【専門家監修】心を健康に! 自己肯定感を上げるセルフコンパッション術

コクハク編集部
更新日:2024-01-11 06:00
投稿日:2024-01-11 06:00
 彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、ちょっとした有名人。でもって、タヌキか妖怪の噂も囁かれるなか、健康に関する知識はズバ抜けている――。
 そんなえりのボスのもとにはウワサを聞きつけ、今日も悩みを抱えた女性が、ふらりと立ち寄ったようですよ。

1. 自己肯定感が低くて毎日がつらい…

 きょうは、美遥さん(31歳女性/仮名)からのご相談です。

「私、ついつい自分を責めてしまうんです。

 たとえば、仕事や家事でささいなミスをすると、『この程度のこともできないなんて、自分ってダメだなぁ』とか『私のせいで、まわりに迷惑をかけちゃった…』とか、そういう気持ちで頭がいっぱいになってしまって」

 美遥さんは、暗い顔をしてうつむいてしまいました。

 えりのボスは優しい表情で、美遥さんの話に耳を傾けています。

すぐに自分を責めてしまうから、毎日がつらくて。疲れやストレスがたまっているんだなぁ…という自覚はありますが、どうしたらいいかわかりません」

「美遥さんは、セルフコンパッションを高めるワークを始めてみるのがいいかもしれないわね」

「セルフコンパッション…なんですか、それ?」

自分自身を思いやることを、セルフコンパッションというの。

 セルフコンパッションを高めるとありのままの自分を受け入れられるようになって、ポジティブなメンタルを手に入れることができるのよ。自己肯定感も高まっていくわ」

 えりのボスの話を聞いて、美遥さんは目を輝かせています。

「その方法、くわしく教えてください、えりのさん!」

 これは放っておけません!

2. 自己肯定感とセルフコンパッションとは?

「まず、自己肯定感とセルフコンパッションについてお話するわね」

「よろしくお願いします」

自己肯定感とは、『ありのままの自分を肯定する感覚』のことよ。他人と比べず、今の自分をそのまま認めてあげることで自己肯定感が芽生えるの」

 美遥さんは真剣な表情で聞き入っています。

「一方、セルフコンパッションとは『自分への(Self)思いやり(Compassion)』を意味するの。自分自身を優しくねぎらい、自分の強さも弱さもありのままに受け入れてあげることを、セルフコンパッションというのよ」

 セルフコンパッションを高めるトレーニングをくり返すと、ネガティブ思考に振り回されない健やかな心を育むことができます。ストレスを感じにくくなり、自己肯定感の向上へとつながるのです。

「それじゃあ、次は具体的なトレーニング方法を紹介していきましょうか」

3. 自己肯定感を高めるセルフコンパッションの方法5つ

 自己肯定感アップにつながる、セルフコンパッションのトレーニング方法を5つ、紹介します。

 いずれも簡単に試せるものですが、1度きりのチャレンジでは効果を実感しづらく、継続的に続けていくことが重要です。

 すきま時間を活用したり、朝や寝る前のルーティンにしたりして、意識的にくり返しましょう。

3-1. 自分の現状を認める

 セルフコンパッションの基本は、あるがままの自分を受け入れること。「こうあるべき」という固定観念は手放して、今現在の自分をそのまま認めることが大切です。

 過去のミスや自分自身の「好きではないところ」なども善悪で評価せず、ただあるがままの状態を受け入れていきましょう。

 そうすることで、ネガティブな感情に支配されにくくなります。

3-2. 自分に優しい言葉をかける

 自分自身に優しい言葉をかけて、慈しんであげましょう。

 うまくいかないときには「あのとき、もっとうまくやれていたら…」などと自分を責めてしまいがちですが、温かい言葉を意識的に自分自身にかけてあげると冷静にトラブルに対処できるようになります。

「ありのままで大丈夫」「失敗なんて、誰でもするよ」など、自分に合った言葉を紙に書いて、こまめに見返すのもおすすめです。

3-3. 不安や悩みをありのままに書き出す

 セルフコンパッションを強化するテクニックのひとつとして、思い浮かんだ不安や悩みを包み隠さず紙に書き出す「ジャーナリング」という手法があります。

 ネガティブな気持ちもありのままに綴っていくと、自分が今なにに苦しんでいるのか客観的に理解できるようになり、冷静に行動できるようになるのです。

3-4. 小さな成功をしっかり認めて、日記に残す

 自己肯定感を高めるには、小さな成功体験を積み重ねていくことが大切です。

「自分から挨拶できた」「部屋をきれいにした」といった、ささやかなことでいいので、自分自身をほめてあげましょう。

 成功体験やセルフコンパッションを高めるために意識したことなどを日記に書き残しておくと、あとで読み返したときに自分の成長を実感できますよ。

3-5. 失敗するのは自分だけではないと認める

 セルフコンパッションの重要な要素として、「他人との共通の人間性」というものがあります。これは、「失敗したりつらくなったりするのは、自分だけでなく他人も同様だ」という考え方です。

 共通の人間性を見出せるようになると孤立感がやわらぎ、問題を自分ひとりで抱え込まなくなるので心に余裕が生まれます。

4. セルフコンパッション術を身につけて、自己肯定感を高めていこう

 美遥さんは、晴れやかな笑顔でえりのボスにお礼を言いました。

「えりのさん、今日はありがとうございました。教えてもらったセルフコンパッション術を、今日からさっそく実践したいと思います」

「お役に立てて嬉しいわ。自分自身への思いやりを忘れずに、トレーニングを続けてみてね。自己肯定感を高めるには、小さな積み重ねが大切よ」

「はい。まさに『継続は力なり』ですね」

「ええ。それに、気分の落ち込みが強くて日常生活に支障が出るような場合には、無理せずメンタルクリニックに相談することも視野にいれてね。

 自分の心身の不調に耳を傾け、つらいときにはきちんとケアしてあげること。これもまた、自分を思いやる行動のひとつと言えるわ」

「わかりました」

「また気になることがあったら、いつでもサロンにいらっしゃい」

 深々とお辞儀してからサロンを去っていく美遥さんを、えりのボスは優しく送り出しました。

★サロン「コクハク」のオーナー えりの

 顔と口調は若いものの、年齢不詳。タヌキか妖怪の噂も囁かれる謎めいた主人だが、ココロやカラダ、健康に関する知識はズバ抜けており、何気にハイスペック。ムスメ時代に苦労してるため、自分より“後輩”の女にはしあわせになって欲しいと願っている。愛称は、えりのボス。

(漫画/腹肉ツヤ子

  ◇  ◇  ◇

<この記事の監修者>

あんしん漢方薬剤師 中田 早苗(なかだ・さなえ)

 デトックス体質改善・腸活・膣ケアサポート薬剤師・認定運動支援薬剤師。病院薬剤師を経て漢方薬局にて従事。症状を根本改善するための漢方の啓発やアドバイスを行う。健康・美容情報を発信するMedical Health -メディヘルス-youtubeチャンネルでは、お薬最適化薬剤師として「無駄な服薬はお財布と体の敵!」をモットーに薬の最適な選び方を解説する動画を公開中。症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。

「あんしん漢方」を詳しく見てみる

YouTube「Medical Health CH」

コクハク編集部
記事一覧
コクハクの記事を日々更新するアラサー&アラフォー男女。XInstagram のフォローよろしくお願いします!

ビューティー 新着一覧


【夏の脇汗】毎シーズン悩む…洋服の黄ばみ&ニオイどう防ぐ
 夏になると多くの人を悩ませるのが「脇汗」ですよね。洋服の種類によっては、くっきりと脇汗部分だけ色が変わって、黄ばみやニ...
2022-06-15 06:00 ビューティー
実感!偉大なる“おばあちゃんの3大教え” 2022.6.14(火)
 おばあちゃんっ子です。母が病弱だったこともあり、小さな頃からしょっちゅう祖母の家に預けられていました。大学も祖母の家か...
梅雨・台風の不快を減らしたい!1日1分の耳穴ストレッチ<前>
「梅雨の時期や台風が多い時期は、なぜかカラダの具合が悪い……」という人は、意外と多いのではないでしょうか。それは自律神経...
疲れ目対策&美鼻狙いで「耳穴ストレッチ」1日2分でOK<後>
 前編では、骨格矯正士の清水ろっかん氏の著書「『聞こえ』がよくなる! 耳穴スイッチ」(世界文化社)から、「気象病」を治せ...
髪色より眉色チェンジ!垢抜け狙いの時短メイクは目元がカギ
 メイクのテイストを変えるなら、“眉色”に変化をつけるのも人気ではあるけれど、せっかく眉を変えても「なんだか垢抜けないか...
やせたいのに食べてしまう!脱・過食は歯磨き粉を味方にする
 ダイエット中、やせたい気持ちとは裏腹に食べてしまった経験はありませんか? そのたびに自己嫌悪に陥り、さらにストレスで過...
低用量ピル愛用歴10年でドクターストップが!2022.6.9(木)
 ここ数年ですっかり身近になった低用量ピル。周囲にも「飲み始めたんだ~」と気軽に話してくれる友人が増えてきました。しかし...
梅雨の湿気で髪ボンバー!「ボサこ&ぺたんこ」お悩み別対策
 湿気の多い梅雨の季節は、髪に関する悩みが尽きませんよね。ボサボサになって広がってしまう人、うねってしまう人、ぺたんこに...
「黒目を大きく見せるメイク」習得すべし!やりがちNGも紹介
 ポイントメイクの中でも、多くの女性が重要視しているアイメイク。アイメイクのトレンドは変わっていくものの、黒目の部分が大...
万年ダイエッター卒業? 夏までに無理せず緊急ダイエット5選
 ダイエットは、女性にとって永遠のテーマです。「年中、ダイエットをしている」なんて人もいれば、なんらかの理由で「すぐに痩...
2022-06-04 06:00 ビューティー
【ドラコス3選】ギョッ!シミ・シワのケアは毎日の習慣に
 久しぶりにデパートのコスメカウンターに座って鏡を見た時に、自分の目元のくすみにギョッとしてしまいました。デパコスを買う...
「本気デートに合うバッグ」男性は金銭感覚も見てるんだと!
 大好きな彼とデートに行く時、メイクや洋服のコーディネートはばっちり決めていくのに、バッグに関してはいつもの使い慣れたも...
痩せられる人と痩せられない人には明確な“境界線”があります
 女性の多くは、ダイエットを経験しているでしょう。でも、「結果を出せた!」という人は、意外と少ないもの。どうして同じよう...
「刈り上げ女子」への疑問 伸びてきたらメンテどうしてる?
 最近増えている「刈り上げ女子」。下ろしていればいつも通りのスタイル、アップにすればクールな印象になり、2WAYのスタイ...
叶姉妹は無理でも40女のセクシーメイクは“カモメ”を意識して
 家事や仕事、子育てに奮闘する30代を過ぎ、少し落ち着いてくるのが40代。あらためて、女性としての色気や魅力を大切にして...
どうしてる? 30代40代にも多い「外出先での尿もれ」対策6つ
「尿もれなんて、年を取ってからの悩みでしょ?」と、思っている人は多いかもしれません。でも実は、出産や病気などが原因で30...