客との愛欲に溺れ諦めたら…実姉の婚約者として現れた彼 #4

蒼井凜花 官能作家・コラムニスト
更新日:2022-07-22 10:42
投稿日:2022-07-15 06:00

から元気でも笑うとエネルギーが満ちてくる

――お強いですね。

「ふふ、から元気ですよ。もう怖いものはないと言い聞かせて、ヘアメイクを整え、ドレスに着替えました。

 営業が始まると、店内は一気に賑わいました。

 ママのバースデーに来られなかったお客さまもいらしてくれて、シャンパンや高級ワインをオーダーしてくれて……。私はそれこそ水を得た魚のように、全力でホステス業に徹しましたよ。

 不思議ですね。笑っていると、自然と心身にエネルギーがみなぎってくるんです。

 それに、私を指名してくれるお客さまが『H子が休んでいると聞いて心配してたぞ』とか『H子の笑顔を見ると、ホッとするよ』なんて言われると、今まで以上にお客さまのありがたみが心に沁みて……。

 その日から、私はRさんのことを一切忘れて、仕事に専念しました。

 実は……ここだけの話ですが、私をずっと口説いて通ってくれたお客さまとも男女の関係になりました」

軽蔑の対象…それでも客の男性に抱かれた理由

――えっ、本当ですか?

「はい……本来なら、マクラ営業は軽蔑されます。

 ママ自ら枕営業を勧める下世話なクラブもありますが、うちの店のママは違いました。

『お客さまと寝ることなく、話術や気配りでリピートしてもらうのが真のホステス。体を使ってお客をつなぎ留めるのは、低レベルの証』だと言い聞かされていましたから……。

 でも、Rさんを完全に忘れるためには、他の男性にも抱かれたかった。Rさんに刻まれた“地図”を、完全に上書きしてもらう必要があったんです。

 そして、何よりもセックスに飢えていました」

蒼井凜花
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官能作家・コラムニスト
CA、モデル、六本木のクラブママの経歴を持つ異色の官能作家。近著に「CA、モデル、六本木の高級クラブママを経た女流官能作家が教える、いつまでも魅力ある女性の秘密」(WAVE出版)、「女唇の伝言」(講談社文庫)。
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