大切な女の愛蜜に満ちたセックス、それでも「女風の経験は宝物です」#6

蒼井凜花 官能作家・コラムニスト
更新日:2023-06-30 06:00
投稿日:2023-06-30 06:00

ストーカー化した女性客

――情熱的なひと時だったんですね。続けてください。

「幸せな週末を過ごした3カ月後、事務所から突然連絡が入りました。人気セラピストに心酔する女性客が、隙を見て彼のバッグを物色する騒ぎがあったそうなんです」

――えっ、お客様がセラピストのバッグを?

「はい、女性客はその人気セラピストの本名や住所を知りたかったようで、免許証をスマホで撮影したと聞きました。しかも妻子がいることもわかり、嫉妬心から『独身って言ったじゃない! 今までの指名料を返せ!』とつかみかかってきたそうで……」

――怖いですね。セラピストに恋するあまり、ストーカーとなってしまったんですね。

「はい……。事務所側は『ジン君も十分気をつけて』とのことでしたが、もし自分が同じ目に遭ったらと思うとぞっとしますね。その女性客はSNSに彼の本名と住所までアップし、ネットは大炎上したそうです」

セラピストを辞める決意を

――それはひどい。ご家族もいるというのに……。

「事務所スタッフの話によると、彼は家族に内緒で女風の仕事をしていたため、家族関係も悪くなり、奥さんとは離婚裁判、女性客には名誉棄損、その他の法的手段で損害賠償が請求できないか弁護士に相談しているようです。

 無関係のご家族の顔写真もネットにさらされ……最悪の末路ですね。この事件をきっかけに、僕は今月でセラピストを辞める決心がつきました。

 せっかく人気が出てきた矢先に……と思うかもしれませんが、実は新しい命を授かったんです」

セラピストとしての経験は宝物

――なんと、それはおめでとうございます。

「ありがとうございます。順番は逆になりましたが、『授かり婚』ということで、互いの両親に挨拶に行きました。久しぶりにミホと抱き合い、幸せを噛みしめたところでの妊娠……同時に、ストーカー事件を知り、これは虫の知らせだなと思いました。

 わずかですが、セラピストとしての収入も得ましたから、ミホと生まれてくる子供のために使う予定です。短期間でしたが、セラピストとして働いた経験は、僕にとって宝物です」

  ◇  ◇  ◇

 ジンさんは柔らかな笑みを浮かべた。

 セラピストとしての経験は宝物――。

 これからは「家族」という宝物がもうひとつ増えるだろう。女風という未知の世界の取材を快く受けてくれたジンさんの幸せを願ってやまない筆者だった。

(了)

蒼井凜花
記事一覧
官能作家・コラムニスト
CA、モデル、六本木のクラブママの経歴を持つ異色の官能作家。近著に「CA、モデル、六本木の高級クラブママを経た女流官能作家が教える、いつまでも魅力ある女性の秘密」(WAVE出版)、「女唇の伝言」(講談社文庫)。
オフィシャルサイトYouTube

関連キーワード

エロコク 新着一覧


男女に聞いた「女性のアンダーヘア事情」どこまで処理する?
 女性のみなさん、アンダーヘア、つまり陰毛の処理はどのようになさっているでしょうか。  10年くらい前まではみんな...
アブノーマルプレイ初心者へ…細いボディーが優秀な相棒に
 コスメブランドが1シーズンに数種類のカラーの口紅を出すように、ラブグッズの世界にもシリーズ展開しているブランドがありま...
桃子 2019-11-12 04:43 エロコク
3Aを求める他力本願な自己実現女が騙される救世主男子よ
 わたしとひろしの48歳差の激しすぎる恋――男は何歳まで男なのか、81歳との恋愛模様とはいかなるものなのか。ホットなイッ...
“ママ活”マンガ 男性用と女性用を読み比べたら全然違った
「ママ活」という言葉が盛んに使われるようになったのは、2018年後半頃から。そこから半年ほどを経て、いよいよ「ママ活」を...
内藤みか 2020-05-20 11:23 エロコク
女性器リノベに投資する女たち#2…小陰唇縮小術の費用と中身
 日々鏡で顔を見ない女性はほとんどいないと思いますが、「自分のアソコを毎日見てチェックしている」という女性もまたほとんど...
内蔵されている“舌”が高速で…あっという間に昇天してしまう
 今年一番、勢いのあるメーカーといわれているのが「P×P×P」。ポップなデザイン&パッケージとお手軽価格とで、ネットショ...
桃子 2019-11-12 04:43 エロコク
全SNS利用者が読むべき太宰治に学ぶ【恥】リスクヘッジとは?
 48歳差の激しすぎる恋――男は何歳まで男なのか、81歳との恋愛模様とはいかなるものなのか。ホットなイットボーイというよ...
女性器リノベに投資する女たち#1…最も多い“小陰唇”の悩み
 20~40代のOLのうち60%近くの女性が、自分の性器の形状にコンプレックスを感じている、という出版社の調査がありまし...
じんわり穏やかな快感…欧米で流行の“あてがう系”ローター
 一見するとPC用品? 昨今のラブグッズは“いかにも”なものがどんどん減っていますが、これはその中でも群を抜いてグッズら...
桃子 2019-11-12 04:42 エロコク
プラトンで分かる 2500年ぶりに令和に蘇った【エロス】とは
 わたしとひろしの48歳差の激しすぎる恋。男は何歳まで男なのか、81歳との恋愛模様とはいかなるものなのか。ホットなイット...
男心の大事なポイントは「アダルトビデオ」が教えてくれます
 映画観放題の動画配信サービスはいくつもありますが、実はアダルトビデオ観放題の配信サービスも存在しています。なかには月額...
内藤みか 2019-07-18 06:00 エロコク
“セックスをすると綺麗になる”は本当か? 理学療法士が検証
「セックスをすると綺麗になる」そんな話を耳にしたことはないでしょうか。実際のところどうなのか、なぜ綺麗になるといわれるの...
山本茜 2019-08-14 16:06 エロコク
気づけば奥にまで…初めての女性にもオススメな“植物的”形状
 ずっと以前に読んだ官能小説で、女性主人公が常夏の異国で出会った年下男性の“彼自身”について、「細長くて、植物のような」...
桃子 2019-11-12 04:42 エロコク
蜜月編<2>言いまつがい【滑舌悪いVS耳遠い】頂上決戦
 わたしとひろし(非仮名w)の48歳差の激しすぎる恋――男は何歳まで男なのか、81歳との恋愛模様とはいかなるものなのか。...
自意識を吹き飛ばす シャイな女性が目覚めた“見られる”快感
 あなたは、どういった性の願望を抱いていて、ひそかに何をしたい/されたいと願っていますか。自分の性癖の形を知れば、もっと...
大泉りか 2019-07-11 18:00 エロコク
彼を恋の虜に…男性を100%本気にさせる「スンドメ」の美学
 皆さん、今少し気になっている男性はいらっしゃいますか? 願わくば、気になっている男性に振り向いて欲しいと思うのが女心だ...