兵庫県・斎藤元彦知事を追い詰めるTBS「報道特集」本気ジャーナリズムの真骨頂
自分が設けた兵庫県の第三者委員会に、10件のパワハラ、2件の違法行為を認定されても、斎藤元彦知事はカエルの面に何とかで、被害職員や自殺した元局長に真剣に謝罪することも、責任を取ることもしない。県議会や記者会見で厳しい質問を浴びても、表情ひとつ変えない仮面のような薄気味悪さは、罪悪感がまったくないからなのだろう。
そんな斎藤知事の殿様ぶりをいち早く見抜き、1年近く前から追及していたのが、TBS系のニュース・報道番組「報道特集」(土曜夕方)だった。去年秋、居座り知事選で再選した後も、2馬力選挙や広報・宣伝の外注疑惑、自殺した県議らへの誹謗中傷を批判し続けている。
「報特は、JNN報道特集のころから数えたら45年ですが、一貫しているのは調査報道を基本にしていること。当たり前のことですが、自分のところで取材して、それをもとに報道するから、イチャモンのようなクレームには一歩も引かない。内部通報者捜しはやっていないという斎藤知事の説明も、関係者の文書を入手してひっくり返し、最近ではN党の立花孝志のウソを証拠映像で暴きました。今回の第三者委員会の報告は、報特の報道が正しかったことも証明しています」(TBS報道局記者OB)
現在の日下部正樹もそうだが、これまでも田畑光永や金平茂紀ら報道畑の名物記者がキャスターを務め、「報道のTBS」の看板を何とか守っているのだが、永田町からの圧力や嫌がらせはないのだろうか。2年半ほど前に金平がメインキャスターを外れた時、原発や憲法、沖縄の基地問題をたびたび取り上げていたのを煙たがられたからだと、日刊ゲンダイがスクープした。たしかに、安倍晋三元首相ら自民党の右寄りグループからは嫌われていた。
「朝や昼のワイドショーも首相や役人の疑惑や無策を批判しますが、ニュース映像をつなぐだけだったり、お笑い芸人や元国会議員タレントのコメンテーターが、『許せません』『辞めるべき』と怒ったふりの感想を並べるだけ。それも話題になっているときに騒いだらすぐ終わりです。しかし、報道特集はファクトでしつこく攻める。政界にとっては一番いやな番組ですよ。テレビジャーナリズムの真骨頂といったところかな」(ベテラン政治評論家)
ヤマダホールディングスはこの3月末で番組スポンサーを降りた。ここにも圧力があったのではないかと臆測を呼んでいるが、スポンサー企業も矜持を見せてほしい。
(コラムニスト・海原かみな)
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