手なずけられているのはどっち? 不倫続行を選んだ男の決意

蒼井凜花 官能作家・コラムニスト
更新日:2022-01-14 06:00
投稿日:2022-01-14 06:00

スリルと隣り合わせの情事に再び溺れ…

――続けてください。

「R美さんは相変わらずインスタで「匂わせ」を続けていました。シティホテルの時などは、ダブルベッドとガラス越しの夜景の画像をアップし、『女の幸せって、男に求められることかも♡』との投稿がありました。一瞬、複雑な思いに駆られましたが、僕はもう『旦那さんは、大丈夫?』などと訊くことはやめました。

 むしろ、僕自身が彼女のインスタを見て、興奮や優越感を覚えるようになったんです。ラブホテルの写真を見ては、『ああ、ここで初めて彼女を抱いたんだっけ』とか『この時の、フェラチオ……すごく気持ちよかったな』などと思い出しては、股間を熱くさせました。

 今さらながら、男って単純ですね。再びセックスに溺れてしまった。そして、スリルと隣り合わせの情事が、これほど大きな『ギフト』になると思わなかったんです。

 ――今もR美さんとは続いているのですか?

「続いています。実は、あれからまた妻の働くリサイクルショップに、洋服を売りに行ったらしいんです」

「匂わせ」彼女が抱える孤独

――えっ、そんな……大丈夫なんですか?

「はい、最初は驚きましたが、妻には不倫の件はいっさい匂わせず、『単なるお客』を装ったと言っていました。僕が『どうして、また行ったの?』と、努めて穏やかに訊くと、次のような返答がありました。

『自分でもうまく説明できない。ただ、私は子供もいなくて夫も単身赴任なので、時おり、言いようのない寂しさに包まれてしまう……。そんな時、Wさんの温もりだけが救いなの。一度別れを切り出された時、もう死んでしまおうかと思うほど、とり乱してしまった。今でもふっと孤独で苦しくなってしまう。

 で、気づけば、Wさんの奥さんの店に足が向いていた。きっと奥さんに対して、マウンティングしたかったのと、奥さんを通してWさんともっと深くつながりたい気持ちもあったかもしれない……』と」。

家庭と不倫の両立を決意

――R美さんもおつらいんですね。

「そうでしょうね。誰が見てもキレイで輝いている女性ですが、美しさや若さイコール幸せとは限りません。R美さんは、さらにこうも言いました。『心が不安定にならないよう、自分でも気を付ける。だから、私を捨てないでほしい。Wさんには絶対迷惑はかけないから……』と。

 その必死の言葉に、僕のほうが情にほだされてしまってね……なるべく優しく接するようにしています。もちろん、セックスも手を抜きません。ただ、彼女が僕を破滅させるスイッチ――あの写真を持っている事実は常に忘れずにいます。これだけは怖い。だから彼女を上手に『手なずける』しかないんです。

 いや、もしかしたら、僕のほうが彼女に手なずけられているのかもしれませんね。時々、彼女に好きな人が現れて、僕を振ってくれないかな……とも思いますが(笑)、今の段階では、それは無理そうです。家族と仕事を大切にし、R美さんとも上手に付き合っていこうと思います」

――Wさんはため息とともに苦笑した。これからR美さんとデートだそうだ。人間は誰でも「心の闇」を持っている――そう思わずにはいられないインタビューだった。 

 Wさんの幸せを願い、筆者はその背中を見送った。 了

蒼井凜花
記事一覧
官能作家・コラムニスト
CA、モデル、六本木のクラブママの経歴を持つ異色の官能作家。近著に「CA、モデル、六本木の高級クラブママを経た女流官能作家が教える、いつまでも魅力ある女性の秘密」(WAVE出版)、「女唇の伝言」(講談社文庫)。
オフィシャルサイトYouTube

関連キーワード

エロコク 新着一覧


セックス依存者が語る 実録「一夜限りの恋」の身の処し方
 わたしとひろしの48歳差の激しすぎる恋――男は何歳まで男なのか、81歳との恋愛模様とはいかなるものなのか。ホットな...
忘れた振りで「否認」を続ける私にストレスを溜めていく女
 異常な行動を繰り返す人間に関して、近年、サイコパスやソシオパスの研究が進められています。 サイコパス──先天的に...
肌を重ねなくても…脳への刺激が快感を呼ぶ“遠隔セックス”
 あなたは、どういった性の願望を抱いていて、ひそかに何をしたい/されたいと願っていますか。自分の性癖の形を知れば、もっと...
大泉りか 2019-11-13 19:28 エロコク
私は都合のいい女? 本命になれないセフレ体質女子の特徴4つ
 男女関係においてセフレ問題で悩んだことがある方は多いはず。 「エッチした途端、男性からの連絡が気まぐれに。都合が...
七海 2019-11-11 18:50 エロコク
優しく小刻みに…奥を丁寧にノックするピストンに身を委ねて
 ピストンバイブと聞くと、だいたいの人は激しい動きを想像されると思います。  がんがん突いてイカせちゃうぜ~! 的...
桃子 2019-11-11 01:55 エロコク
81歳恋人の浮気旅行をNYまで尾行…死にたくなった結末とは
 わたしとひろしの48歳差の激しすぎる恋――男は何歳まで男なのか、81歳との恋愛模様とはいかなるものなのか。ホットな...
窓の開いた部屋…女はなぜ全裸で床を拭いていたのか?
 翌日も何時間も彼女に全身を舐めら、彼女がまた寝入った後、私はバスルームに入りました。シャワーに打たれながら思いました。...
デリケートゾーンに潤いをプラス!濡れない痛みとサヨナラを
 多くの女性が、常に潤いを気にしています。肌、髪、そしてデリケートゾーンの潤いも。セックスのときは、膣内がちゃんと体液で...
桃子 2019-11-07 18:40 エロコク
性依存に調教され…脳みそ性器男の「浮気旅行」尾行を決意!
 わたしとひろしの48歳差の激しすぎる恋――男は何歳まで男なのか、81歳との恋愛模様とはいかなるものなのか。ホットな...
「私の胸も…」汗ばむ体を重ねてきたアラフィフ女の欲情
「ショックで頭が真っ白になる」とよく言いますが、これは実際に脳が起こす症状です。脳は強いストレスを受けると、一時的に血管...
アプリで会ったラテン系外国人の男は「天動説」を語り出した
 さて、出逢い系サイトもPCやガラケーからスマホに舞台を変え、マッチングアプリという何やら爽やかな名前に変化しました。 ...
男性向けアロマエステを副業にする女性たち…都内OLの告白
 消費税もとうとう10%まで上がり、都会で働くひとり暮らしのOLたちも大きな打撃を受けています。役職に就きでもしなければ...
挿入&クリトリス刺激…ダブルのエクスタシーに見舞われる
 バイブコレクターの私でも、女性がいちばん感じるのはクリトリスだということをよ~く知っています。男性とのセックスでもずっ...
桃子 2019-11-12 04:46 エロコク
それは男女間であれば法的にレイプと呼ばれる事件でした
 私へのセクハラがエスカレートし、私が拒絶するにつれて、彼女の仕事上でのパワハラも酷くなっていきました。ただこの時点では...
内頬を膨らませ…フェラチオの奥義を女流官能作家が教えます
 前回、官能小説における「オーラルセックスの奥義」をお伝えしたところ、ありがたいことに、男性読者さまからも「こんなふうに...
蒼井凜花 2019-10-22 06:00 エロコク
クリを優しく吸引…バイブとの合体技で多彩に楽しめる逸品
 クリトリスをそっと吸い上げつつ振動刺激を与える「吸引系」。この連載でも何度紹介したか分からないくらいですが、なぜこんな...
桃子 2020-01-11 06:51 エロコク