更新日:2022-06-12 16:38
投稿日:2022-05-27 06:00
これって夢? 突然のキス
ーー続けてください。
「気まずい沈黙が過ぎたと思った刹那、彼の手が私の肩を掴み、引き寄せたんです。『え……うそ』と思う間もなく、温かなものが私の唇をふさぎました。
気づけば、彼にキスをされていたんです。
驚きました。まさか、3年間も思い続けたK君が私に……これって夢?
でも、わずかに触れるチクチクしたあご髭の感触が、現実に引き戻してくれます。
互いの吐息がぶつかり、彼の舌が差し入れられました。
柔らかで生温かな舌の感触に、私は性愛小説の濡れ場を思い出していました」
不貞行為だけど、拒むことが出来なかった
ーー続けてください。
「硬直する私に、彼はわずかに唇を接したまま『図書室に通っていた時から、頭のいい子だって、気になっていたんだ』『こんなに綺麗になって、俺、すごくドキドキしてる』と言ってくれてーー。
私の胸がきゅん……と痛いほど疼きました。
ただ、今私たちがやっていることは紛れもなく不貞行為です。
……でも、彼を拒むことは出来なかった。
『私は……K君に逢いたいから、図書室に通ってたの』
『本を探すふりして、書棚の隙間から、あなたを見ていた』
『3年間、ずっと好きだった』
高校時代、言えなかった言葉を一気に告げました。
あの時、勇気を持って自分の気持ちを伝えられていたら、人生が変わっていたかもしれない……そう思いながら、今度は自分から唇を押しつけ、再び熱いキス。
彼の唾液の味が甘やかで、どうしようもなく涙がこぼれそうで……」
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