大切な女の愛蜜に満ちたセックス、それでも「女風の経験は宝物です」#6

蒼井凜花 官能作家・コラムニスト
更新日:2023-06-30 06:00
投稿日:2023-06-30 06:00

これまでのあらすじ

 女性用性感「Z」で人気セラピストとして活躍するジンさん(仮名・32歳)。彼は本業であるIT業の傍ら、女風(女性用風俗)で働く兼業セラピストだ。

 新人研修を終えてデビューしたのち、お客様の口コミや高評価が功を奏し、順調に指名を得るようになった。自身では「SもMもできるスイッチャー」であることをプロフィール欄に加えたことで、S女のお客からの指名が入ったのだが、あまりの過激なプレイに体にひどい傷を負ってしまった。

 ある週末、結婚を考えているネイリストの彼女が、ジンさんの傷跡を見つけ「どうしたの、そのひどい傷?」と驚きの声をあげた。

 セラピストの仕事がバレることだけは、何としても避けたい。彼の運命は?

 待望のラスト――!

 前回までの話はコチラ→第1話第2話第3話第4話第5話

絶体絶命! 素人S女の客につけられた傷が本命彼女にバレた

――結婚を考えている本命の彼女に、傷跡が見つかってしまった。その後をお聞かせください。

「場所は彼女・ミホ(仮名/28歳ネイリスト)の自宅マンションでした。とっさに腕を隠しましたが、とても心配されましたね。

『会社の階段で転倒して…… 』と言ったのですが、『転倒しただけで、こんな傷は負わない』と納得してくれなくて……。

 でも、本当のことは言えるはずがありません。以前も言いましたが、女風の仕事を始めたのは、彼女が独立した際の開業資金のためでしたし、ミホと結婚したら女風の仕事はやめると決めていましたから。

 以下の会話はこのような感じです。

――ジン、最近変わったよね。LINEの返信も遅いし、残業も増えた……。おまけにそんなひどい傷を負って……とても不安。

――ごめん。前も言ったように、2人の結婚に向けて新しい仕事も手がけているんだ。ミホが自分のネイルサロンを持った時の開業資金も援助したい。今が頑張り時だって思ってる。ケガだって、ちょっと急いでいた時に転んだだけだから。

女風の件は墓場まで持っていく

 心の中で申し訳ないと思いつつ、冷静に言いました。

――本当に信じていい?

――ああ、信じて欲しい。

 真っすぐに彼女を見つめました。彼女を心から愛しているし、誰よりも大切にしたい女性だからこその嘘……。他の人が聞いたら『なんて身勝手な男』と思うかもしれませんが、女風の件は墓場まで持っていくつもりです」

蒼井凜花
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官能作家・コラムニスト
CA、モデル、六本木のクラブママの経歴を持つ異色の官能作家。近著に「CA、モデル、六本木の高級クラブママを経た女流官能作家が教える、いつまでも魅力ある女性の秘密」(WAVE出版)、「女唇の伝言」(講談社文庫)。
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