ラランド・サーヤは「名誉男性」なのか? お笑い界の“女すぎる”という悪口に思うこと

帽子田 芸人、ライター
更新日:2025-04-20 06:00
投稿日:2025-04-20 06:00

ラランド・サーヤのバンドが炎上したが…

 ラランド・サーヤが参加するバンド「礼賛」が大阪で行ったライブで、痴漢行為が発生。被害女性がSNSで被害を訴えたことで発覚し、さまざまな議論を巻き起こした。バンドのフロントマンであるサーヤも批判にさらされたが、その中でも「サーヤは名誉男性だ」という指摘が多く見られた。

 かつて年間100本以上のライブに出演し、自身もライブ主催者の経験もあるという帽子田(仮名)は、「サーヤ名誉男性問題について」以下のように語る。

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巻き込まれた感のあるサーヤと礼賛

 サーヤのバンドが痴漢トラブルで炎上。痴漢だけでなく、その後の対応のマズさでさらに大炎上した。サーヤやメンバーの川谷絵音はすぐに謝罪と対応策をSNSに投稿したが、コンサート運営会社が被害者を煽るようなポストをしたことで、近年まれに見るくらい波紋を呼んだ。

 個人的には、「こんな運営会社の悪対応に巻き込まれて、礼賛は可哀想だな」と思った。それくらい運営会社の対応は酷いし、サーヤは矢面に立たされて特に不憫だった。

 僕の考えとしてはこんな感じなのだが、この炎上の際によく見る批判があった。それは、「サーヤは名誉男性だ」という叩きだ。名誉男性とは「男尊女卑的な価値観に染まってしまった女性」のことらしい。今回はこの「サーヤは名誉男性」について考えてみたい。

女性性をネタにする=女性の敵なのか?

 サーヤを批判するネットの声によると、「サーヤは男と同じ価値観で女をイジることで有象無象の女とは違うステージにいるというアピールをしているから、被害者に寄りそうことは無理」「サーヤは他人の女性性をネタにして嘲笑している」らしい。だからサーヤは「名誉男性」であり、女性だけど女性の敵だという主張だ。では果たしてそうなのか?

「サーヤは他人の女性をネタにして嘲笑している」という部分に関しては、確かにそういう部分もあるかもしれない。でも、サーヤは女性はもちろん男性もイジるタイプだと思う。

 例えば「遺伝子レベルでつまんない飲み会」というコントがあるが、これは男性の権力者をイジっている。「男と同じ価値観で女をいじっている」とネットに書かれていたが、「別に平等にイジってるんじゃないの?」と思う。

「男性をイジるのはOKで、女性をイジるのはNG」という価値観だと、今後は逆に、女性芸人こそ戦うのは厳しい気がする。女性のことは女性がよく知っているし、芯を食った女性イジりもできるだろうから、女性を少しでもイジるスタンスをとると叩かれるという風潮になると難しそうだ。

 ただ、サーヤの女性をイジるスタンスを不快に思う人が多かったということは、その線引きを見誤ったのかもしれない、ということは言えるだろう。

帽子田
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別名義では芸人として活動。一時期は年100本以上のライブに出演、ライブ主催の経験もアリ。一応現役の芸人ではあるが、ただのお笑い、バラエティ番組ファンでもあります。

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