「毒親育ちの会」の彼、ほろ酔いの抱擁から全てが始まった#1

蒼井凜花 官能作家・コラムニスト
更新日:2024-08-22 17:25
投稿日:2022-01-21 06:00

毒親に「放任」されてきた男性との出会い

――おつらかったですね。

「はい……常に親の目、他人の目を気にして生きていました。ただ、社会人になって独り暮らしをするようになると、『親から離れるってこんなに自由なんだ』と、幸せになりましたよ。家事などの大変さも多かったですが、親の監視がないと、呼吸さえも楽になるというか……」

――そこで、今の彼と出会ったんですね。

「はい、会では参加者同士の自由歓談の時間を設けているのですが、最初に会った時から『背が高くて、ちょっと長めの髪がアーティストっぽくて素敵』と思っていたんです。さりげなく、近づくと、彼のほうから『よかったら、お話しします?』と声をかけてくれたんです。

 話をするとカメラマンの助手をするGさん(34歳・独身)でした。

 彼の場合は私の両親とは真逆でした。二歳上のお兄さんの成績がバツグンに良く、幼いころから常に比較されて育ったそうです。お兄さんが中高一貫の難関私立に合格した際は、両親は手放しで喜び、親戚中に自慢していたそうですよ。そんな優秀な兄ばかり可愛がり、両親はほとんどGさんと会話をしなかったそうです。

 たまに口をきくと、父は『まったくお前は誰の血を引いたんだか』と罵られたそうです。

 あまりにも実家の居心地が悪く、友人宅に泊まり歩くようになっても、両親は電話一本かけてこなかったそうで、放任ですね……。「毒親」と言っても、様々なタイプがあると感じました。

 そんなGさんは、有名医大を卒業して医師となった兄に反抗するように、アート系の専門学校に進み、カメラマンを目指したそうです。今はとある大御所カメラマンの助手をしているそうですが、パワハラや暴力は当たり前だそうで……。

 彼も私と同じように、人生や人間関係がうまくいかないのは親のせいだと感じて、参加したようです。

別れ際の突然の抱擁に…

――続けてください。

「会が終わると、Gさんは私に『せっかくだから、このあと呑みにいこうか』と誘われて……近くのカウンターバーに行きました。

 会ではネガティブな話ばかりでしたが、バーではお気に入りの映画や音楽、旅行などの話に花が咲きましたね。彼は仕事柄、海外に行くことも多く、モルディブの海やイタリアのベネチアは最高に美しいとか、目を細めていましたね。

 Gさんは彫りの深い端正な顔立ちなのに、笑うと少年のような無防備さがあって、指が長くて綺麗で……かなりときめいちゃいました(笑)。 

「毒親の会」に行って良かったと、予想外のご縁に感謝しましたよ。

 3時間ほど話し込んだでしょうか、そろそろ帰ろうと会計をして店の外に出た時、Gさんは私の真正面に立って『今日はありがとう。C子ちゃんに会えてとても癒されたよ』とぎゅっと抱きしめてきたんです。

 えっと驚きましたが、彼の思いのほか逞しい胸板に顔を押しつけていましたね。

『また会える?』という問いかけに『うん……私も会いたい』と、彼の背中に両手を回していました。

 ドクドクと高鳴る鼓動が同化していくようで……すごく幸せだったんです。

 続きは次回

蒼井凜花
記事一覧
官能作家・コラムニスト
CA、モデル、六本木のクラブママの経歴を持つ異色の官能作家。近著に「CA、モデル、六本木の高級クラブママを経た女流官能作家が教える、いつまでも魅力ある女性の秘密」(WAVE出版)、「女唇の伝言」(講談社文庫)。
オフィシャルサイトYouTube

関連キーワード

エロコク 新着一覧


セックス依存症男の浮気疑惑…成りすましLINEで真実を暴く!
 わたしとひろしの48歳差の激しすぎる恋――男は何歳まで男なのか、81歳との恋愛模様とはいかなるものなのか。ホットなイッ...
カラダ目的じゃダメ? モテたければ“都合の良い女”を目指せ
 モテない、誰も告白してくれない、食事に誘ってくれない……そんな悩みを抱えている女性は少なくありません。あなたもその一人...
“野菜バイブ”のイチ押しはコレ!ヘタ部分が意外な気持ちよさ
 大収穫~! カラフルな野菜が勢ぞろい……ではなく、新作のローター&バイブレーターです。  野菜を挿入って官能小説...
桃子 2020-01-24 17:25 エロコク
曖昧な関係だからこそ…セフレと上手につきあう方法とは?
 あなたは、どういった性の願望を抱いていて、ひそかに何をしたい/されたいと願っていますか。自分の性癖の形を知れば、もっと...
大泉りか 2020-01-16 18:00 エロコク
あんあん女子になれ! 女に嫌われるが男にモテる諸刃のテク
 男性にどんな女性が好きか聞くと「優しい性格」「おっとりした人」「笑顔が素敵な人」なんて答えが返ってきます。でも、なんだ...
電マ未体験の男性にも…小さめヘッドで攻めたら病みつきに?
 電マって、女性人気がいまひとつ。気持ち、わかります。大きなヘッドと強すぎる振動がコワイんですよね。  一方、電マ...
桃子 2020-01-12 06:00 エロコク
女衒の港区おやじと中出しに異常に執着する港区こやじの巻
 わたしとひろしの48歳差の激しすぎる恋――男は何歳まで男なのか、81歳との恋愛模様とはいかなるものなのか。ホットな...
ちょっと変わったラブグッズ…ひだひだが敏感部分を刺激する
 コーンの上にのったストロベリー味のソフトクリームにしか見えない「サティスファイヤー レイヨン スイートテンプテーション...
桃子 2020-01-05 06:00 エロコク
パートナーは不要…「挿入だけ」に捕らわれない快感と可能性
 あなたは、どういった性の願望を抱いていて、ひそかに何をしたい/されたいと願っていますか。自分の性癖の形を知れば、もっと...
大泉りか 2019-12-30 18:00 エロコク
年末年始にしたいこんなセックス! 女流官能作家オススメ3選
 クリスマスも終わり、年末年始の計画をたてている方も多いことでしょう。令和初の年末年始、愛するパートナーとのセックスにも...
蒼井凜花 2019-12-27 07:00 エロコク
寝たふりで誘いを拒否…それでも続くアプローチと嫌がらせ
 女友達が扉一枚向こうにいるというのに、私の寝床に入ってきたG。  以前から、私のブログ用の取材写真に、特徴のある...
男性が慎重になりすぎて…“強盗押し入りプレイ”の意外な結末
 さて、出逢い系では積極的に、恋人とはできないようなアヴァンギャルドなプレイを試みていこうと決めた私。次に考えたのは、私...
嵐の始まりはそう、ひろしと“港区女衒”とのゴルフ会食でした
 わたしとひろしの48歳差の激しすぎる恋――男は何歳まで男なのか、81歳との恋愛模様とはいかなるものなのか。ホットなイッ...
見ているだけでときめく小型ローター…特別な日の贈り物に
 私のもとに寄せられる相談で多いのが「彼女にバイブをプレゼントしたいのですが何がいい?」というもの。海外ドラマなどでよく...
桃子 2019-12-21 03:33 エロコク
まだ間に合う!「セックスご無沙汰女子」直前のTODOリスト
 しばらくセックスをしていない「ご無沙汰オトナ女子」にとって、クリスマスや年末年始は「その時」が訪れるかもしれないチャン...
蒼井凜花 2019-12-18 20:09 エロコク
約38℃まで上昇! 温感バイブでうるうる&ぽかぽかの快感を
 ラブグッズは年中新作が出るので季節感などは特にないと思われがちですが、冬にオススメしたいバイブがあります。 「ス...
桃子 2019-12-15 11:05 エロコク