激推し!稲垣吾郎×二階堂ふみ「ばるぼら」のオススメ鑑賞法

内埜さくら 恋愛コラムニスト
更新日:2020-11-20 06:00
投稿日:2020-11-20 06:00

キャスト2人が原作と見事に調和

(C)2019『ばるぼら』製作委員会
(C)2019『ばるぼら』製作委員会

 本作は、美倉を稲垣吾郎さんが、ばるぼらを二階堂ふみさんが演じている点も作品に没頭してしまう理由の1つです。

 読書家で芸術にも造詣が深く、ほんのりと影があるうえに上品な雰囲気を持つ稲垣さんは、美倉と見事に調和。

 手塚治虫先生のご子息で本作の監督と編集を手がけた手塚眞氏が、別インタビューで「僕は、二階堂さんご自身をばるぼらっぽい人だと感じていた」と語っていたように、作中の二階堂さんはばるぼらそのもの。

 お2人とも、原作から飛び出てきたかのようなのです。

 ところでみなさまは、映画と原作の両方をチェックするタイプでしょうか。

 筆者は、原作を先に読んでいたら映画は仕事ではないかぎり観ない、映画を観たら原作は極力読まない派でした。インタビューした何人かの監督が、口をそろえて言っていたからです。

「原作を、約2時間という尺の中にすべて収めることは難しい」と。

 原作を知っているからこそ、映画で失望したくない。映画を先に観て原作を読んだら、はがゆい思いを抱えてしまうかもしれないという懸念があったからですーー「ばるぼら」に出会うまでは。

タブーに満ちた映像美をご堪能あれ

(C)2019『ばるぼら』製作委員会
(C)2019『ばるぼら』製作委員会

 ですが、本作に関しては、映画と原作両方をぜひ、堪能していただきたいです。

「原作は連載当時、小学生の頃から読んでいた」という手塚眞氏の手腕により、映像化不可能といわれてきた名作が、完璧なまでに描かれています。美倉が異常性欲をむき出しにする、「マネキン」や「犬」のシーンも、下品ではなく上品すぎずという、絶妙なバランスで表現されています。

 大人向け漫画の映画化なので、裸体や濡れ場のシーンが多いところも見どころの1つですが、もはやアート。エロティックでありながらも、下卑た印象は微塵もありません。稲垣さんにとっては挑戦作となるかもしれませんが、ファンのみなさまも芸術として鑑賞できると思います。

 禁断の愛とミステリー、芸術とエロス、スキャンダル、オカルティズムなど、種々のタブーに挑んだ秀作。劇場で映像美を味わってみては。

11月20日(金)よりシネマート新宿、ユーロスペースほか全国公開。出演:稲垣吾郎、二階堂ふみ、渋川清彦、石橋静河、美波、大谷亮介、ISSAY、片山萌美、渡辺えりほか。監督:手塚眞

内埜さくら
記事一覧
恋愛コラムニスト
これまでのインタビュー人数は3500人以上。無料の恋愛相談は年間200人以上の男女が利用、リピーターも多い(現在休止中。準備中のため近日中にブログにて開始を告知予定)。恋愛コメンテーターとして「ZIP!」(日本テレビ系)、「スッキリ」(同)、「バラいろダンディ」(MX-TV)、「5時に夢中!」(同)などのテレビやラジオ、雑誌に多数出演。

URL: https://ameblo.jp/sakura-ment

関連キーワード

エンタメ 新着一覧


茨田りつ子がまさかの前座!? 「大空の弟」を歌いこなす趣里の表現力
 羽鳥善一(草彅剛)が企画した合同コンサートは、ブルースの女王・茨田りつ子(菊地凛子)とスウィングの女王・福来スズ子(趣...
桧山珠美 2023-12-07 14:30 エンタメ
「大空の弟」は聞き物、りつ子“むっつり顔”のチラシにNHKの芸の細かさ
 弟が戦死してスズ子(趣里)が落ち込んでいるのではないかと心配した羽鳥善一(草彅剛)は、食事でもしようとスズ子を自宅に誘...
桧山珠美 2023-12-06 15:20 エンタメ
「一、二、三、四、五」揃った楽団員名、余計に六郎の不在が際立つ
 役場の職員が梅吉(柳葉敏郎)の元を訪れて届けた報せには、六郎(黒崎煌代)が戦死したと記載されていた。  しばらく...
桧山珠美 2023-12-05 14:00 エンタメ
松嶋菜々子の誇らしげな語りに納得…イケオジ反町隆史を保持するお手柄感
「男の美しさは、肌に出る。」――資生堂「SHISEIDO MEN」のCMに出演する松嶋菜々子&反町隆史夫妻が話題です。 ...
櫻坂46異例の韓国人気賞1位!紅白復活&史上最多動員、大逆転なぜ起きた
 櫻坂46が11月25日および26日、千葉・ZOZOマリンスタジアムで「3rd YEAR ANNIVERSARY LIV...
こじらぶ 2023-12-02 06:00 エンタメ
歌わない福来スズ子はただの人…からの脱却!らしさ炸裂のパクった楽団名
 楽団が解散して数週間、スズ子(趣里)は何をするでもなく日がな一日を過ごしていた。そんな時、スズ子は大阪に戻ってこないか...
桧山珠美 2023-12-01 14:00 エンタメ
茨田りつ子の覚悟、ラスト3分の急展開!弟子入り志願者の名に一抹の不安
 警察から解放されたスズ子(趣里)は、三尺四方の中だけで自分の歌を表現するのは難しいと悩んでいた。  警察署で自身...
桧山珠美 2023-11-28 15:27 エンタメ
日中戦争の影響じわり、スズ子が「カカシみたいなワテ」になった
 スズ子(趣里)と梅吉(柳葉敏郎)が東京で一緒に暮らし始めて1年、梅吉は何をするわけでもなく酒を飲むだけの毎日を過ごして...
桧山珠美 2023-11-27 15:10 エンタメ
羽生結弦を癒すのはプーさん…自由に恋愛もできないなんて気の毒過ぎる
 羽生結弦にはまったく驚かされてばかりです。  今年、8月4日に電撃婚を発表したときも、ビックリでしたが、そのわず...
地殻変動!下剋上球児、うちの弁護士…視聴率では見えないバズり作品は
 シリーズものを除いた主要民放プライム帯ドラマ全12作の全話平均視聴率が5.9%(ビデオリサーチ調べ・関東地区・世帯=以...
こじらぶ 2023-11-25 06:00 エンタメ
ゴンベエ(宇野祥平)の素性が明らかに…上方新喜劇ばりの人情劇がグー
 ツヤ(水川あさみ)が亡くなり、スズ子(趣里)は梅吉(柳葉敏郎)と今後のはな湯をどのようにしていくか相談する。  ...
桧山珠美 2023-11-24 16:11 エンタメ
母ツヤ(水川あさみ)笑顔の最期、「ナレ死」に救われた
 大阪に戻ってきたスズ子(趣里)は病床のツヤ(水川あさみ)と再会する。ツヤの病状のことを受け止めきれないスズ子は、梅吉(...
桧山珠美 2023-11-23 16:05 エンタメ
六郎役・黒崎煌代の将来性、母ツヤとやり取りに泣けて泣けて笑える
 六郎(黒崎煌代)の出征の日がせまり、六郎は頭を丸め恥ずかしそうにしている。相変わらず体調が悪いツヤ(水川あさみ)は専門...
桧山珠美 2023-11-21 17:30 エンタメ
「下剋上球児」で“令和のキムタク”になりそうなイケメン俳優は?
 2019年のドラマ、「3年A組-今から皆さんは、人質です」(日本テレビ系)を覚えていますか?  菅田将暉が教師役...
「らんまん」のデジャヴ? ヤバ藤化するダンサーの中山、秋山逃げて~
 内緒の話があると松永(新納慎也)から呼び出されたスズ子(趣里)は、梅丸のライバルである日宝に一緒に移籍しないかと誘われ...
桧山珠美 2023-11-14 16:15 エンタメ
木下優樹菜から迸るガチヤンキー魂!前言撤回、TV再登場するタチの悪さ
木下優樹菜様(元タレント・35歳)  やっぱりユッキーナ(木下優樹菜)様のヤンキー魂には惚れ惚れしてしまいます。 ...
堺屋大地 2023-11-14 06:00 エンタメ