シングルマザーになったら突然色眼鏡がかかってしまう不思議

孔井嘉乃 作詞作曲家・ライター
更新日:2021-10-19 10:35
投稿日:2021-10-19 06:00

子供ってそんなに気にしないんじゃないか

そういえば寂しくなかったな(写真:iStock)
そういえば寂しくなかったな (写真:iStock)

 そんな家族を巻き込んでの“色眼鏡生活”は、しばらく続きました。

 息子の運動会の時には元夫を誘うべきか悩んで母に相談してみたり、外出先ではパパがいる家族を意識したり、大家族を見ると「弟か妹がいたらよかったかな」なんて思ったりして。

 肝心の息子の気持ちも気になります。「寂しく思っていないかな」「どこかのパパを見て羨ましがっていないかな」と想像しては、できるだけベタベタと過ごすようにしていました。

 でも、ある日思ったのでした。「子供ってそんなに気にしないんじゃないか」って。

 実は、私の父は私が小さな頃から海外出張ばかりで、いったん海外に行くと2〜3カ月は帰ってこなかったり、一年の半分くらいいないこともざらにありました。

 だからといって、父がいないことが寂しかったり、ほかのパパを見て羨ましかったかというと、いっさいそんなことはなかったのです。休日や運動会、ピアノの発表会に父がいなくても、気にしたこともありません。

「亭主元気で留守がいい」なんて、母はふざけてよく言っていましたが、これは子供にとってもそうでありました。

「パパの存在」を消さないことで色眼鏡は外れるかも

パパの存在はなくならない(写真:iStock)
パパの存在はなくならない (写真:iStock)

 掘り下げて考えると、それは「パパが存在する」から大丈夫だったのでしょう。幼少期の私も、「ここにはいなくても、海外にはいるとわかっていた」からなんとも思わなかったのです。

 つまりは、子供の心の中に「パパの存在がちゃんとあればいいのかな」と、思いました。

 実は、離婚したばかりの頃、「3人での生活を早く忘れてくれないかな」と、息子の前で元夫の話をしないようにしていました。

 でも、これは私自身の願望でもあったのかもしれません。郷愁に浸りたくなかったですし、今よりも先のことに目を向けたかったものですから。とはいえ、これは息子にとっては、まったく関係のないこと。

 シングルマザーになった女性の場合、離婚に至った経緯や、再婚を望むかによっても「パパ」についての考え方が変わってくるでしょう。たとえば、「新しいパパ」を考えるとなると、「前のパパ」がいないほうが良い場合もありますよね。

 私はというと、まったく再婚を考えていないため、息子に「新しいパパ」を用意することができません。だから、「パパの存在」を消さないことにしました。

 これは、難しいようで簡単です。“パパを会話の中で登場させる”こと、それから、“いつでもパパと会えると理解してもらう”ことだけ。

 そうしてみると、息子の中で「パパの存在」は自然なものになっていきましたし、「息子にはちゃんとパパがいる」と思うだけで、私の色眼鏡もなんだか薄い色になった気がします。

「案ずるより産むが易し」と言いますが…

案ずるより産むが易し!(写真:iStock)
案ずるより産むが易し! (写真:iStock)

 とまぁ、いろいろ考えましたが、気にした運動会はコロナ禍により平日開催。パパが見に来られず、ママだけしか来ていない家庭も多くありました。

 また、3人兄弟がいる息子のお友達が、「うちは5人の大家族! パパの名前は〜……」と、ご丁寧に家族全員ぶんの自己紹介をしてくれた時も、「◯◯(息子)のおうちも5人だよ。◯◯と、ママと、じいちゃんと〜……」と息子が答えていたりとか。(私は、“大家族”という単語に反応してヒヤっとしたのですが)

 結局は、「案ずるより産むが易し」ですね。子供は大人なんかより素晴らしい順応力があります。それに、私たち「母親」は、“案じても仕方がないこと”を身をもって知っているのでした。

 その時々で悩んだとしても、成り行きに任せてみるとなんとかなるものだなと、最近は思っています。

(文;孔井嘉乃/作詞作曲家 イラスト:こばやしまー/漫画家)

孔井嘉乃
記事一覧
作詞作曲家・ライター
3歳からピアノを始め、現在は作詞作曲家&シンガーソングライターとして活動中。2014年からウェブライターとしての活動を開始。得意ジャンルは美容、恋愛、ライフスタイル。コスメコンシェルジュ、日本化粧品検定1級、ベビーマッサージ資格、乳児心理+児童心理資格取得。
2016年、ママユニット「mamakanon」を結成。活動5年目にして、YouTube再生回数1,200万回達成。2020年、フレンチシンガーバイオリニストソングライターとのDuo「ellipsis」を結成。両者の絶対音感を活かしてカバー演奏などを行う。
1児のママ。特技は早起き。ウィスキーが好き。

◇孔井嘉乃公式サイトmamakanon公式 YouTubeチャンネルellipsis公式 YouTubeチャンネル

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


凍り付いた湖の夜が更けて
 もしも突然、この瞬間に、氷が解けたらどうなるんだろう。  そう思いながら、凍て付いた湖の上に立つ自分が結構好き。...
「レンジでゆたぽん」人気じわり..足を温めると眠りやすい!
「レンジでゆたぽん」を知ったのは、年末年始に長野県の義実家に行った時。寒がりな私を気遣って、義母が用意してくれたのです。...
青空にオレンジボディが映え“たまたま”の見返りメンチにキュン
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
私って性格悪い? 自分のダークサイドを自覚した4つの瞬間
 誰の心にだって、優しい部分と優しくない部分が存在するもの。そうわかっていても、自分の心のダークサイドを自覚すると「もし...
卒入学、彼岸、送別会【花屋が教える】予算内で理想の花束を贈る7カ条
「斑目さん、今年こそは頑張って期限内にお願いしますよ!」  お正月がなんとなく終わったばかり、なんて思っていたら、我が...
「とにかく盛り上がるやつ頼むよ」ってさぁ 先輩の無茶ぶりLINEがすぎる
 お笑い芸人の松本人志とその後輩芸人たちによるアテンド飲み会が話題になっていますね。  ニュースの真偽はともかく、...
2024-02-21 06:00 ライフスタイル
仕事のサボりがバレた瞬間4選 リモートワークは意外と見られている!
 近年では、リモートワークやフレックスタイムなどの制度が導入されて、数年前よりも働きやすくなりました。  一方で、自由...
真似から始まったファッションも、いつか体に馴染むもの
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...
年の差婚の弊害?夫の“昭和の価値観”を持つ息子の将来が不安すぎる件
 セックスレスやセルフプレジャー、夫婦の在り方などをテーマにブログやコラムを執筆しているまめです。  私の夫は10...
仕事のモチベが上がらない!30女40女のやる気スイッチをONにするテク
 どんなに好きな仕事でもモチベーションが上がらない時だってありますよね。気持ちが乗っていない時は、ミスしたり、時間が永遠...
この子を育てるのは無理かも…発達障害児がストレスで鏡に刻みかけた言葉
 ステップファミリー6年目になる占い師ライターtumugiです。私は10代でデキ婚→子ども2人連れて離婚→シングルマザー...
菜の花の小道で一触即発! 道を譲るのはどっちの“たまたま”
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
今夜は誰と出合おうか…人で溢れる街の隅っこに転がる心
 先に仮想世界(?)でお互いを見つけて、そこから顔を合わせるって最初は気まずくないのかな? と昭和の世代は思っちゃうけど...
水商売の水は流水説 夜の街で働くホステスやホストだけが当てはまるの?
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「女ことば」では、女性にまつわる漢字や熟語、表現、地...
2月相次ぐ地震で“南海トラフ”がトレンド入り 専門家の警戒する地震は?
 2月15日午前10時8分、京都府南部で震度3(マグニチュード=M3.7)の地震が発生。14日にも同じ場所で震度4(M4...
贈り物に「無理して喜ぶ」はNG行動 本当にイイ女は“感動コスパ”の猛者
 誰かに喜んでもらえるのって嬉しいですよね。そして小さな労力でたくさん喜んでもらえたら、もっと嬉しいですよね。それが“感...