加齢で増えがちな「ほくろ」はシミと何が違う?【美容外科医が解説】電気メスで削ると? 保険適用の条件は?

増田えりか 医師(形成外科・美容外科・美容皮膚科)
更新日:2025-03-17 06:00
投稿日:2025-03-17 06:00

ほくろの進行と治療方法

 続いて、ほくろの進行と治療方法について段階別にお話しします。

 ほくろは2mm程の大きさまでは薄く、平らな形状をしています(①)。続いて3~4mmと大きくなるごとに濃く、盛り上がりも出てきて存在感を増してきます(②)。そして、5mmほどの大きさになるとチャームポイントと捉えられるくらい、お顔の特徴になります(③)。①→②→③と進行するごとに表面の盛り上がりと同様、皮膚の下でもメラノサイトの増殖が進み、真皮深くまでのほくろとなります。

 ほくろは大きくなると表面の治療だけでは消えず、深くまで削り取る必要があると心得ておきましょう。

 一度できてしまったほくろが大きくなるかどうかは、できる原因と同じく、遺伝や紫外線、ホルモンの影響のほかに、摩擦などの刺激が大きく関係しているとされています。あまり触らないようにしましょう。

 なかでも注意が必要なのは、短期間で急激に大きくなるほくろ。細胞増殖が急激に進んでいる“ひとつの証し”であり、悪性黒色腫(皮膚癌)の可能もあります。形がまんまるではなくいびつ、色がまだら、痛みや痒みなどがある場合は、皮膚科を受診して悪性を除外しましょう。

進行・段階別の治療法

 治療ですが、①の段階ではシミに使用するレーザーの治療で薄くなります。ですが、レーザーがメラニン細胞を刺激して逆に濃くなる可能性や再発する可能性もあるため、経過をしっかり記録してくれるクリニックでの治療が望ましいでしょう。費用の目安は2,000~10,000円(自費診療)。

 ②では、皮膚のやや深くまでメラノサイトの増殖が進んでいるため、炭酸ガスレーザーや電気メス等で削る作業が必要です。削った後はすり鉢型に凹むため、キズパワーパッド®などのハイドロコロイド製剤での治療が10日間ほど必要になります。上記画像【B】の3つのほくろは電気メスで治療し、3カ月後、薄くなっています。費用の目安は5,000~10,000円(自費診療)。

 ③の段階になると、真皮深くまでメラノサイトの増殖が進んでいます。削る治療では、再発したり、凹みとなって治ってしまう可能性が高いため、メスで真皮全層を切除し縫合して皮膚を閉じる治療となります。費用の目安は約8,000円(保険診療・3割負担)。

 そして、ほくろが悪性黒色腫(癌の一種)のリスクがある場合や、凸状態で衣服の着脱時などに引っかかって傷ができる可能性がある、あるいは、日常生活に支障をきたす大きさや場所にあるなどと医師が治療の必要性を判断した場合は保険適応となります。

 ③の場合は、ほくろそのものの切除と、病理検査によって悪性のできものである可能性の除外ができるので、形成外科を受診しましょう。

足裏に黒色の斑点が出てきたら要注意

 ほくろのお悩みは、幅広い年齢層に見られ、特に50代以上では、急に大きくなってきたり、悪性のできものとして現れることもあります。

 足の裏にほくろのような黒色の斑点が出現し、急に大きくなる場合は悪性黒色腫の可能性が高いといえるでしょう。皮膚科を受診して、ダーモスコピー(皮膚拡大鏡)による診察を受けましょう。①、②の治療は自費診療のクリニックで、③の治療は保険診療のクリニックで受けられます。

 お悩みの方は、まずはお近くのクリニックで医師の診察を受け、しみや悪性のできものの除外をし、ほくろの正しい診断を受けることは“最重要”だといっても過言ではありません。

  ◇  ◇  ◇

 美容医療にまつわる知りたいこと、聞きたいことなどありましたら、執筆者は「増田えりか」を選択し、必須項目を明記の上、メッセージをお送りください。

美容医療・美容整形の質問&お悩みはこちら

 記事内にて取り上げる際は個人情報が分からないようにいたします。なお、掲載にあたり事前の連絡はいたしませんので、あらかじめご了承ください。

「イートップクリニック」院長/増田えりか

 2013年日本大学医学部卒業後、東京臨海病院、昭和大学病院、千葉こども病院などの形成外科で経験を積む。湘南美容クリニック高田馬場院長を経て、2021年に赤坂見附にイートップクリニックを開設。目周りの手術では業界トップクラスの症例数。『360度美人』を目指して! 美容医療だけではなく、広くお悩み解決に携われるよう、婦人科専門医による婦人科外来、泌尿器科専門医による男性美容外来、美容師とのコラボレーションで頭皮・髪質治療も展開中。

増田えりか
記事一覧
医師(形成外科・美容外科・美容皮膚科)
「イートップクリニック」院長。2013年日本大学医学部卒業後、東京臨海病院、昭和大学病院、千葉こども病院などの形成外科で経験を積む。湘南美容クリニック高田馬場院長を経て、2021年に赤坂見附にイートップクリニックを開設。目周りの手術では業界トップクラスの症例数。『360度美人』を目指して! 美容医療だけではなく、広くお悩み解決に携われるよう、婦人科専門医による婦人科外来、泌尿器科専門医による男性美容外来、美容師とのコラボレーションで頭皮・髪質治療も展開中。

病院HPYouTubeInstagram

関連キーワード

ビューティー 新着一覧


出産前に髪を切るのはなぜ?お手入れ楽ちんの意外な落とし穴
 出産を間近に控えた女性で、突然髪の毛を短く切る人は多いですよね。でも、「なんで髪を切るんだろう?」「短いほうが良い理由...
「ズボラ向けストレッチ」で無理なくコツコツ“痩せ”体質に!
 ダイエットに失敗する大きな理由は、ズバリ「続かないから」でしょう。でも、毎日続けることさえできれば、どんな人でも痩せら...
年々シミがね…いつから紫外線対策ガッツリやる? 対策法も
 寒い季節は紫外線をあまり気にしない人も多いですが、気温が上がってきて日差しが強くなると「対策をしないと!」と、焦ってき...
絶対失敗したくない!「エステサロン選び」で大事な3STEP
 美しくなりたい女性の味方「エステサロン」。美のプロフェッショナルたちが、専門的な施術でさまざまな悩みを解決してくれます...
2022年春夏“一着入魂”するなら? トレンドカラー6色から選ぶ
 2022年の春夏♡ 今年はどんな色がトレンドカラーになっているのか、気になっている人も多いでしょう。そこで今回は今年の...
思い込み厳禁!「セルフ肌診断」3STEP&肌質別お手入れ方法
 ある程度の年齢になると、普段の肌の状態から自分の肌質を把握し、予想している人は多いでしょう。しかし、意外にも自分の肌質...
疲れ切った夜は…W洗顔不要の“時短クレンジング”4選に甘える
 仕事や家事、子育てをしている女性たち。夜のクレンジングをする時間にはクタクタで「クレンジングしてから、さらに洗顔なんて...
流行りの「キレイ色」多すぎ…大人だから似合うおすすめは?
 暗めの色がしっくりくる秋冬が終わり、いよいよ春に向けてコーディネートも変えていきたい気分♡ でも、大人女子になると、た...
げっ、セルフネイルが剥げた! 対処法4つ&出先での応急処置
 リーズナブルにいろいろなカラーを楽しめるセルフネイルですが、手軽にできるぶん、剥げやすいというデメリットがありますよね...
メイク賢者が使うコンシーラーと仲良くなる!浮く原因&対策
 シミやニキビ痕、くすみやクマなどを隠すのに欠かせないコンシーラー。とても心強いアイテムですが、意外と多いのが「コンシー...
眉毛が濃いのを薄くしたい…自眉の印象操作は恋愛より簡単!?
 眉毛は、思っている以上に顔の印象を大きく左右するものです。薄い場合には描き足せばいいですが、濃い場合はどのように対処し...
「あっ…」焦る瞬間ない? “尿もれ対策”簡単トレーニング4選
 尿もれトレーニングなんて、自分には関係ないと思っていませんか? 実は尿もれは高齢になってから起こるものとは限らず、病気...
【毛穴ケア】「ポアプライマー」のメリット&使い方のコツ
 小鼻や頬に開いた毛穴があると、メイク崩れやテカリ、ムラなど、いろいろなトラブルの原因になってしまいますよね。そんな時に...
夕方のババ顔をマシにする「1日崩れないメイク」基本の4カ条
 毎朝、時間をかけてメイクをしているのに、夕方になるとテカリや汗で頬も目の周りがドロドロに……そんな悩みはありませんか。...
スケジュール別「花嫁美容」で自分史上最高の“美ボディ”に!
 人生の大きな晴れ舞台である結婚式。一生を一緒に歩んでいく新郎はもちろんですが、家族や友人たちにも、360度美しい史上最...
垂れ目メイクはモテの極み!特徴4つを押さえて“優しい女”に
 柔らかく穏やかな印象の「垂れ目風メイク」。男性からも好印象を持たれやすいので、「垂れ目=モテ顔」と思っている人もいるか...