モフモフが魅力!「フランネルフラワー」を長く楽しむ方法

斑目茂美 開運花師
更新日:2023-02-14 16:43
投稿日:2021-05-05 06:00

花好きの花アレルギー

 ワタクシがまだ、若かりしころ。習っていたお花の教室のお師匠さんは、控えめで物腰が柔らかい、とても美しく静かな女性でございました。

 お師匠さんのお付きの先生たちは、対照的にモーレツお元気なお姉様ばかりで。お師匠さんは、ハツラツとしたお姉様たちの賑やかな会話に交ざることもなく、笑顔でニコニコと聞いているような方でした。

 そんな美しく慎ましい女性の鑑のような方でしたが、ワタクシ的にいつも気になることがございました。

 毎回お会いするたびに、お師匠さんの整った美しい鼻が真っ赤だったのでございます。今考えると、おそらく彼女は「万年花粉症」のような花アレルギーだったのではないかと思うのですが、当時は「花粉症」なんて言葉もあまり認知されておらず、ましてお花を生業にしていた彼女にとって、ご自分の持病をお認めになること自体が敗北を意味する行為でございますから、いつも普通を装っていらっしゃいました。

 そんなある日、いよいよどうにもならない事態が起こってしまったのでございます。

 その日、生徒はワタクシ一人。「今日は、私の大好きなお花をご用意したのよ」とおっしゃる優しいお師匠さんと楽しいレッスンの最中、どうにも彼女のくしゃみと涙が止まらない。

ワタクシ 「先生、風邪? 大丈夫ですか?」
お師匠  「ごめんなさいね。風邪じゃないのよ。原因は分かっているんだけど、あまりにも可愛いし大好きな花だから、どうしてもこの花をアナタに教えてあげたくて、レッスンに使いたかったの」

 止まらないくしゃみと鼻水を拭きながら、そう教えてくださったお師匠さん。あまりの可愛さに、花アレルギーを我慢してでも買わずにはいられないこのお花を見るたび、優しいお師匠を思い出すのでございます。

 ということで、今回は「いつも愛して フランネルフラワー」の解説でございます。

「フランネルフラワー」ってどんな花?

 花期には真っ白で美しい花を咲かせ、花も葉も茎も、全身に細かい毛がびっしりと生えているフランネルフラワーの最大の魅力は、なんといっても感触でございます。柔らかくふわふわした、まるで毛織物のフランネルを触った時の感触に似ていることが、フランネルフラワーの名前の由来でございます。

 オーストラリアが原産のフランネルフラワーは、日本ではもともと輸入の切り花でございました。可愛らしい花形と感触に惹かれる熱狂的な「フランネルフラワー愛好家」も多く、お部屋に飾るデイリーユースのみならず、ドライフラワーやブライダルブーケとしても人気がございます。とくに、フランネルフラワーの白い花は、独特のピュアな白色。花言葉も「高潔」「清楚」など、ピュアなイメージの花言葉がついております。

 近年、日本で次々と品種改良が進み、輸入の切り花ばかりではなく「フェアリーホワイト」をはじめとした多種の鉢植えのフランネルフラワーが、お花屋さんや園芸店にて簡単に手に入るようになりました。種類によっては四季咲きもあり、花期がとても長いのも一つの特徴でございます。ゆえに、「いつも愛して」などという、何ともいじらしい花言葉もございますのよ。

 世の中にお花はたくさんございますが、なんでしょう……花屋であるワタクシでさえフランネルフラワーを見かけたら買わずにはおれません。

 あまりの可愛さにムラムラ。だから買っちゃう。そして、後悔してしまうのがフランネルフラワーなのでございます。なぜ、後悔するのか……。

悩ましいフランネルフラワーの罠

あまりの可愛さについつい買ってしまうけど、いつも長生きしてくれない

 フランネルフラワーの花鉢を買ったことのあるアナタ。こんなふうに、感じているのではございませんか?

「切り花は日持ちしなさそうだけど、実際は異常に日持ちするし、それなのに、花鉢として我が家にお迎えした途端、数日でしおれてしまうのはなぜ?」と思っている、“フランネルフラワー難民”のなんと多いことか。

 フランネルフラワーは、とくに生産者の個性が出る植物だと言われております。環境や水やりで生育の仕方から花サイズまで変わってしまうので、生産者がどう栽培するかで、アナタのもとへ届いてからの花持ちも変わってまいります。

 もちろん、どれが良い生産者が作ったものかが判ればいいのですが、花屋の店頭で出会うフランネルフラワーはどれもこれも素敵に見えてしまうことは間違いございません。

 本来のフランネルフラワーのポテンシャルは高く、失敗さえしなければ、花期は意外に長いお花。そこで、「好きだけど買わないで我慢する!」と、ジリジリしているアナタのために教えて差し上げたいコツが、以下の5つ。

 これを守っていただければ、フランネルフラワーの本来のポテンシャルを発揮することが期待できますので、ご参考になれれば幸いでございます。

フランネルフラワーを上手に育てる5つのコツ

1. 日陰はNG。ガンガンの日当たりでもなく、ほどほどで。

 暑さ、寒さにやや弱い性質で、高温多湿の環境が苦手なフランネルフラワー。配置場所に日陰はNG。日当たりが良すぎたとしても、まぁ良いのですが、怖いのは「水切れ」でございます。

 一番好ましいのが、「ひさし」のようなお屋根がある場所。日当たりも優しく、雨水も直接当たらないので、最適でございます。

2. 室内はNG。風通しがよくないとヘソ曲げます。

 フランネルフラワーは害虫には強いものの、最大の敵は「灰色カビ病」でござんす。日当たりの良い窓際に置いたとしても、肝心の“風”がなければ根元から腐ってしまうので、風通しがいい、程よく涼しいお外がよいのです。

3. 水やりを忘れてしおれたら、何をしても機嫌を直してくれません。

 フランネルフラワーの根っこは、驚くほど繊細でございます。この根っこが乾ききってしまうと、いくらお水を飲ませたくても二度と飲んではくれません。つまり、フランネルフラワーご臨終の時でございます。

 かといって、毎日ジャブジャブ水を与えてしまうと、前述のとおりカビが発生してしまいます。水やりのサインは、「土の表面を触ったらなんとなく乾いてるかも?」でございます。

 フランネルフラワーだけでなく、すべての植物に関して聞かれるお客様からの質問の中に、「何日間隔で水やりは必要ですか?」というものがございます。これは季節や置かれた環境によってもさまざまでございますゆえ、ぜひアナタの指で土を触ってご判断くださいませ。ちょっと土が乾き気味かも?と感じたら、葉に直接かけずに、土にお水をあげてくださいませ。

4. 植え替えをするのなら、根っこは必要以上に触るでないよ!

 前述のとおり、フランネルフラワーの根っこは細く繊細。普段通りの植え替えならば、既存の鉢から外した際に根っこをほぐしたりする処理をするのですが、フランネルフラワーに関しては鉢から根っこを外したら何も触らず、そのまま大きな鉢に植え替えるだけで大丈夫。

 下手に根っこをほぐすと、繊細な根っこが傷ついて、生育が止まります。水切れをしないように、たっぷりと土が入る鉢を選んであげてくださいませ。

5. 酸性度の高い土が正しい土質。市販された普通の培養土だとイチコロでしおれます。

 植え替え失敗!の、一番大きな要因がここ。パンジーなどのポピュラーなお花、あるいはお野菜を植えるときに使う一般的な培養土を使うと、日を追うごとにみるみる萎れてまいります。

「酸性度の高い土なんて聞いたことないよ!」と、思っているアナタ。酸性度の高い土を作るのは大変なので、市販の土で簡単に済ませたいとワタクシでも思います。

 そんなアナタにオススメの代用土は、「ブルーベリーの土」でございます。ブルーベリーは、酸性の土を好みます。せっかく育てているのにブルーベリーの枝ぶりや実付きが悪いのは、大胆な剪定を怠っていることも考えられますが、大概は土が原因でございます。

 水はけがよいのを好み、かといって、乾燥を嫌うところもフランネルフラワーとブルーベリーは同じ。大きく育てたいフランネルフラワーの植え替えをするのなら、ブルーベリーの土が最適!とのことですのでお試しあれ。

おわりに

 どうです? フランネルフラワー難民だったアナタ。疑問にお答えできましたでしょうか?

 さんざん偉そうにウンチクを語ったワタクシではございますが、実はワタクシも毎年せっせと買ってはダメにしていた「フランネルフラワー難民」だった一人でございます。

 春のこの時期に多く出回るフランネルフラワーは、きちんとした苗と育て方であれば開花期間が長く、四季咲きで楽しめることが期待できるお花でございます。お試しあれ。

 フカフカ可愛いフランネルフラワーが、アナタを優しい気持ちにさせてくれることを……遠いお空の向こうからお祈りしておりますよ~。

斑目茂美
記事一覧
開運花師
半導体エンジニアを経て花業界に転身。イベント・ホテルなどの装飾も手がける生花店を営む傍ら、コンテストで優勝・入賞を重ね、雑誌・新聞等に作品を発表する。神奈川各所にて花教室を開催。障害者支援も花で実践。悩ましくも素敵なお客様を「花」で幸せへと導く道先案内人。ブサかわ猫店長「さぶ」ともに奮闘中。Facebookやってます。

ライフスタイル 新着一覧


ハワイ旅行<買い物編> 食料品やブランド物がお得な店は?
 さて、今回はハワイ旅行「滞在編」です。ホノルルに着いたら足元を軽くして上着を脱いでまずはホテルへ。現地には午前中に着く...
恋の季節でもマイペース ゆっくり夢を育む若い“にゃんたま”
 ニャンタマニアのみなさんこんにちは。  にゃんたまには夢が詰まっています。きょうのタイトルは「花とゆめ」と付けた...
発達障害? もしかして…と感じる子と向き合うことについて
 最近よく耳にするようになったADHDや自閉症スペクトラム。私は発達障害の専門家ではないので、それらの症状を持った子とそ...
彼氏の部屋の片付けポイント “お節介”にならないためには?
「彼の家で掃除をしたら喧嘩になった」そんな経験がある方は多いはず。散らかった部屋を、つい片付けたくなる気持ちは分かります...
ハワイ旅行<準備編> スーツケースには何を入れたらいい?
 せっかくのバケーション、今年はちょっとリッチにハワイ旅行!という方もいるのではないでしょうか?でも、ハワイの情報ってネ...
3万分の1の奇跡…激レアの縞三毛“にゃんたま”に幸福祈願
 きょうはリラックスにゃんたま。  くつろぎタイムに至近距離からにゃんたまロックオン! 毛色をよく見ると…にゃんと...
親友と呼べる女友達へのプレゼントは何がいい? 4つの選び方
 女性はプレゼントを送り合うのが好き。でも、気の知れた親友へのプレゼントって、好みを知ってる分、本当に悩んでしまいますよ...
見返り美男子…「ニャハ市」裏市長のクールな“にゃんたま”
 カッコイイにゃんたま! 惚れ惚れしちゃいます。  クールでハンサムな見返り、抜群のポーズで見得を切ってくれました...
産んだから偉いわけじゃない…でも産んでおきたいと思うなら
 女性が子どもを産む――。当たり前のようでいて、でも実際は「産むか産まないか」で悩む女性がたくさんいます。そこで、私が思...
花咲く野原で運命の出会い…恋する“にゃんたま”に胸キュン
 今の時期、東京より少し暖かい猫の島では、猫達の恋の季節。  オス猫達はお目当てのメス猫に必死に魅力をアピールしま...
ウィスキー楽しみませんか? 女性にこそ伝えたいその魅力
 香りが良くてトロッとした琥珀色。考えるだけでうっとりしてしまうほど、ウィスキー好きの私です。「おじさんが飲むやつでしょ...
復興が進む港で発見 白黒猫の“にゃんたま”に哲学を感じる
 きょうのにゃんたまは、港の復興工事が進む宮城県の猫の島より。    にゃんと!これはとてもレアなツートンにゃんたま...
占いとの上手な付き合い方は…ハマるカラクリを知ると安心
 朝のニュース番組の占いコーナーで目にする、その日の星座占い。どうでも良いと思いながらも、なんとなく意識しちゃったりして...
引退したホストたちはどこで何をしていると思いますか?
 ホストクラブのホストは、いつまでもホストを続けているわけではありません。最近は30代のホストも増えてきましたが、多くは...
落ち込む時こそ口角を上げて 幸せホルモン作る“笑顔”効果
 いつもニコニコ、口角がキュッと上がっている女性って、同性から見ても魅力的ですよね。でも、実際はというと、そんなに人生楽...
ショートスリーパー女子直伝 人生を少し長くする5つの方法
 私は、いわゆる「ショートスリーパー」です。10代の頃に「1日8時間睡眠だと、人生で30年は寝てしまう!」という事実に驚...