平手ソロは櫻坂46再デビューを霞めたのか
今月9日に放送された「2020FNS歌謡祭第2夜」(フジテレビ系、以下「FNS」)。同番組では、欅坂46から改名し同日に再デビューを迎えた櫻坂46が表題曲「Nobody’s fault」を、欅坂46脱退後ソロとして平手友梨奈(19)が初のオリジナル曲「ダンスの理由」をそれぞれ披露した。
もともとちょうど再デビュー日にFNS出演アーティストとして事前に発表されていた櫻坂46と違い、平手の出演は1週前に突然発表され、演目も当日まで明かされないという異例の対応がなされていた。また、「ダンスの理由」に欅坂46時代の苦悩を回顧する意味深な歌詞もあったため、一部のファンからは平手が櫻坂46の晴れの再デビュー日を霞めてしまったとの声も上がった。
ただ、出演日が重なったことについては、まずFNSディレクターが欅坂46初期から平手を評価し、グループとは別途、個人でも出演させてきた経緯がある。
半ばFNSのレギュラーのような存在になりつつある平手には櫻坂46の再デビューとは関係なく、キャスティング初期段階からオファーがいっていたと思われる。平手側に急遽(に見える)の出演で櫻坂46再デビューを霞めようなどという意図は、皆無だったはずだ。
“後出しじゃんけん”というよりも…
それよりむしろ、早い段階で平手がFNSでオリジナルソロ曲を披露すると発表されていたら、当然多くの人が彼女のソロデビューを期待していただろう。その方が、再デビューシングル売り上げのうち発売日(=FNS放送日)以前の予約購入が大半を締める櫻坂46にとって、打撃を与えることになったかもしれない。出演自体や演目を可能な限りギリギリまで発表しないことで、櫻坂46の予約販売の妨げにならない結果となった。
それはFNS放送日であり櫻坂46再デビュー曲発売日であった9日から1週間以上経ち、櫻坂46が週間40.9万枚の売上げでオリコン週間ランキング1位を無事獲得した後も、平手の歌手としてのその後の動きを伏せるという形で続いている(12月18日時点)。
本当に欅坂46時代の平手だけの苦悩なのか
そして一部のファンから疑問視された「ダンスの理由」にある欅坂46時代の苦悩を表したような意味深な歌詞。
『誰かがいてくれたら普通でいられた 誰もいなかったから 仕方なく踊るしかなかったんだ』
ここだけを見ると1人でセンターの重責を担い続けてきた欅坂46時代の苦悩をぶつけているだけに見える。だがその続きを見ると、
『誰かが貧乏くじ引いて 一人きり泣いているのなら』
『犠牲はしょうがないなんて 部外者に言わせるものか 私が許さない』
この犠牲とは、欅坂46のセンターとして一度もその責務から解放されずアイドルグループの一員として限界を迎えた自身を指していると思われる。
そして“他人”ではなく『部外者』という言葉から、“誰か”と平手は同じ内部の人間であると推察できる。歌詞の端々から過去の自分そのものを指しているようにも見えるし、自分と同じ目に遭いそうな人物にもとれる。
それは同曲の、
『もしも同じような境遇ならば 同じ目に遭わせない』
という歌詞にも表れていると思う。自身がなぜ追い込まれることになったのかを、痛々しいまでに吐露することで、同じことが繰り返され自分に次ぐ犠牲者が出ることは阻止したいという想いも伝わってくる。
櫻坂46“3人センター制度”から分かること
そんな平手の想いを知る秋元氏か、あるいは平手と櫻坂46が所属する事務所運営スタッフ主導のもと、櫻坂46の1stシングルでは、CD計5タイプに収録の全7曲を、森田ひかる(19)、藤吉夏鈴(19)、山﨑天(15)の2期生3人がセンターを分け合う“3人センター制度”で負担を分散させる体制を整えた。
森田センターの表題曲「Nobody’s fault」は欅坂46時代と同様に秋元氏が作詞しているが、主人公が自身を鼓舞し奮い立たせる強さを持っている。また、藤吉センター曲「なぜ 恋をして来なかったんだろう?」では、初めて彼氏ができた主人公が恋愛の素晴らしさに目覚めていく様を表現し、山﨑センター曲「Buddies」では仲間(メンバー、ファン)の大切さを壮大に歌い上げている。
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