から枝、葉、花にいたるまで、全身に「アニサチン」という猛毒を含んでいるため、お葬式だけでなくかつては土葬だった墓地に植えることで、虫や鳥獣からご遺体を守る役割も担っておりました。

 しかし、そんな「お葬式には樒」の決まり事が、いつから「お葬式には菊」になってしまったのでしょうか。

 諸説ございますが、これは西洋文化を積極的に取り入れた明治時代頃ではないか……といわれております。

 そもそも「葬儀屋」というお商売ができたのも江戸時代からで、西洋で普通に飾られていた白い菊の花を「日持ちするし、きれいだし、葉っぱを飾るより花のほうが良くない?」と、近代文化を目指していた日本が真似をして、身近にあった菊の花を飾るようになったのでは?と、いわれているのでございます。

 ところが、現代のお葬式で飾られるのは、もはや菊とは限らないのでございます。

 いつの間にか白木祭壇が花祭壇へと代わり、胡蝶蘭やバラなど、色・種類ともに在りし日の故人のイメージに合わせたバラエティ豊かな祭壇へと変貌いたしました。

「葬儀に菊」という神話はどこかへぶっ飛び、「葬儀の花はなんでもアリですごくきれい!」に、進化を遂げておりますのよ。

そもそもすごい縁起物! 菊の凄さ

菊を飾ると福が来る」といわれた、邪気を払う菊の花。

 以前、9月9日に盃に菊の花を浮かべた菊酒を飲む「重陽の節句と菊」についてのご説明はさせていただきましたが、中国伝来の菊は古来より「寿命を延ばす霊薬」とされており、邪気祓いを伴った菊の逸話はやたらとたくさんございます。

 たとえば、「山に咲く菊の雫を飲むと不老不死になる」「菊の根を洗った川の水を飲む集落はみなご長寿」など。限りある命の中で生きる我々人間の永遠のテーマ「不老不死」と、超絶縁起物「菊」のコラボレーションは、中国だけでなく、古の日本の各地に伝えられているのでございます。

 そしてさらに驚くのは、ドイツ南西部に伝わる“クリスマスイブに貧しい農家に突然現れたイエスキリストが純白の菊に変身しちゃった伝説”。「縁起物を通り越して、もはや神」になってしまっていて、菊ってどんだけありがたい花なんですか?と、花屋であるワタクシでもその存在に驚くばかりでございます。

斑目茂美
記事一覧
開運花師
半導体エンジニアを経て花業界に転身。イベント・ホテルなどの装飾も手がける生花店を営む傍ら、コンテストで優勝・入賞を重ね、雑誌・新聞等に作品を発表する。神奈川各所にて花教室を開催。障害者支援も花で実践。悩ましくも素敵なお客様を「花」で幸せへと導く道先案内人。ブサかわ猫店長「さぶ」ともに奮闘中。Facebookやってます。

ライフスタイル 新着一覧


にゃんたまを求め東へ西へ…私の人生にはどんな因縁がー!?
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
夢と現実が入り交じる場所 2023.2.13(月)
 ミュージカル映画で歌が始まると、慣れなくて一瞬だけ気恥ずかしくなる。  だけど、すぐにそんなことは忘れて、スクリ...
窓の外を眺めて1日が終わったっていい 2023.2.12(日)
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...
人付き合いの“やらかし”から学ぶ「感情系語彙力」の大切さと鍛え方
 みなさんは、自分のことを語彙力が豊富な方だと思いますか? それとも口下手だとか、無口な方だと思うでしょうか。円滑なコミ...
トルコ大地震前に“不気味な雲”の目撃情報が…注目すべき前兆現象とは?
 トルコ南部のシリア国境近くで6日、マグニチュード7.8の地震が発生し、両国では1万5000人を超える死者が出ている(日...
冷気に青空が滲みる、春はまだかな? 2023.2.10(金)
 鉢に張った水をのぞくと、青い空が映りこんでいた。  空気が澄んでどこまでも広がる冬の空はきれいだけど、こうも寒く...
罪悪感は無用!しごでき女の在宅ワークは昼寝で効率アップ
 コロナ禍をきっかけに、在宅ワークも当たり前の働き方になりました。でも、気分がのらなくてついサボってしまったり、逆に休憩...
梨花に刺激され、産後に太った自分と向き合う 2023.2.9(木)
 先日、ある芸能ニュースに目が行きました。ハワイに住むモデルの梨花が「過去マックス」の体重に「激太り」したという記事です...
猫吸いしたい! ふわふわマシュマロ“たまたま”にロックオン
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
先輩LOVEな後輩の暴走LINE3選 好きすぎて隣の県までお引っ越し♪
 仕事でも学校でも、自分よりも先に経験を積んでいる「先輩」はかっこいい姿に映り、憧れ、尊敬、信頼などいろいろな感情が湧い...
「受験生に贈る花」がんばる人に合格祈願のエールとパワーを
 すっかり初老のワタクシ、人生に疲れを感じる今日この頃。いろいろなことを相談して元気をもらえる相手は、自分の子供世代とも...
久しぶりの友人に会って「中学生」に戻った 2023.2.8(水)
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...
ママの自分時間は無理やり作る!VTuberの推し活にハマったら
 ステップファミリー6年目になる占い師ライターtumugiです。私は10代でデキ婚→子ども2人連れて離婚→シングルマザー...
“たまたま”がハート型♡ 尊すぎるにゃんたま様に思わず合掌
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
旅立ちはいつも気持ち高ぶる 2023.2.6(月)
 出航時の揺れには慣れていても、旅立ちはいつも気持ち高ぶる。  目的地に着くまでは海の上。この景色もしばらく見納め...
「ポイント稼ぎしてるんだ~」にゾッ!女の妬み怖ぇLINE3選
 あなたがこの世で最も怖いものはなんですか? 中には「女の妬(ねた)みが一番怖ぇ」と思っている人もいるでしょう。 ...