待つ、グレーを許すという選択肢も
もちろん、見ないふりをするのが一番の正解ではないはずだが、加奈も「急いで答えを話し合うことが正解ではない」という考えにたどり着く。白黒はっきりしたい女性からすると、男性がのらりくらりとセックスから逃げることにストレスを感じるかもしれない。
逃げていることは確かかもしれないが、そこには相手を思いやる優しさや、好きゆえの「失いたくない」という気持ちも含まれている。
好きなら、セックスがなくても、今すぐ離れずに済む方法を探したっていい。そんな深みを残しながら、加奈はまだ好意のある圭介と、離婚という道以外を模索するかのようなエンディングを迎える。
セックスだけ良好に戻すのは無理がある
セックスは「しよう!」と言えばすぐ成立するものではないことは、女性自身もよく分かっているはずだ。2人の関係が変わらないままに、セックスだけを良かった時に戻そうとするのは、無理のある話でもある。
セックスレス夫婦の中には、セックス以外は至極順調で仲もいい夫婦もいる。しかし、セックスに向き合うことで、その仲を壊し、離婚に発展してしまう加奈のような夫婦もいる。
セックスレスは夫婦にとって、重大な問題の一つであるのは確かだ。しかし、加奈の物語は「セックスするか、しないかに限ることもない」というグラデーションのある答えを見つけている。
もちろん不倫は法に触れることではある。しかし、風俗店を利用する方法もあるし、今は女性でもそうできる。
セックスばかりに捉われない夫婦のカタチ
結婚している2人には、時間はたくさんある。すぐに別れたいという気持ちがないのなら、待つのも優しさだし、スモールステップを踏むのも一つの手だ。
「じゃあセックスするの? しないの?」という問いかけは、時に相手を傷つける。ボディタッチを増やしたり、夜の一緒に過ごす時間を大切にしたり……セックスばかりに捉われずに、お互いの歩幅に合った方法で歩み寄っていかないといけない。
物語を見て、男性が不倫する理由がぼんやり分かるだけでも、安心する女性もいるだろう。
私たちはただ、相手が何を考えているのか分からないのが怖いだけなのだ。相手に聞けば早いけれど、結婚している2人だからこそ分かる考え方もあるはず。
すぐに相手に答えを求めず、セックスレスにおいて「相手の立場に立ってみる」のは、お互いに必要なはずだ。
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