一面ごとに焼き色をつけていくイメージで
酒の肴にも、ご飯のおかずにもなる一品です。見るからにボリュームがあり、食べ応えがあります。口に運ぶと、ナスの甘味と豚肉のウマ味のほか複雑さを感じるのは……。
「八丁味噌は、甘いイメージを持つ方がいます。でも、原料は大豆と塩と水のみで、甘くありません。名古屋の味噌煮込みを甘く感じるのは、砂糖を加えるせい。その量を加減すれば、八丁味噌の複雑さが生きる。それがこの味噌ダレです」
なるほど、調味料に醤油を使っていません。調理のポイントは、ナス。一口大の乱切りにしたら、揚げ焼きにします。ナス1本に対し、油は大さじ2~3杯。中火でじっくり焼くように炒めていきます。あまり返さず、一面ごとに焼き色をつけていくイメージです。
「ナスは、油を吸いやすいですが、途中で油を足してはいけません。油を足すと、ナスがベチャベチャになります。しばらくすると、油を吸ったナスから余分な油と水分が染み出してきますから。全体に焼き色がつき、皮がカリッとして、甘い香りがしたらOKです」
ナスの揚げ焼きを丁寧にやれば、その後の調理は一気に進みます。見た目ほどコッテリせず、スッと胃に収まります。青唐辛子や七味などをプラスしてもおいしいですよ~。
【材料】2人前
・ナス 2本
・豚バラ 50グラム
・ニンニク 1片
・油 適量
味噌ダレ
・八丁味噌 大さじ3
・砂糖 大さじ2
・酒 大さじ1
・みりん 大さじ1
【レシピ】
(1)味噌ダレを混ぜ合わせておく。
(2)ナスを一口大の乱切りにしたら、揚げ焼きに。「全体に油を吸わせたら、余分な油が出てくるまでじっと我慢するのがコツ」。全体に焼き色がついたら、皿に上げる。
(3)フライパンに油を引いて、弱火でスライスしたニンニクを炒め、香りを抽出。キツネ色になったら、取り出しておく。
(4)3の油で豚バラを炒める。火が通ったら、2とニンニクを加えて、味噌ダレを絡めれば出来上がり。
本日のダンツマ達人…神里正治さん
▽神里正治(かみざと・まさはる)
東京の料理店で10年修業し、地元の那覇に戻り、安里の「くちがふう」で厨房に立つようになると、魚介の目利きのよさと丁寧な調理で人気店に。老朽化に伴う店舗の閉店で、みやらびへ。この道38年のベテランはどこまでも魚を愛する魚好き。
▽大衆居酒屋みやらび
チャンプルーや魚介料理、時にはヒージャー(ヤギ)刺しなど素朴な沖縄料理がズラリ。その多くが500円前後で、常連客が夜な夜な集う。オーナーの女性と板前の大将の人柄がよく、地元の人にとっては大切なゆんたく(おしゃべり)の場所。
沖縄県那覇市安里1-7-17
(日刊ゲンダイ2020年7月16日付記事を再編集)
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