順風満帆だった45歳 経営者の転落。美人CAから若い女に乗り換えるはずが…地獄の「三者面談」の顛末

蒼井凜花 官能作家・コラムニスト
更新日:2025-10-10 11:45
投稿日:2025-10-10 11:45

「子どもが欲しくなっちゃった」の言葉に動揺

「彼女も僕に好意を持ってくれて、やがて深い仲になったんです。うちのサプリを宣伝してくれるようにもなって、公私ともに最高のパートナーでした」

 不倫関係になってから1年半。仕事柄、出張も多く、妻に怪しまれることはなかった。 だが、32歳の誕生日を前にして、美咲さんが言った。

 ――私、そろそろ子どもが欲しくなっちゃった。

「正直、焦りました。妻に未練はありませんが、息子のためにも家庭を壊す覚悟などなかった。当然、美咲の望む子どもを作る勇気もない。経済的には可能でも、社会的立場を考えたら現実的じゃない…結局、何も言えず、曖昧な笑みを浮かべるしかありませんでした」

 そのうち、美咲さんは「不倫がつらい。奥さんのいる人とは続けられない」と距離を置くようになった。焦った恭一さんは、軽い気持ちで口にしてしまった。

 ――いずれ妻には離婚を切り出すから、もう少しだけ待ってほしい。

ついに訪れた破滅の時

 それが、すべての破滅の始まりだった。

「秋の連休に、美咲を東伊豆の高級温泉宿に誘ったんです。相模湾が一望できるラグジュアリーな宿で、スパもエステも最高。『やっぱり恭一さんといると幸せ』と彼女が笑ってくれたとき、心の底から誇らしかった」

 だが、帰京後、悲劇が起きる。LINEで美咲さんとハートマークを送り合ったまま、寝落ちをした翌朝、スマホを見た妻の表情は凍りついていた。

「妻は、『話がある』と乾いた口調で言いました。戸惑う僕に、『愛人に会わせて!』と…まさかの三者面談です」

 場所は都内のカラオケボックス。普段はすっぴんの妻が、きつめのアイラインに赤い口紅を引き、別人のようだったという。

 そこへ、美咲さんも現れる。

不要な男の烙印を押され

「3人がそろった瞬間、息が詰まりました。妻がまず口を開き、『夫とは離婚します。あなたにも慰謝料を請求します』と淡々と告げたんです。まさか妻の口から離婚が切り出されるとは思わなかった」

 動揺する恭一さんの前で、美咲さんも毅然と言い放つ。

 ――とんでもない!恭一さんとは今日限りで別れます。こんなクズ、不要です。

 妻もすかさず、まなじりを決して、

 ――私も不要よ!

 2人の女性の声が重なった瞬間、恭一さんは崩れ落ちた。どちらにも愛されたはずの自分が、同時に「不要な男」になったのだ。

「あまりのショックで、その後の記憶はほとんどありません。ただ、彼女たちが『慰謝料はどうする』『親権は譲らない』と冷静に話し合う声は、鼓膜にこびりついています」

 結果、離婚は成立。美咲さんも去っていった。

失ったものの大きさに愕然

 そして、会社にも亀裂が入る。

「美咲が『恭一社長にもて遊ばれた。もうあの会社の商品は使わない』と言いふらしたんです。妻もCA仲間に離婚理由を話し、僕の信用は一気に失墜。社員も辞め、業績も下降の一途です」

 現在、恭一さんはメンタルクリニックに通いながら仕事を続けている。

「朝、目を覚ますたびに『地獄が始まる』と感じます。唯一、心が休まるのは眠っている時だけです」

 妻も愛人も俺に惚れていると信じて疑わなかった40代男の末路。女たちは泣いても、最後は必ず立ち上がる。

 一方、欲望に溺れた男は、自分の愚かさと後悔を抱えて沈んでいく。

蒼井凜花
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官能作家・コラムニスト
CA、モデル、六本木のクラブママの経歴を持つ異色の官能作家。近著に「CA、モデル、六本木の高級クラブママを経た女流官能作家が教える、いつまでも魅力ある女性の秘密」(WAVE出版)、「女唇の伝言」(講談社文庫)。
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