算数のテストで「スケジュール管理ができない病」の原因が判明!そして忘れられない15000

新井見枝香 元書店員・エッセイスト・踊り子
更新日:2025-12-28 11:45
投稿日:2025-12-28 11:45

本題。病院の門を叩くが…私は誰? ここはどこ?

 そしてようやく、本題である。すぐに予約が取れるという条件で適当に選んだ病院の医師に泣き縋ると、まずはテストを受けてみましょうと勧められ、再度日を改めて訪れることになった。

 受付に診察券を出すと、テストは特別室で行うらしく、いったん外に出てから隣のビルの3階のドアを叩くが、その仰々しさに不安が過る。テストって何をやらされるんだ?

「これから受けていただくのはどんなテストかご存じですか?」テストは専門の担当医が行うため、初対面となる白衣の女性に問われたが、私は初っ端から何も答えられなかった。

 私は何のテストを受けに来たのですか? ……私は誰?ここはどこ?そんなんだから私、病院にいるの?

 頭がぐるぐるしたまま医師と向かい合い、テストが開始される。2枚のカードの絵を見て間違い探しをしたり、模様のついたサイコロで見本と同じ形を作ったりするテストは、明らかに私の知能を測っていた。

 バカにしているのかと思うほど簡単な問題もあれば、脳天から煙が出そうなほど難解な問題もある。エアコンをきかせた小部屋は暑く、ひどく乾燥しているのに水の一杯も出ず、問題文は先生が手元のテキストを棒読みするだけで眠気に襲われ、しまいには腹が立ってきた。

解き方はわかるのに、解答できない

《みかん156個をAとBの袋に個数の比が6:7になるように分けます。Aの袋には何個入れればよいでしょか。》

 よくある算数の問題だ。そんなもの、小学校のテストで何度も解いたわ。ええと、合わせて何個だっけ? いや解き方はわかるのだが、問題を忘れてしまった。しかし小学校のテストと違うのは、問題用紙がないところだ。「みかん365個でしたっけね?」「………。」先生はロボットのように押し黙っている。

 だったら出題もロボットでいいじゃないか。猫型ロボットならまだ可愛げがあるニャ。算数が解らないのではなく数字を忘れることで解答できない問題が続き、やがて目の前の医師を憎み始めた頃、正しいみかんの数は結局思い出されることなく、2時間に及ぶテストが終了した。

新井見枝香
記事一覧
元書店員・エッセイスト・踊り子
1980年、東京都生まれ。書店員として文芸書の魅力を伝えるイベントを積極的に行い、芥川賞・直木賞と同日に発表される、一人選考の「新井賞」は読書家たちの注目の的に。著書に「本屋の新井」、「この世界は思ってたほどうまくいかないみたいだ」、「胃が合うふたり」(千早茜と共著)ほか。23年1月発売の新著「きれいな言葉より素直な叫び」は性の屈託が詰まった一冊。

XInstagram

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


ストレス発散や美肌にも…キックボクシングで女性の悩み解決
 働き方改革で残業が少なくなりアフター5(ファイブ)を楽しむ時間の余裕ができた今日この頃。早く帰っても何をしたらいいのか...
いよいよ子宮全摘へ 入院女子が涙した必須&便利グッズ17選
 私は42歳で子宮頸部腺がんステージ1Bを宣告された未婚女性、がんサバイバー2年生です(進級しました!)。がん告知はひと...
暑い日はずっとシエスタ…大事な“にゃんたま”を冷やす後ろ姿
 暑い日をどう過ごすか。  きょうは「夏だって毛皮を纏ってるぜ!」のにゃんたま君の知恵を拝見しましょう。  ...
ピルでツルツル肌に? 知っておきたい8つのメリットと危険性
 ピル連載も4回目。第1回目の「日本はピル後進国!『ピル=避妊』の考え方は遅れています」でも少し触れましたが、今回は、ピ...
勤務時間が長い! “自分しかできない仕事”をゼロにする方法
 定時上がりは憧れるけど、いつも勤務時間内に処理しきれず残業――。当然、プライベートの時間はカット。1日1時間の残業で、...
不妊症大国ニッポン…卵子凍結で産みたい人が産める社会へ
 子供を産みたい人がちゃんと産めるような社会にしたい。不妊治療で悲しむ人をゼロにしたい。これが私の願いであり、目標です。...
ワンオペ育児の日本と違う…台湾の妻が悩む“親戚の過干渉”
 国や地域によって、育児にまつわる文化の違いは様々ですよね。日本では日々忙しく過ごしているワンオペ育児ママが沢山いらっし...
「サボテン」には感情が? あなたの優しい言葉がトゲを抜く
「スマホをやりながら寝るのって絶対に睡眠妨害されてますよ。」  最近ワタクシの体メンテナンスをしてくださる方から言...
高級タワーマンションのラウンジで自撮りをする女の一生
 最近、たまたま都内の最高ランクのタワーマンションに行く機会が数回あったのですが、そこで2人組の美しい女性がラウンジのソ...
去勢手術は3日後…にゃんたま記念撮影でモフモフとお別れ
 これぞ! 鈴カステラ! 出来立てホヤホヤの美味しそうなにゃんたま!  食べちゃいたくなる、愛おしいにゃんたまω!...
猛暑の夏…健康な高齢者でも熱中症予防を“家族ですべき”理由
 介護士をしていた経験をもとにライターをしています。筆者はこれまで、認知症の症状や認知症を発症した時の具体的なケアについ...
がんでごめんね…「人生最後の生理」はある日突然やってきた
 私は42歳で子宮頸部腺がんステージ1Bを宣告された未婚女性、がんサバイバー2年生です(進級しました!)。がん告知はひと...
さくらももこさんのエッセイに学んだ 本当の「時は金なり」
「時は金なり」という言葉、年を取れば取るほど心に沁みるのはなぜでしょう。私がこの意味を意識したのは、さくらももこさんのエ...
産毛のような初々しさ…もうすぐ去勢する“にゃんたま”の刹那
 羊毛フェルトで作られた「にゃんたまストラップ」が巷で流行中。フニフニ揉むと、心癒され気持ちが落ち着くのだそう。 ...
結婚したら退職する? 自分が幸せになるための人生の歩み方
 少し前のOLだったら「寿退職」なんて当たり前だったのでしょうが、今はそうはいかないですよね。共働きが普通だし、お金の心...
大人になっても趣味に没頭したい! おすすめできる3つの趣味
 ストレス社会で闘う毎日にふと疲れた時、「何もかも忘れたい」と思うことはありませんか? 多くの人は飲み会や買い物で鬱憤を...