姿なき闖入者が破壊した新婚家庭…志穂さんのケース#4

神田つばき 作家・コラムニスト
更新日:2020-01-12 05:19
投稿日:2019-08-14 06:01

気付いたのが遅すぎた“この結婚は間違っていた!”

調停は一回で終わった(写真:iStock)
調停は一回で終わった (写真:iStock)

スピード婚からのスムーズ離婚!?

「私が離婚したいと言い、勇太さんは全面的に自分が悪いと認め、私の生活が安定するまで経済的にサポートすると言ったので、離婚調停は1回で済みました。お姑さんは『志穂さん、こんなに簡単に別れてしまっていいの? 私も勇太をしっかり叱るから、一度だけ許してやってくれない?』と言ってくれましたが、無言電話とポストの件でメンタルが限界でした。勇太さんを許さないとかではなく、姿を見せずに圧迫してくる相手の女が不気味で、怖かったんです」

 勇太さんは志穂さんに中古の1DKマンションが買える程度の金額を慰謝料として渡し、離婚後半年の生活費として150万円を無利子無期限で貸与する、と申し出たのです。お姑さんは失望のあまり寝込んでしまいました。この離婚を一番悲しんでいたのは間違いなくお姑さんでした。

シンデレラが夢から覚めた夫のひと言

「お袋が『娘がほしい~、早くお嫁さんもらって~』ってうるさいから結婚したけど、これで気が済んだだろうな。やっと、お袋の干渉から解放されるよ」

 他人事のような冷淡な言い方に、志穂さんはギョッとしました。勇太さんは口元に笑みさえ浮かべていたのです。

「もしかしたら私は、元夫がお姑さんの干渉から逃れるために利用されたのでは、と初めて気づいたんです。怒りがこみ上げてきましたが、もうどうしようもない。恵まれた結婚に舞い上がって、こんな男に利用された自分がバカだったんだ、と思うしかありませんでした」

 志穂さんが荷物を出す日、トラックはお姑さんの家の前を通りました。お昼なのに家中のカーテンが閉ざされていて、洗濯物も出ていません。お姑さんはまだ寝込んでいるようでした。

「母親が結婚を急かすのなんて、別に悪いことではないです。許せないのは、親を黙らせるために結婚して、不倫して、私を傷つけた元夫です」

 次回、「離婚後に正体を現したモラハラ夫…志穂さんのケース#5」に続きます。

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神田つばき
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作家・コラムニスト
離婚と子宮ガンをきっかけに“目がさめて”、女性に生まれたことの愉しみを探そうと緊縛写真のモデルとライターに。私小説「ゲスママ」、女性の悩みや疑問を解き明かすコラム「性に纏わるあれこれ」
イベント「東京女子エロ画祭」「親であること、毒になること」などの企画も。X

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