無言で脅迫するモラハラ夫との2年間…真由さんのケース#1

神田つばき 作家・コラムニスト
更新日:2020-01-11 07:00
投稿日:2019-09-15 06:00

妻にも言い分があるということを理解できないモラハラ夫

モラハラ男は自分が法律(写真:iStock)
モラハラ男は自分が法律 (写真:iStock)

相手を自分の思いどおりに矯正する手口

 結婚後まもなくから、夫は気に入らないことがあると真由さんを無視し、舌打ちやため息、大きな物音で不服を伝えました。「気に入らないこと」は言葉遣いだったり、靴の脱ぎ方だったり、真由さんがテレビを見ながらご飯を食べることだったり、いずれもひと言注意すれば済むことばかりです。真由さんも最初は「すぐ直せることなんだから、その場で言ってほしい」と言いましたが、

「普通の人間なら成長過程で身についているはずのこと。その年まで親や友達が指摘しなかったなんて信じられない。お前の人間環境や生育環境はどうなっているんだ? もういい年なんだから、何が悪いか自分で考えろ!」

 と言われてしまいました。真由さんは、「小さなことでそこまで言われる必要はないという気持ちよりも、親や友達まで否定されるのはいやだ、私が直しさえすればいいんだという気持ちの方が勝ってしまったんです」と振り返っています。

二人きりの世界で“俺”が法律になる

 モラルハラスメントでいうモラルとは、社会的に共通した通念としての道徳心のことではなく、加害側が一人で決めたルールを指しています。モラハラを行う人は、自分一人で決めたルールが客観的にも正しいと信じているため、反対意見を出しても採り上げようとしません。「お前は世間や常識を知らない」「お前が受けてきた教育や生育環境、人間関係が間違っている」と全否定してきます。「俺はお前のために言っている」「怒りたくないのに俺を怒らせるお前が悪い」などと、さらに自分の正当性を強調してくる場合もあります。

ルールを決めるのは俺、罰するのも俺と信じて疑わない

自分せいだと我慢するのはお互いのためにならない(写真:iStock)
自分せいだと我慢するのはお互いのためにならない (写真:iStock)

 夫婦や同棲カップルの間のルールは二人で話し合って決めなければなりません。たとえテレビを見ながら食事をするのが良くないことだとしても、一方的に罰を与えるような人間関係は間違っていると思ってください。「私が家事がヘタだから」「彼は一人で働いてくれているのだから」などと、自分に言い聞かせて我慢することはお互いのためになりません。二人で話し合って家の中のルール作りをしているか、守れなかったときに一方的に罰したり罰されたりしていないか、ちょっと考えてみるのは愛情を育てる上で大切なことです。

 次回、「夫婦という名の“支配者”と“服従者”…真由さんのケース#2」に続きます。

【あわせて読みたい】
夢みたいな新婚生活に落ちた黒い影…志穂さんのケース#1
わずか7日で構築された支配のパターン 美沙さんのケース#1

神田つばき
記事一覧
作家・コラムニスト
離婚と子宮ガンをきっかけに“目がさめて”、女性に生まれたことの愉しみを探そうと緊縛写真のモデルとライターに。私小説「ゲスママ」、女性の悩みや疑問を解き明かすコラム「性に纏わるあれこれ」
イベント「東京女子エロ画祭」「親であること、毒になること」などの企画も。X

関連キーワード

ラブ 新着一覧


60代で月1回の性交渉は17.7%の実態 我々はいつまで現役でいられる?
 セックスレスやセルフプレジャー、夫婦の在り方などをテーマにブログやコラムを執筆しているまめです。普段からレスのつらさや...
まめ 2024-03-12 06:00 ラブ
結婚に恋愛感情はいらない説を検証 家族愛のほうが大事?
 近年、「結婚に恋愛感情はいらない」といった考え方が広まりつつあります。特に、婚活中の女性からすると、紹介された男性に短...
恋バナ調査隊 2024-03-11 06:00 ラブ
私が48歳まで処女だったワケ。30代日本人女性の3人に1人が性体験なし
 はじめまして。今回、「コクハク」で「処女」に関するコラムを書かせていただくことになった、mirae.(みれ)と申します...
mirae.(みれ) 2024-03-11 06:00 ラブ
オンラインゲームは不倫の温床? 主婦が恋愛沼にハマるワケ
 近年、オンラインゲームがきっかけで、恋愛から不倫にハマる主婦が増えています。なぜ自宅でやるはずのオンラインゲームから、...
恋バナ調査隊 2024-03-10 06:00 ラブ
資産家なのに62歳まで独男のワケ 彼女からは別居婚を打診され五里霧中
「冷酷と激情のあいだvol.185〜女性編〜」では、付き合おうという話がないままに曖昧な関係が続いてきた62歳のトシオさ...
並木まき 2024-03-09 06:00 ラブ
62歳資産家からの求婚! もう結婚しないポリシーと打算で揺れるバツ1女
 男女の関係では、交際相手や配偶者の態度に悩む人も少なくありません。愛し合っている男女間でも、価値観や物事の判断には個人...
並木まき 2024-03-09 06:00 ラブ
【画像あり】大谷翔平の結婚で注目されたメジャーリーガーの美人妻たち
 2月29日、ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手(29)の電撃結婚発表は世界を驚かせ、興奮冷めやらぬ様子が続いている...
2024-03-08 06:00 ラブ
現役ネトナン師が激白!ネットナンパのシビアな世界と人妻攻略マニュアル
 皆さんは「ネトナン師」なるものをご存じだろうか?  端的に言うと、ネット上のナンパ師だ。  近年の男女の出...
蒼井凜花 2024-03-15 10:17 ラブ
なんでも納豆がけって…夫が「バカ舌」すぎて料理作りたくない!
 家族のために手間暇かけたり、健康を考えて薄味に仕上げた料理も、夫の舌がバカ舌だと作る気がなくなりますよね(笑)。  ...
恋バナ調査隊 2024-03-08 06:00 ラブ
アラフォーが20歳年下と恋愛できるの? 占い師3人に聞いてみると…
 年下男性と恋愛する年上女性はかなり増えてきましたが、10歳以上の年の差となるとまだまだ少数派。  今回は20代男子に...
内藤みか 2024-03-07 06:00 ラブ
サバ読みした年齢で結婚は可能? いやいや、ちゃんと説明を
 大好きな彼に嫌われるのが怖くて、年齢をサバ読みしたまま付き合っているカップルたち。  でも、望んだはずの結婚の話が出...
恋バナ調査隊 2024-03-07 06:00 ラブ
今度こそダメ男に見切りをつける!事前に見抜くポイントとタイミングは?
 素敵な男性がたくさんいる一方で、女性を不幸にするダメ男もいます。でも、ダメ男の多くは、甘い言葉と巧みな会話術で女性がハ...
恋バナ調査隊 2024-03-06 06:00 ラブ
独身だと同窓会参加は気が重い? 40代の結婚は旧友がおすすめな理由3つ
 かつて苦楽を共にした仲間と再会できる「同窓会」。旧友の今を知れる楽しさもありますが、40代を過ぎても独身の人にとっては...
恋バナ調査隊 2024-03-05 06:00 ラブ
「不倫の第一歩」突然の雨、幼稚園、職場…当事者たちが振り返る瞬間5つ
 いけない恋愛だと分かっていながらも不倫に足を踏み入れてしまう男女。そもそもの出会いやきっかけはなんなのでしょうか? 不...
恋バナ調査隊 2024-03-04 06:00 ラブ
彼の“最初で最後の女”になれる♡ 結婚相手に「童貞クン」を選ぶメリット
 彼氏が童貞だと知ったらあなたはどう思いますか?「女性に慣れていないから不安」「今までの反動で結婚してから浮気しそう」な...
恋バナ調査隊 2024-03-02 06:00 ラブ
「良好だけど円満ではない」冷え切っていても妻を抱く48歳男の虚無感
「冷酷と激情のあいだvol.184〜女性編〜」では、結婚8年目を迎えた夫が「40代の女性は性欲が旺盛」と思い込んでいるこ...
並木まき 2024-03-02 06:00 ラブ