がん→子宮全摘まで“カウントダウン1カ月”の記録<私生活編>

コクリコ 編集者
更新日:2019-09-28 06:49
投稿日:2019-07-02 06:00

CTの結果…まさかの転移疑惑!

 主治医であり執刀医でもあるT先生のところに2度目に診察に伺ったときには、こんなことがありました。

 CTの結果について、「首元(甲状腺付近)に影が見えるんだよね……。下の階に行って、エコーで調べてきてください」。前回と変わって、なんだか温かみを感じません。

 理由はのちに分かるのですが、この影がもしも悪性腫瘍だった場合、そして遠隔転移だった場合は一気にステージ4です。1カ月後の手術はおそらく延期になり、先に化学療法をすることになるはず……。悪性腫瘍で、なおかつ転移ではなかった場合、原発が子宮頸部と甲状腺の2カ所に増えることにもなります。

 T先生は婦人科腫瘍の医師であり、化学療法や甲状腺は別の科の専門になる。そうなると急に他人事になるんですね……。正直、大病院は冷たいと感じました。

 その1週間後、夜の9時に病院からかかってきた電話で、「甲状腺の影は良性腫瘍だと思われます。手術は予定通り来月です」と言われましたが、いやはや。この1週間がじつはもっとも生きた心地がしませんでした。

 この日ばかりは「手術ができるんだ、よかった! うれしい! ばんざい! 子宮全摘! かんぱーい!」という感じでした(飲み会の途中で電話がかかってきたので……)。

★毎日飲み会! 毎日ぜいたくランチ!

 手術までの1カ月はずっと飲み会。誰かしらが食事に誘ってくれたり、こちらから連絡したりしていたので、びっくりするくらい毎日外食をしていました。友達や同僚、担当書籍の著者さんなど、親しい人とときに泣き、ときに笑い、一緒に過ごしていました。新幹線に乗ってかけつけてくだった著者さんも多数いて、本当に感謝しきれません。

「どうせ入院したら痩せるんだから、いまのうちに太っておけ!」
「ひとりでいるときっとコクリコちゃんは食べないと思う! うちに来て一緒に食べよう!」
「免疫が落ちると食べられなくなるから、お寿司を食べに行こう」
「栄養つけて、手術に備えるんだよ」

 みんなが励ましてくれて、お寿司にステーキ、中華にイタリアン。ごちそうを食べすぎて途中で胃を痛め、口内炎までできてしまったんですよ(苦笑)。

 たしかに、ひとりで家にこもっていると食欲がまったくわかず、さっぱり食事をとらなかったので、この間、食事に誘いだしてくれた方々にはとても感謝しています。そしてみなさんの予想通り、術後はみるみる痩せていったので、入院前に食べまくっていて大正解でした。

★不眠。情緒不安定な夜……

 みんなとご飯を食べて、元気に楽しく過ごしても、家に帰ってひとりになるとやっぱりだめでした。

「私、がんなんだ……この先どうなっちゃうんだろう……」

 と不安になり、日が昇るまでひたすらネットの海をサーフィン。おなじ子宮頸がんの人のブログを読んでは転移再発の恐怖におびえ、術後の後遺症を調べては不安に泣き、年上の元気なおばさんを見てはうらやみ、同じ年の友達の出産も素直に祝福できず。最低です。

「卵巣をとると女性ホルモンがなくなるからおじさんっぽくなる」というネットのデマまで真に受け、「もう私はおじさんになっちゃうんだ……」と涙を浮かべることも。

 ひとりでいる時間はとても不安で、誰かにいて欲しいと心底思っていました。

 ですが、いま、当時のことを振り返るとちょっぴり考えが変わっていまして。Twitterで交流している同じようにがんを患った人の投稿を見ると、

〈ひとりで考えたいのに、旦那が飯を作れと言う〉
〈具合が悪いなか、家族のために懸命に家事をしているのに、旦那が浮気していた〉
〈抗がん剤で具合が悪いのに、子どもの保育園のお迎えが……〉

 など、また違ったお悩みを目にするので、「ひとりはひとりでラクだったんだな」とも思います。

 大切な家族がいることは生きる励みになると思いますが、全力で自分のことだけしていられるというのは、そちら側の方々からすると、きっととてもいい環境なんですよね。

コクリコ
記事一覧
編集者
実用書の編集者(社畜)。アラフォー未婚のがんサバイバー2年生(進級しました!)。2018年、子宮頸がんにて広汎子宮全摘出術を受ける。現在ホルモン補充療法をしながら経過観察中。SNSをパトロールするのが趣味。“Twitter探偵”とも呼ばれる。でも幸せになりたい。

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


動物&飼い主のほっこり癒し漫画/第54回「真夏のシンジツ」
 ベストセラー『ねことじいちゃん』の作者が描く話題作が、突然「コクハク」に登場! 生きものたち、その生きものたちをこよな...
「売れ残り」って心が折れた…思春期の甥&姪からの切ないLINE3選
 甥や姪が可愛くて仕方ない人は多いでしょう。兄弟姉妹の子供って、特別ですよね。小さい時から見ている人も多く、中にはかなり...
「偽善者か?」歌舞伎町の野良猫に2年間、毎日ご飯をあげ続けた男性の話
「かわいくないんですよ~(笑)。『なんだよ』って文句しか言っていない。好き嫌いは多いし、忙しいときに限って、ご飯を食べて...
小汚いサンダルをやめた女性の成功話!メイクや髪形より「キレイな靴」
 みなさんは“人の足元”って気にして見るほうですか? 私は靴が好きなのもあって、よく見ているほうだと思います。ただし、自...
真夏を彩る花 2023.7.28(金)
 こうも暑いとゲンナリするけど、むしろ過酷な状況を楽しむかのように咲く。  逆境でがんばる花のたくましさに驚く。 ...
皆が皆、社交的ではないよね…懇親会が苦手な人が“極力疲れない”対処法
 会社員だと避けて通れないものの一つが「懇親会」。参加人数が多かったり、他部署と交流をしないといけなかったりと、「正直疲...
対応ミスると悲惨! お盆の義実家トラブル5つの地雷&回避術
 お盆も間近! 義実家への帰省が憂うつという奥様は、あなただけではありません。気を使っているつもりでも、義両親を怒らせて...
華やか! チャトラ軍団のウキウキ上機嫌“たまたま”が大集合
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
手芸初心者が挑戦!思い出の子供服をくるみボタンに 2023.7.27(木)
 子供の思い出の服を手もとに置いておきたいけど、かさばる物は増やしたくない。子育て中のママやパパには地味に悩ましい問題。...
マジで使える! 夏に強い切り花と長持ちさせる秘訣を“開運花屋”が解説
 今夏の暑さは「暑い」より「痛い」の方がしっくりくる感じがいたします。更年期ど真ん中のワタクシ、本当にシビれますわ。 ...
費用0円!「いま暇?」LINEに付き合ってくれる“神友”との暇つぶし3選
 暇で退屈な時に、暇つぶしに付き合ってくれそうな気の知れた友達に「いま暇?」とLINEを送ってしまうこと、ありますよね(...
美術館で「名画の習作」から教えられたこと 2023.7.26(水)
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...
昔は仲良かったのに…友達との溝ができる5つの理由と対処法
 学生時代から続いている友達とは気心が知れているものですが、だからといって永遠にいい関係が続くとは限りません。また、大人...
業務スーパーが有能すぎる! おすすめ食材5選&飽きないアレンジ方法
 プロ仕様の食材や調味料が大容量で買えると人気の「業務スーパー」。一度にたくさん買うのでお得だし、おいしい食材もたくさん...
4回の引越しで実感!家族で住みやすい土地にする3カ条、転勤族でも安心
 ステップファミリー6年目になる占い師ライターtumugiです。私は10代でデキ婚→子ども2人連れて離婚→シングルマザー...
夕暮れが忍び込む街 2023.7.24(月)
 日差しが落ち着いて、街が暖色に染まる時間。  自分が生まれた場所でもないのに、なぜだか懐かしい気持ちになる。 ...