夫の「相手」と直接対決した結果…妻が抱いた不思議な感情。ベッドでありえない“未来”を夢想する夜

ミドリマチ 作家・ライター
更新日:2025-08-10 16:29
投稿日:2025-08-09 11:45

【平塚の女・足立亜理紗 29歳】

 亜理紗は夫・慶士の不自然な泊り大阪出張の真相を探るべく、浮気相手である女のインスタを見て、大磯のプールリゾートへやってくる。そこで女を発見し、隣のパラソルを陣取るが……。夫はどうやら本当に大阪にいる模様で……。【前回はこちら】【初回はこちら

 ◇  ◇  ◇

 ひたすら子供たちとプールで遊んだ後、私はパラソルに戻った。カンタと莉奈はまだ波のプールで遊ぶという。

 あの女は、にやけ顔でスマホをいじっていた。

 ――てか、プールにひとりで来て、何しているんだろう。

 ナンパ待ち、でもしているのだろうか。しかし、ナンパなんて時代遅れだし、なにより彼女はそんな年齢でもないだろう。おそらく、私とは同世代なのだから。

「やっと静かになってくれましたよ。うるさくてごめんなさいね」

 彼女がゴキゲンそうで、私もゴキゲンなのをいいことに、思わず話しかけてしまった。きょとんとした顔を返される。気にしない。もう私は無敵だ。

いつの間にか夫の愚痴を話していた

「い…いえ、気になりませんでしたよ。それにしても大変ですね」

 意外と気にかけてくれていたようだ。ちょっとだけ見直した。

「――旦那様は?」

 夫のことを知ってか知らずか、突然話題に出されてドキッとした。もちろん、知っていないテイで話を進める。

「平日ですからね。夫は仕事人間なんで。慣れたものです。だけど、その分稼いでくれるから。子供たちには優しいし、必ず出張の時はお土産を買ってきてくれるので十分満足して――」

 と言ったところで、乳児が泣いた。了承を得て、ケープの中で授乳をすると、途端大人しくなった。

「大変ですね」

 目の前の女は改めてつぶやいた。正直、当事者としてはさほど大変ではない。日常のことで、もう慣れてしまった。

 だけど、子供の世話より、もっと大変なことがある――押し込めていたが、その静かで優しい口調に、思わず本音が漏れた。

「実は、そうなんです…いつもワンオペで。夫は帰って来てもすごく遅くて飲んでいるし…この前なんて」

 ふと、日々の愚痴を話してしまっている自分がいた。

ミドリマチ
記事一覧
作家・ライター
静岡県生まれ。大手損害保険会社勤務を経て作家業に転身。女子SPA!、文春オンライン、東京カレンダーwebなどに小説や記事を寄稿する。
好きな作家は林真理子、西村賢太、花村萬月など。休日は中央線沿線を徘徊している。

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


災害時「愛猫の避難」はどうする? ペットにも安全&安心を
 コロナ禍とともに、頻発する地震や大雨水害など災害の心配も高まる昨今。いざというとき、愛猫などペットの避難はどうするか。...
送別に花は必要なの? 花屋が伝授「花贈りの方法とマナー」
 ついこの前お正月を迎えたと思っていたら、あっという間に3月の年度末シーズンに突入してしまいました。  去年の大晦...
相撲、お馬さん、くるりんぱ…幼児期の運動で“成功体験”を!
 子どもの運動神経は、生まれてから小学生にあがるくらいまでの経験によって養われると言われています。前回の記事「子どもの運...
変顔じゃないよ!好きなあの子の匂いを分析中の“にゃんたま”
 きょうは、茂みから匂う大好きなあの子のフェロモンを嗅いで「フレーメン反応」の、にゃんたま君。  唇を引き上げるよ...
幸運を掴んで♡ 運気アップをする4つの方法&避けるべきこと
 恋愛や人間関係、仕事や金銭面など、何となくうまくいかないことが続くと「最近ツイてないなぁ……」と感じますよね。そして、...
保護猫ってなあに 譲渡条件がとても厳しい理由を知ってる?
 私が保護猫を飼うことになって1年半。見渡せば保護猫を飼っている人だらけです。自分が保護猫を飼い始めてから、周りがみんな...
“空気読めない女性”がやらかしたグループLINE自爆内容6選!
 察して欲しくて合図を出しているのに、まったく空気が読めない女性っていますよね……。そんな彼女たちが本領を発揮して失敗し...
ある日ポキッと…高い目標を掲げる人が急に折れてしまう理由
 自分と他人を比べてしまいがちなことに「収入」が入っている人はいませんか? 高い目標を掲げて仕事に精を出すのは素晴らしい...
男らしく告白できるかにゃ?恋する“にゃんたま”ボーイを応援
 きょうは、白靴下にピンクの肉球、恋するにゃんたまボーイです。  まだ冷たい風の吹く東北の猫島にも恋の季節がやって...
私を忘れないで…「ワスレナグサ」は涙を誘う悲恋の愛の花
 ある暑い夏の日の夕方のお話でございます。猫店長「さぶ」率いる我がお花屋さん。さぶ店長だけが涼しい場所で悠々と寝ていらっ...
花粉症がつらすぎる(涙)Dr.教えて!「正しい花粉症」対策
 毎年この時期は、集中力もそぞろ……。身体がかゆい! なんだか眠い! やる気が出ない! そんな人も多いのでは? 「...
春だ!日差しをたっぷり浴びたお腹と“にゃんたま”にほっこり
 春が来た!きょうは、温まったコンクリートでコロンコロン♪  太陽熱を全吸収、ポカポカの呼吸!  猫にとって...
子宮全摘のひとり暮らし会社員ですが、え、まさか猫を飼う?
 私は45歳、独身の会社員です。出版社で本の編集をしています。  出版社って忙しそうですよね? とよく聞かれますが...
常識知らずで赤っ恥…抹消したい職場LINEへの誤爆8選!
 社会人になると、学生時代には見慣れない漢字や、社会のルールなどが多くありますよね。経験の中で自然に覚えていくものだから...
ついつい検索…情報の波に心を削られてしまう理由と対処法
 朝、目が覚めて最初にするルーティーンは何か考えたことはありますか? おそらく多くの人がスマホをみることから一日をスター...
撮影に成功!好奇心旺盛なつぶら“にゃんたま”の大胆ポーズ
 きょうは、つぶらなにゃんたまω!  子猫にこんなポーズをさせてケシカラン!?  いいえ、小さなにゃんたま君...