酸味の多重奏こそがおいしさの秘訣
すっかり定着したサバ缶ですが、ダンツマ界においてもしかり。
「単純に、簡単でおいしいですよね。水煮でもいいのですが、それだと当たり前でつまらない。味噌煮のほうが甘味があるので、そこに酸味と辛味を加えることで、どこかエキゾチックでおもしろい、でもプロっぽい料理になるんです」
おいしさの秘訣はレモンを皮ごと一緒に煮込むことだそう。「レモンは皮に香りがあるんです」と堤シェフ。さらには、レモンの酸味だけでなく、赤ワインビネガーを加えることもポイントです。
「酢と柑橘の酸味は別もの。それぞれの酸味があるからこそ、味わいに広がりが出るんです」
ひと口食べるごとに、甘くて酸っぱくて、そして後から辛さがやってきます。これは間違いなく酒を呼ぶ味ですね。
「柑橘系のホップの香りがあって、ちょっと苦味のあるしっかり系のクラフトビールが合うと思います」
【材料】
・サバの味噌煮缶 100グラム
・トマト水煮缶 200グラム
・セロリ 1本
・レモン 8分の1×2個
・ニンニク(みじん切り) 2分の1片(8グラム)
・オリーブオイル 大さじ1
・赤唐辛子(種を除く) 1本
・クミン 2つまみ
・赤ワインビネガー 小さじ2
・塩 適量
【レシピ】
1. セロリは葉と茎を分け、茎は斜め1センチ幅のざく切り、葉は3枚分を細かく刻む。クミンはフライパンで、から煎りにするかオーブンでローストする。
2. 鍋にオリーブオイルとニンニクと赤唐辛子を入れて弱火にかける。香りが出てきたらトマトの水煮と1のセロリの茎を入れて混ぜ合わせ、塩ひとつまみを加えて中火で煮る。
3. セロリに火が通ったら、サバの味噌煮を汁ごと加える。さらに1のクミンをひとつまみ、赤ワインビネガー、レモンを搾りながら汁を加え、皮も一緒に鍋に入れて煮る。
4. サバが温まったら器に盛り、残りのクミンをふり、セロリの葉を散らす。
本日のダンツマ達人…堤亮輔さん
▽つつみ・りょうすけ
1978年、熊本県生まれ。大学生のとき、居酒屋とイタリア料理店でのアルバイトを機に料理人を志し、中退して1年間イタリアへ。帰国後、辻調理師専門学校で学び、フランス料理店で3年間働いた後、イタリア料理へ。東京・駒沢「トゥ セイ グランデ」の料理長を経て、2013年に学芸大学に「オステリアバル リ・カーリカ」、15年に都立大学に「カンティーナ カーリカ・リ」、17年に学芸大学に「あつあつ リ・カーリカ」を開く。
▼あつあつ リ・カーリカ
東急東横線学芸大学駅から徒歩2分。イタリアの郷土料理をベースに、和のテイストも織り交ぜた創作料理と自然派ワインが楽しめるバル。わずか7坪の店内はカウンター12席とスタンディングのみ。
東京都目黒区鷹番2―20―4
℡080・4858・2233
18時~翌1時(LO) 不定休
(日刊ゲンダイ2018年11月28日付記事を再編集)
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