必要以上に身体を触られ…アラフィフ女に覚えた違和感

うかみ綾乃 小説家
更新日:2019-11-14 17:00
投稿日:2019-08-29 10:00

 同性からのセクハラも、逃げ場を塞がれやすいものです。

(この人の態度、なにかおかしいけど、まさか……女同士だし……)

 セクハラ自体、被害者は、自分が受けている現実を認めるのに勇気が要ります。

(いろいろおかしいけど……待って……なにをしだすの……?)

 相手がエスカレートして、ようやく気づいても、助けは誰にも求められません。

(だって自分がそう信じたかったように、皆も「まさか」と思うに決まっている……私がおかしいと思われるだけだ……)

 悩むほどに周囲から精神的に孤立し、ますます加害者に都合の良い状況になってしまう。

彼女に対して覚えた、何とは言えない違和感

 その女、「G」に出会ったとき、私は30代で、フリーランスの仕事をしていました。

 彼女は40代後半。私に仕事を依頼した会社での担当者でした。

 一見は人当たりが良く、仕事熱心で、後輩の面倒見も良い女性でした。

 ですが私はすぐに彼女に対して、なにとは言えない違和感を覚えるようになりました。

■食事を兼ねての打ち合わせが、私には必要以上だと感じる頻度であり、毎回、やたらと身体を触ってくる。

G「あやさん、腕も腰も筋肉がないですねぇ。もっと食べなきゃ。私が毎日、ご飯をつくりに行ってあげます」

私「いえ、家ではひとりでいたいので」

G「私がプレゼントした湯たんぽは、ちゃんと使ってますか? 女性の身体は冷やしちゃいけないんですよ。ほら、手と足を触らせて。わぁ、冷たい。もっと健康になりましょ」

私「大丈夫です。あの、食事中に足を触るのはちょっと……」

G「もう、あやさんはほんま甘え下手やなぁ」

 彼女はなんちゃって関西弁を使う人でした。

 一方で、自分が関東の某地域出身であることに誇りを持ち、地方出身者を見下す発言を平気でする人でもありました。

 またどうやら、自分の思うように甘えてこない私を、全ての人に心を開かない孤独な性格の女だと思っているようで、なにかと面倒を見(てあげ)ようとします。

 ちなみにルックスは健康的とは言い難い、贅肉を多めにまとっている人で、でもスキンケアにはお金をかけてるらしく、なにかお世辞を言うとしたら、肌はきれいな人でした。

 声も、よく通る鈴声でしたが……。

うかみ綾乃
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小説家
2011年「窓ごしの欲情」(宝島社文庫)で日本官能文庫大賞新人賞受賞。’12年「蝮の舌」(悦文庫)で第二回団鬼六賞大賞受賞。コラムニスト、映画の原作&脚本家としても活躍中。近著に「蜜味の指」(幻冬舎アウトロー文庫)。2020年から原作映画『モンブランの女』(『モンブランを買う男』AubeBooks)が全国で公開中。
ブログ http://ukamiayano.blog.fc2.com/

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