“女アイドル30歳の壁”ジャニーズと乃木坂46ら世代交代の明暗

こじらぶ ライター
更新日:2021-07-10 06:00
投稿日:2021-07-10 06:00

女性アイドル世代交代の憂き目を見る

初期メンバーだけで第一線を走り続けることは女性アイドルグループには不可能なのか/(C)日刊ゲンダイ
初期メンバーだけで第一線を走り続けることは女性アイドルグループには不可能なのか /(C)日刊ゲンダイ

 今月3日、長時間音楽特番の「THE MUSIC DAY」(日本テレビ系)が放送された。嵐の櫻井翔(39)が総合司会を務め、ジャニーズから番組史上最多の11組が出演した一方、女性アイドルからはモーニング娘。‘21、AKB48、乃木坂46ら坂道シリーズ3組が出演した。

 この放送を見るにつけ、女である筆者はつくづく女性アイドルの世代交代の難しさを思い知らされると共に、一体いつまで彼女たちは“アラサーになったら新たな道へ行く”という決まり事を守らねばならないのかという気持ちになった。

 モーニング娘。‘21とAKB48は2組セットのコラボで「ノンストップダンスメドレー」に組み込まれた。90年代に黄金期を極めたモー娘。は全員がその当時のメンバーから入れ替わり、オタクの中では熱い支持を得ているものの一般層から見たらおそらく誰一人分からない若い女の子たちで、黄金期のヒット曲を歌っていた。

“本店”の弱体化に“支店”もそれに追随

 2010年代に隆盛を極めたAKB48ですら状況はほぼ同じだ。どちらも“今の彼女たち”の最新曲は披露されず、かつて多く見られたハロプロや48系の後輩グループの出演は一つもない。先頭を行く“本店”が弱体化すれば“支店”が後に続けないのは当然の流れである。

 2010年代後半にAKB48から覇権の座を掴み取った乃木坂46ですら、初期主力メンバーの相次ぐ卒業により、ネット上の一般層からは「乃木坂いつの間にか知らない子ばかりになったな」といった声も見られた。

エース白石麻衣の在籍時と比べると…

 3、4期生にも多く人気メンバーを抱え女性アイドルではセールス面で頂点にいる乃木坂46だが、エース白石麻衣(28)がいた頃と比べると一般層への浸透度はまだこれからのようだ。

 いずれの女性アイドルグループも、長くて30歳手前が現役アイドルの限界とされ、世間一般が馴染んだ初期主要メンバーがアイドルを卒業していってしまったことから現在の状況が生まれている。

 かつては男性アイドルも同じく20代で活動を終えることが多かったが、SMAPがその常識を覆してからは、時に脱退者を出しながらもアラサーどころかアラフォー、アラフィフまでオリジナルメンバーで活動を続けるのが普通になった。

ジャニーズの世代交代は成功している

全員アラフォーとなった嵐も活動休止後の25周年を見据えているという。女性アイドルにそんな選択肢があるだろうか/「カイト」(CD+DVD)
全員アラフォーとなった嵐も活動休止後の25周年を見据えているという。女性アイドルにそんな選択肢があるだろうか /「カイト」(CD+DVD)

 上の世代が活動を終えてもKing & Prince、SixTONES、Snow Manら若手は勢いがあり、シングル年間セールス面での覇権をAKB48から再びジャニーズに奪い返した。彼らの下の世代にもデビューを控えた前途有望なJr.グループがひしめき合っている。ジャニーズの世代交代はゆっくりと、しかし確実に、事務所内という大きな単位で成功している。

 モー娘。に始まりAKB48も乃木坂46も、グループ名を変えずメンバーが入れ替わることで世代交代を図ろうとしてきた。しかし同じグループ名だと一度世間から“オワコン”認定されてしまえば、どんなに新メンバーが魅力的で頑張っていても“古いもの”として見られてしまう。

アイドルが目標だったメンバーはどうする?

 秋元康氏は女性アイドルグループをメンバーにとっての“次のステップへの足掛かり”と捉えさせている。女優、歌手、モデルなど次の目標が決まったらアイドルを卒業して羽ばたくというものだ。ただ、本人がそれを希望しているならいいが、AKB48の成功以降、多数出現した「アイドルが目標」のメンバーはどうしたらいいのか。

 世代交代の名のもとに、後輩に押し出される形で規定通り卒業を余儀なくされているメンバーも多いように思う。またなぜジャニーズのように、長年アイドルでありながら役者やソロ歌手活動など並行して他分野で活動するという選択肢が無いのだろうか。

 これも「女性は30歳までが華」という決めつけや、「女性は30歳を過ぎたら結婚、出産して家庭に」という悪しき慣習をアイドルにも押し付けているからではないだろうか。

こじらぶ
記事一覧
ライター
ジャニーズ、秋元康系女性アイドル、ローカル、地下アイドル等数々の現場を経験。Xでもご意見を募集しております。

エンタメ 新着一覧


手越祐也ポジティブのカラクリ、新曲は微妙も「アイドル」カバーはバズる
 ジャニーズ時代はNEWSに所属し、バラエティー番組でも活躍した手越祐也。退所後は“辞めジャニ”として主戦場をYouTu...
堺屋大地 2023-12-15 06:00 エンタメ
押しかけ暴走気味の愛助(水上恒司)とスズ子の恋もいよいよ
 神戸への巡業の帰り、スズ子(趣里)は久しぶりにはな湯を訪ねる。懐かしい常連客の面々に迎えられ、昔のように庭で話をする。...
桧山珠美 2023-12-13 14:25 エンタメ
水上恒司君臨!デビュー作「中学聖日記」から5年経っても年上好き♡
 昭和18年、アメリカとの戦争に終わりが見えない中、「福来スズ子とその楽団」は地方巡業を重ねていた。  スズ子(趣...
桧山珠美 2023-12-11 15:50 エンタメ
松下洸平は“最弱の目力”が魅力!ネトラレ役が似合う、時代が生んだスター
 松下洸平(36)の主成分は優しさです。現在、出演しているドラマ「いちばんすきな花」(フジテレビ系)を見ていてしみじみそ...
茨田りつ子がまさかの前座!? 「大空の弟」を歌いこなす趣里の表現力
 羽鳥善一(草彅剛)が企画した合同コンサートは、ブルースの女王・茨田りつ子(菊地凛子)とスウィングの女王・福来スズ子(趣...
桧山珠美 2023-12-07 14:30 エンタメ
「大空の弟」は聞き物、りつ子“むっつり顔”のチラシにNHKの芸の細かさ
 弟が戦死してスズ子(趣里)が落ち込んでいるのではないかと心配した羽鳥善一(草彅剛)は、食事でもしようとスズ子を自宅に誘...
桧山珠美 2023-12-06 15:20 エンタメ
「一、二、三、四、五」揃った楽団員名、余計に六郎の不在が際立つ
 役場の職員が梅吉(柳葉敏郎)の元を訪れて届けた報せには、六郎(黒崎煌代)が戦死したと記載されていた。  しばらく...
桧山珠美 2023-12-05 14:00 エンタメ
松嶋菜々子の誇らしげな語りに納得…イケオジ反町隆史を保持するお手柄感
「男の美しさは、肌に出る。」――資生堂「SHISEIDO MEN」のCMに出演する松嶋菜々子&反町隆史夫妻が話題です。 ...
櫻坂46異例の韓国人気賞1位!紅白復活&史上最多動員、大逆転なぜ起きた
 櫻坂46が11月25日および26日、千葉・ZOZOマリンスタジアムで「3rd YEAR ANNIVERSARY LIV...
こじらぶ 2023-12-02 06:00 エンタメ
歌わない福来スズ子はただの人…からの脱却!らしさ炸裂のパクった楽団名
 楽団が解散して数週間、スズ子(趣里)は何をするでもなく日がな一日を過ごしていた。そんな時、スズ子は大阪に戻ってこないか...
桧山珠美 2023-12-01 14:00 エンタメ
茨田りつ子の覚悟、ラスト3分の急展開!弟子入り志願者の名に一抹の不安
 警察から解放されたスズ子(趣里)は、三尺四方の中だけで自分の歌を表現するのは難しいと悩んでいた。  警察署で自身...
桧山珠美 2023-11-28 15:27 エンタメ
日中戦争の影響じわり、スズ子が「カカシみたいなワテ」になった
 スズ子(趣里)と梅吉(柳葉敏郎)が東京で一緒に暮らし始めて1年、梅吉は何をするわけでもなく酒を飲むだけの毎日を過ごして...
桧山珠美 2023-11-27 15:10 エンタメ
羽生結弦を癒すのはプーさん…自由に恋愛もできないなんて気の毒過ぎる
 羽生結弦にはまったく驚かされてばかりです。  今年、8月4日に電撃婚を発表したときも、ビックリでしたが、そのわず...
地殻変動!下剋上球児、うちの弁護士…視聴率では見えないバズり作品は
 シリーズものを除いた主要民放プライム帯ドラマ全12作の全話平均視聴率が5.9%(ビデオリサーチ調べ・関東地区・世帯=以...
こじらぶ 2023-11-25 06:00 エンタメ
ゴンベエ(宇野祥平)の素性が明らかに…上方新喜劇ばりの人情劇がグー
 ツヤ(水川あさみ)が亡くなり、スズ子(趣里)は梅吉(柳葉敏郎)と今後のはな湯をどのようにしていくか相談する。  ...
桧山珠美 2023-11-24 16:11 エンタメ
母ツヤ(水川あさみ)笑顔の最期、「ナレ死」に救われた
 大阪に戻ってきたスズ子(趣里)は病床のツヤ(水川あさみ)と再会する。ツヤの病状のことを受け止めきれないスズ子は、梅吉(...
桧山珠美 2023-11-23 16:05 エンタメ