近いのに遠い実家…娘が孫を連れて出戻ってきた時の親の心

孔井嘉乃 作詞作曲家・ライター
更新日:2021-10-27 16:12
投稿日:2021-10-26 06:00
 はじめまして。シングルマザー3年目の孔井嘉乃です。私には、6歳になる息子がいます。
 家庭の事情はそれぞれあって、離婚に至った経緯なんて誰とも分かり合えません。でも、「シングルマザー」になった女性に共通する思いは、きっとあると思います。
 まだまだシンママ歴が浅い私ですが、日々の中で感じていること、自分の中で消化できたこと、解決していないこと、そんなことをこの連載「シングルマザーもいいじゃない」で、綴りたいと思います。

「近いのに、なぜか遠い場所」だった実家

 私が初めて一人暮らしをするために実家を離れたのは、26歳の時。一般的には遅い「親離れ」でした。

 結婚した当初は電車で30分くらいの距離に住んでいましたが、息子が10カ月の時、実家から歩いて1分半のマンションに引っ越しました。

 引っ越しをした理由はひとつではありませんが、仕事、家事、ワンオペ育児できつかった当時、「実家でちょくちょく息子を見てもらおう」という甘い考えがあったのは確か。

 でも、10年近く実家を離れてみると、お互いに生活習慣や考え方、いろんなことが変わっているもので、正直、関係がなかなかうまくいかない時期もありました。

 どちらかの家で風邪を引いた人がいたら、うつしてはいけないと会わないようにしたり、冷蔵庫を勝手に開けてはいけない気がしたりと、同居している家族だったらなんでもないようなことを過度に気にするようになっていました。

 また、私と実家、私と夫は「家族」でも、実家と夫はある意味「他人」。両方を立てようとして気を使い、どうにも疲れてしまうことも。

 “近いのに、なぜか遠い場所”——。それが、結婚中の私にとっての「実家」でした。

シングルマザーになって実家に帰った時のこと

 離婚後、子供を連れて実家に戻る人は30%ほどだと言われています。(参考:アットホーム「シングルマザーの住まいの実態調査(2017年)」)私は、その30%のうちのひとり。

 離婚をしようと悩んで今後の住まいを考えた時、真っ先に母に相談をし、父に話をつないでもらいました。最終的には二人とも納得してくれたように見えたものの、当然「できれば離婚なんてしないほうが良い」と思っていたことでしょう。

 そんな両親の気持ちを見て見ないふりをして、1カ月後には、私は息子を連れてせかせかと実家に引越しました。

 しかし、先述したように、“近いのに、なぜか遠い場所”だった実家。

 まるでどこかから来たお嫁さんのように「勝手に台所のものを触ってはいけない」というようなギクシャクした気まずさがあり、なんとなく“仮住まい”気分が抜けず、ベッドなんかも安いぺたっとした敷きパッドを用意し、「半年でお金を貯めて、息子と出ていこう」という気持ちでいました。

娘が孫を連れて出戻った時の親の心は?

 長い間、大事に育てた娘が結婚し、ママになり、ほっとしたのも束の間、4歳の孫を連れて出戻ってくるというのはどんな気持ちになるのでしょうか。

 それは、正直、まったくわかりません(笑)。

 特に、父は「the 九州男児!」という古い人間。この現代、「恥」とまでは思わないにしても、複雑だったことでしょう。私の離婚当時、わざわざ自分から「いや〜娘が孫を連れて出戻ってきてねぇ……」と、おおっぴらに話をしたとは到底思えません。

 ただ、反対もしませんでした。「大人だから」ということを尊重してくれたのでしょうし、私がいったん決めたら曲げないと分かっていたのだと思います。

 それに対して、前衛的な母。最初こそ、ほかの道はないのかと心配していたものの、私が近所で「出戻りました〜!」と伝えている時、一緒になって「そうなんですよ〜! ほんっと、お気楽娘で! でもね、人生一回っきりですしね!」なんて、言っていました(笑)。

孔井嘉乃
記事一覧
作詞作曲家・ライター
3歳からピアノを始め、現在は作詞作曲家&シンガーソングライターとして活動中。2014年からウェブライターとしての活動を開始。得意ジャンルは美容、恋愛、ライフスタイル。コスメコンシェルジュ、日本化粧品検定1級、ベビーマッサージ資格、乳児心理+児童心理資格取得。
2016年、ママユニット「mamakanon」を結成。活動5年目にして、YouTube再生回数1,200万回達成。2020年、フレンチシンガーバイオリニストソングライターとのDuo「ellipsis」を結成。両者の絶対音感を活かしてカバー演奏などを行う。
1児のママ。特技は早起き。ウィスキーが好き。

◇孔井嘉乃公式サイトmamakanon公式 YouTubeチャンネルellipsis公式 YouTubeチャンネル

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


都会の雑踏で聞こえた地元の方言 2022.10.23(日)
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...
大凶作のドラフト会議でイケメン“ザックザック大豊作”のなぜ
 今年のプロ野球ドラフト会議は空前の大凶作といわれていた。目玉となる選手はゼロで、多くの球団が争奪戦を繰り広げるようなス...
2022-10-22 06:00 ライフスタイル
「やりすぎ時短LINE」BBQの役割分担までエクセルにするの?
 忙しい社会人で時短術を活用している人はたくさんいますよね! でも、何事もハマりすぎは良くないようです。今回は、時短術に...
パワハラ虫に遭遇、最悪!でも「したたかな準備」で反撃可能
 仕事でもプライベートでも、パワハラ気味な人に遭遇してしまうと最悪ですよね。  災難だと思って諦めることもできますが、...
ヘアサロンから濡れ髪のまま飛び出てくる女、になった。
 書店員として本を売りながら、踊り子として舞台に立つ。エッセイも書く。“三足の草鞋をガチで履く”新井見枝香さんの月イチ連...
【ドンキ】エモい「情熱価格」激旨1位は… 2022.10.20(木)
 みなさん、ドン・キホーテは好きですか? 筆者は大好きです。右を向いても左を向いても物価高なこのご時世、「驚安の殿堂」っ...
本当の友情ですか? 同性の友達の束縛がつらいと思ったら…
 同性の友達に「束縛されてる」と感じたことはありませんか? その子との予定を最優先させられたり、あなたに彼氏ができると機...
まるでぬいぐるみ!モッフモフ高密度“たまたま”にキュン♡
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
友達ってなんだろう 2022.10.19(水)
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...
何コレ!? 天然の「旅人の木」はコバルトブルーの種がヤバい
 ある冬の日のお話しでございます。  猫店長「さぶ」率いる我がお花屋さんに、ややご年配の、でもやたらと威勢の良い殿...
アラフォーが「テヘッ」はねぇ…今どきの「痛い女あるある」
「いい年してそれは痛いでしょ」と思える言動をする女性、あなたの周囲にいませんか? 若い頃は「かわいい」と言われた行動も、...
服が捨てられない!片付け下手に神グッズ 2022.10.18(火)
「1枚服を買ったら1枚は捨てる」「触ってみて心がときめくか」「お店のように美しく飾る」などなど、クローゼットを整えるメソ...
どうしてそんなに尊いの?“たまたま”を真面目に考察してみた
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
家庭で簡単にできる節電対策6つ 子供が楽しめるアイデアも!
 東日本大震災のあと、日本中で節電運動がはじまった時、当たり前にある電気のありがたさを痛感しましたね。震災後ではなくても...
いつもの道にも秋が落ちている 2022.10.16(日)
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...