ピルの利点 卵子凍結の採卵数やスケジュール管理に効果も

西史織 卵子凍結コンシェルジュ
更新日:2023-01-26 20:58
投稿日:2020-02-27 06:00

ピルを飲むと排卵しないの?

 ピルを飲むことで、排卵が止まります。いわゆる「卵巣をお休みさせる」状態になるのですが、この「排卵をしない状態」とは、一体どういうことなんでしょうか?

 排卵では、脳から指令により卵胞から卵子を成熟させるホルモンが出ます。このホルモンによって卵子はそれぞれ成熟していき、一番成熟した卵子のみが卵巣を突き破り、子宮内に出ていくのです。

卵子凍結とピルの関係は?

 卵子凍結を検討している方に、ぜひ知ってほしいことがあります。ピルの仕組みを利用して卵子凍結する方法があるからです。

 通常、卵子凍結では、排卵する前の成熟した卵子を複数採取していきます。そのための準備として、生理が来たタイミングからホルモン剤を投与し、排卵日の朝に排卵直前の成熟した卵子を採取します。ここで注意したいのは副作用についてです。

 もちろん個人差はありますが、少なからず体調に影響が出る場合があります。女性特有のデリケートな部分でもあるので、できる限り仕事や大事な予定に被らないように凍結したいですよね。

 ピルを飲むことで、生理が来るタイミングを自分で決められるので、大事な予定と被らない時期に生理が来るよう、排卵誘発を行い、採卵手術をするというスケジュールを立てることができます。

全ての卵子を凍結できるわけではない

 さらに、もう一つメリットがあります。ピルを飲みホルモンバランスを整えることにより、卵子の大きさがある程度一定になります。実は卵子凍結では、採卵した全ての卵を凍結できるわけではないのです。

 採卵した中には、未成熟・成熟・過成熟などがあり、「成熟卵子」のみが凍結できます。成熟卵子のみの理由は、成熟卵子が最も受精の可能性の高い卵子だからです。

 こうしたことから、できるだけ多くの成熟卵子を採取することが、卵子凍結の際の目標になります。ピルの作用で卵子の大きさを一定に近づけることで、卵子凍結でのホルモン剤を投与時にも均一に育っていってくれるので、成熟卵子の獲得が多く望めるのです。

ピルの服用を中止するよう指示するクリニックもある

 私が卵子凍結を行ったクリニックでは、医師から「ピルを服用している場合は、服用を中止して以降、3回目の生理から卵子凍結ができる」と言われました。

 当時は、ピルを服用していても卵子凍結ができることを知らなかったので、医師に言われるがままピルの服用を止めて、3回目の生理が自然に来るまで待ちました。

 正直、その期間は生理痛やPMSが辛かったので、もしもピルの服用を止めずに卵子凍結する方法を知っていたら、その方法を選択したかったと思っています。

 クリニックによって卵子凍結のオペレーションが違うので、もし卵子凍結を考えている方は、ピルの服用をしている、もしくは服用を検討していると伝えて相談することをオススメします。

西史織
記事一覧
卵子凍結コンシェルジュ
金融業界で営業、IT業界で事業開発に従事後、27歳のときに将来のことを考え卵子凍結をする。その経験から、女性のライフステージと仕事の両立についてをライフテーマに活動。妊活をしている方や卵子凍結をしたい方へ向けたクリニック検索サイト「婦人科ラボ
」を運営。Xでの情報発信や、日刊ゲンダイ、日経xWOMANでの執筆も行う。

ライフスタイル 新着一覧


家事の時間はもっと短くできる!今すぐ買いたい時短家電5選
 毎日溜まっていく汚れたお皿や洋服、ほこり……。特に、フルタイムで働いている女性にとって家事をする時間はできるだけ短縮し...
完璧なポージング!イケメン“にゃんたま”のクールな見返り姿
 にゃんたまωにひたすらロックオン!  きょうも出逢ったイケてる猫に声をかけて、にゃんたまストリートスナップ撮影。...
女性たちが次々指名…営業再開した出張ホストが大人気の理由
 緊急事態宣言が解除されて早くも1カ月。まだまだ街に賑わいが戻ったとは言いがたく、慎重な生活が求められている今日この頃で...
フルーツ&フラワーのグリーンカーテンで酷暑を乗り切ろう!
 遥か昔、ワタクシが幼少の頃。学校の帰り道にあった大きな造園会社の塀に絡まって咲いていた、何とも摩訶不思議なお花がござい...
甲状腺全摘から1年経過…手術を迷っている人に伝えたいこと
 バセドウ病によって甲状腺の全摘手術に至ってから、まもなく1年になろうとしています。  術後の経過は順調で、今は体力や...
接写! 激レアな「キジ三毛猫」のパーフェクト“にゃんたま”
 ニャンタマニアのみなさま、お待たせしました。  きょうは久しぶりに、「接写したくなるにゃんたまω」です。 ...
ご飯作りを苦痛に感じる5つの原因&3ステップの改善方法!
 ご飯作りは、毎日の生活の中で切り離せない大事な家事のひとつ。しかし、仕事で疲れていたり、献立を考えるのが面倒だったり、...
「愛されるモテSNS」って? ネット世代が気をつけるべきこと
 コロナ期、私たちはSNSを利用して、リアルで減ってしまったコミュニケーションを埋めました。人と会えない期間によって、よ...
猫って液体なの…? 透明ボウルにも納まる“にゃんたま”君
 土鍋を置いておくと、猫がまあるくなって中に入る「ネコ鍋」現象がありますが、透明ボウルを置いてみたら、やはり!入りました...
愛と美のオンナの幸せを司る「ピンク花」のとてつもない威力
 ある日の昼下がり。  猫店長「さぶ」率いる我がお花屋さんに、この日も悩める子羊がお花を買いにやってまいりました。...
バセドウ病の再燃で疲労困憊…治療はいつも不安と隣り合わせ
 寛解に向かっていたバセドウ病が再燃してからは、ひとことで言うと「地獄」。何をしても良くならない症状が、日を追うごとにひ...
触りたくなるモフモフ! “にゃんたま”写真家の秘蔵の一枚
 世界で一番多くのにゃんたまωを撮影する、猫フェチカメラマン・芳澤です。  「いいえ、我こそがにゃんたま撮影数世界...
やっと妊娠も再び出血…病院から受け入れ拒否をされた妊婦
 みなさんこんにちは。結婚につながる恋のコンサルタント山本早織です。婚活や恋愛のコンサルをしている私自身が結婚後に女性が...
揉め事か!?威厳たっぷりボス猫候補の“にゃんたま”兄貴
 きょうは、小さな港地区のにゃんたま兄貴。  強くて賢くてカッコイイからみんなに一目置かれていて、次期のボス猫候補...
下降気味の運気を爆上げ!南国の愛され花「ハイビスカス」
「アナタ、なんで全身真っ黒なのよ! 喪服なのか! すぐやめなさい!」  先日とある著名な祈祷師の方に会うなり、いき...
2年間のバセドウ闘病生活を振り返る ~兆候から悪化まで~
 この連載もいよいよ終盤です。私は発覚から術後まで、およそ2年間にわたりバセドウ病と闘いました。甲状腺を全摘する手術を終...