なぜ内縁の夫や再婚夫はシングルマザーの連れ子を虐待する?

内藤みか 作家
更新日:2019-10-18 18:57
投稿日:2019-10-10 06:00
 女性の連れ子を虐待する内縁の夫や再婚夫の事件があとを絶ちません。一体どうしたら彼らの凶行を防げるのでしょうか。虐待するような男を選ぶシングルマザーに男を見る目がないという声もありますが、果たしてそうなのでしょうか。実例から考えてみます。

弱きものに手をあげる男たち

「パパ、ママ、もうおねがい ゆるして」という手紙に全国が涙した目黒女児虐待死事件も、「本当のパパじゃないくせに」と言われて逆上したというさいたま市男児殺害事件も逮捕されたのはシングルマザーと再婚した夫でした(さいたま市の事件は現在再婚夫が否認中)。あまりにもシングルマザーの子へのひどい仕打ちの事件が目立ちますが、なぜ、彼らは幼き命に手をあげてしまうのでしょうか。

 こうした事件を耳にするたびに私が思い出すのはライオンの生態です。ライオンは他の群れを乗っ取った際、その群れの子ライオンを殺してしまうのだそうです。これには自分の子孫を産んで増やして欲しいという本能によるものらしいのですが、子どもには罪がないだけに、とても痛ましいことです。人間にこのような残酷な本能があるのかどうかはわかりません。実際、自分の実の子でなくても大変に可愛がって育てる男性もいるのです。

 ただ、DVをふるう男性にはテストステロンと言う男性ホルモンが多い傾向があると言われています。そして、事件を見ていると、シングルマザーの連れ子に虐待をする男性は、そのシングルマザーの女性にも暴力を振るっている確率がとても高いです。男性ホルモンの検査をすることは、もしかしたら事件を未然に防ぐひとつの方法なのではないかと思うのです。

男を追い出すことができない弱さ

 私の知り合いのシングルマザーに彼氏ができたことがありました。パート先で声をかけられお付き合いすることになったのですが、次第にその男性は家に入り浸りになり、冷蔵庫のものを勝手に食べたり飲んだりするようになったそうです。そしてしまいには子どもを邪魔だと言うようになり「2人だけで出かけよう」と子どもを置いて外出しようと言うようになったのです。

 彼女は一度だけ、男性の誘いに乗って近所のレストランに出かけました。けれど帰宅した時に、暗い部屋でひとりぼっちで待っている娘を見て、罪悪感でいっぱいになり、その男性との関係をきっぱり断ち切ったそうです。彼女のように寄ってきた男を追い出す強さがすべてのシングルマザーに備わっていればいいのですが、そうではないのでしょう。

「この彼を逃したらもう私に男の人は現れないかもしれない」。恋愛をするシングルマザーの多くがそう言います。ひとりでの子育ては過酷です。助けてくれる男性がいたら、家計も楽になるかもしれないとすがりたくなってしまうのです。けれど男性のなかには、そうしたシングルマザーの弱みに付け込み、ヒモ化するタイプがいるのはとても残念なことです。

虐待する男の見分け方はあるのか

 虐待する男性を見分ける方法はあるのでしょうか。正直言ってそれは難しいと思います。なぜならばシングルマザーたちは「親しくなったら豹変し、急に子どもに冷たくなった」と話しているからです。彼らは女性の愛情が自分のほうに向いているのを確認できてからは、一家を支配したがるようなのです。

 どのような理由や事情があっても、子どもに邪険にするような男性は、教育上良いわけがありません。連れ子がいる女性ができるのは、その男性から離れること、それだけなのです。でも、頭ではわかっていてもそれができないのは生活の不安や寂しさがあるからです。シングルマザーの半数以上が貧困で、7割以上が養育費も受け取れていません。深刻な状況なのに世間は「自業自得」とばかりに助けの手を差し伸べないので、ヒモ的男性にすがるしかないのです。

 そもそも、子どもには本当の父親がいるはずです。ヒモ的男性とシングルマザーをマッチングさせないためには、その本当の父親がしっかりと養育費を支払う必要があるでしょう。そのためには養育費を支払わない父親に罰則があるべきですが、驚くことに日本にはありません(海外ではパスポート没収、収監などかなり厳しい国も)。生活が安定すればシングルマザーがヒモ的男性に気持ちが揺らぐこと減るのではないでしょうか。

 そして子どもを守れるのは母親だけ。子どもに手をあげる傾向が出てきた男性にはきっぱりNOを言う勇気を持ちましょう。生活は大変になるかもしれませんが、愛しい子どもがいれば、それこそが幸せなのですから。

内藤みか
記事一覧
作家
著書80冊以上。大学時代に作家デビューし、一貫して年下男性との恋愛小説を書き綴る。ケータイ小説でも話題に。近年は電子媒体を中心に活動。著書に「あなたに抱かれたいだけなのに」など。イケメン評論家として、ホストや出張ホストなどにも詳しい。
XInstagram

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


習い事は無理でもプチ趣味なら!クレーンゲームとガチャガチャにハマった
 アラフォーにもなると、興味のある趣味はある程度トライした経験があると思います。  新たに習い事を始めるにも、1万...
頑張る大人こそ意識しておきたい「我慢のやめどき」サイン
「まあまあ、みんな我慢してるんだから」と、なだめられた経験はどのくらいありますか?  私は少なくない回数あるし、人にそ...
住宅街の中で東京の息吹を感じた 2023.8.18(金)
 住宅街で湧き水と出会うなんて。東京には知らない場所がまだまだある。 「東京の名湧水57選」のひとつにも選出されて...
駅が“ダンジョン”やないかーい!上京して仰天した地方とのギャップ8選
 住み慣れると忘れてしまいがちですが、多くの人は上京後に田舎とTokyoのギャップに仰天しています。上京後数年経った人も...
暑さのせい? 身も心も全開な“たまたま”の声が聞こえてくる
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
話題の「完全栄養食」ってぶっちゃけどう? メリット&デメリットを解説
 近年、健康志向の人やダイエット中の人に話題となっている「完全栄養食」をご存知ですか? 現代人は忙しく時間がない人が多い...
亡くなったペットのお別れに注文増、大切な家族の供え花に必要な情報は?
 故人へのお供え花を作らせていただく花屋の感覚として、暑さ寒さが続く日や季節の大きな変わり目はお悔やみ花を作る機会が多い...
帰省中に岡山・蒜山高原でワーケーション 2023.8.15(火)
 この夏休みは、千葉から夫の実家のある岡山県に帰省しました。帰省中、パソコンを開きたかったのですが、夫の実家は人の出入り...
人じゃないモノたちで賑やかな街 2023.8.14(月)
 街に人が戻ってきた。大阪はこうでなくっちゃね。  でも、ココは誰もいなくても賑やかな街だ。  ちょっと見上...
「ジェンダーリビール」って知ってる? 大失敗した話&次はおにぎりで♡
 最近、世界の妊婦の間で流行っているのが「ジェンダーリビール」です。日本ではまだまだ聞き慣れない言葉ですよね。今回は「ジ...
「押すなよ、絶対押すなよ」ビーチボーイズ“たまたま”を激写
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
嫁の手作り料理をバカにし過ぎ!息子寵愛義母から来たムスコンLINE3選
「ムスコン」とは、息子から子離れできない親に対して使われる言葉だとか。特にムスコンの被害を受けやすいのが、お嫁さん。義母...
2023-08-13 06:00 ライフスタイル
親戚との会話に困ったら?「5つの話題」と相槌と“離れ技”で乗り切る戦法
 お正月やお盆の時期などに、頭を悩ませるのが親戚付き合いです。年に数回しか会わない親戚とは、何を話したらいいかわからず、...
動物&飼い主のほっこり癒し漫画/第55回「宅配トリモノチョウ」
 ベストセラー『ねことじいちゃん』の作者が描く話題作が、突然「コクハク」に登場! 生きものたち、その生きものたちをこよな...
たまごっちってうんち垂れ流ししないの!?「平成レトロ」なおもちゃの今
 最近ちまたで注目を集めている「平成レトロ」。平成レトロとは「平成を懐かしく想う文化的風潮」のこと。1989(平成元)年...
2023-08-12 06:00 ライフスタイル
もう義母になめられない! 帰省時に役立つ「良好関係キープ術」4つ
 結婚すると気になるのが、義母との関係。仲良くいられるかどうかで、結婚生活が大きく変わってしまいますよね。特に多いのが、...