更新日:2022-07-29 11:29
投稿日:2022-07-22 06:00
思わぬ再会に運命を呪った
――まさか元カレであるRさんが、お姉さんのフィアンセとは驚きです。続きをお聞かせください。
「私も驚きました。まさか姉がRさんとお付き合いしていたなんて……なぜ? どうして? という言葉しか出てきません。
運命を呪うという表現がありますが、幼い頃から比べられ続け、コンプレックスや嫉妬心を抱かせてきた姉には、『この期に及んでもまだ私の邪魔をするの?』という気持ちでいっぱいでした。
Rさんも私に気づいて、たいそう驚いた顔をしていましたが、2人が付き合っていたなど言えるはずがありません。私も初対面を装って、リビングへと向かいました」
私の存在なんて忘れていたのかも
――続けてください。
「キッチンで母がコーヒーを淹れるのを手伝ったあと、リビングのソファーに座る父、姉、Rさんのもとに行きました。『どうぞ』とコーヒーを出す手が震えて……。母とともに私は緊張しながらソファーに座りました。ちょうど、Rさんの斜め前です。
姉の話によると、2人は音大時代の知人が開催するミニコンサートで知り合ったようです。Rさんの会社の同僚の親せきが出演し、打ち上げの食事会で話が弾んだそうで……。
私の苗字は、日本によくある姓なので、気づかなかったんでしょうね。いえ、その頃にはもう私の存在など、とっくに忘れられていたのかもしれません」
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