更新日:2024-06-14 11:34
投稿日:2024-06-07 06:00
幸せな日々に暗雲が
――不倫中、いわゆる「内縁の妻」とはいえ、千鶴さんは幸せですね。続けてください。
「はい、幸せな日々が続きました。彼に大切にされている実感はありましたし、不自由な生活を強いられる分、逢えるときは思いっきり甘えられましたし…。
でも1年が過ぎた頃、思いがけない問題が発生しました。
私の両親です。大学時代の知人や化粧品会社時代の同僚が『千鶴さんと連絡が取れなくなった』と実家に電話してきたそうで…母から『どういうこと?』と聞かれてしまって…。
母からの電話
あの日のことは今でも苦い思い出です。
――千鶴、化粧品会社を辞めたってどういうこと? 母さん何も聞いてないわよ!
開口一番、母はヒステリックに叫びました。元々、東北の田舎町出身の私は、両親から『30歳を超えて独身なんて』と結婚をせっつかれていました。
――ごめんなさい。新しい会社に転職したの。化粧品会社より条件が良くて、落ち着いたら連絡しようと思っていたんだけれど…。
私はあえて明るい口調で話しましたが、母の怒りは収まらないようです。
――1年も連絡をくれなかったじゃない…父さんも怒ってるわよ。なんていう会社なの?
――母さん、落ち着いて。
――娘が1年も前に転職してたなんて…父さんに叱られるのは母さんなのよ。あんた、父さんの性格知ってるでしょう?
――…母さん、ごめん。
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