「膣おなら」の原因は?【医療専門家監修】性交渉や運動中に恥ずかしい…

コクハク編集部
更新日:2023-12-15 06:00
投稿日:2023-12-15 06:00
 彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、ちょっとした有名人。でもって、タヌキか妖怪の噂も囁かれるなか、健康に関する知識はズバ抜けている――。
 そんなえりのボスのもとにはウワサを聞きつけ、今日も悩みを抱えた女性が、ふらりと立ち寄ったようですよ。

1. 膣からおならみたいに空気が漏れる…!?

 今日は舞さん(32歳女性/仮名)から、質問をいただきました。

「実は、膣からおならみたいな空気が漏れることがあって…すごく恥ずかしいんです」

 言い出しにくそうに小さな声でつぶやいた舞さん。えりのボスは真剣な顔で相づちを打って聞いています。

性交渉中や運動中に、『ぷぅっ』って空気音が出るときがあって…。パートナーや周囲の人に聞こえているんじゃないかと思うと、耐えられません」

「俗にいう『膣なら(ちなら)』という現象ね」

「ち、ちなら?」

 耳慣れない単語にびっくりしている舞さん。

「専門的には、『クイーフ現象』というの。膣に入っていた空気が漏れ出るもので、生理現象だからとくに問題はないのだけれど…でも、他の人に聞かれると気まずいわよね! 私にも、経験があるわ」

 深刻そうにうなずいている舞さん。これは放っておけません!

2. どうして膣からおならが出るの?

「えりのさん、どうして膣からおならのような空気が出るんですか?」

「膣内に空間ができて、空気が入り込むことがおもな原因よ。出産や加齢などで骨盤底筋が緩むと、膣内の空間が広がりやすくなるの。そして、たまっていた空気がからだを動かしたタイミングなどに漏れ出てくるわけ」

「なるほど…。それじゃあ、肛門から出るおならとは、根本的に違うものなんですね?」

「ええ。おならは食事中に飲み込んだ空気や、胃腸で食べ物を消化するときに発生したガスが排泄される現象だから、完全に別物よ。

 おならは摂取する食品の種類や腸内環境の影響で臭くなる場合があるけれど、『膣おなら』にはニオイはないわ」

「無臭なんですね。少し安心しました」

 ホッと胸をなでおろす舞さんに、えりのボスは微笑みかけます。

「膣おならは誰にでも起こり得るものだし、完全に予防するのは難しいでしょうね。でも、骨盤底筋を鍛えることで、膣おならを減らせる可能性があるのよ」

「本当ですか!?」

「ええ。それじゃあまずは、膣おならがどういう仕組みで起こるのか、骨盤底筋の話と絡めて説明しましょうね」

3. 膣おならのメカニズムとは?

 膣や子宮、膀胱などの内臓は「骨盤底筋」という骨盤の底部に位置する筋肉によって支えられています。膣や肛門を引き締めたり、尿道を閉めて尿漏れが起こらないようにしたりするのが骨盤底筋の役割です。

 しかし、骨盤底筋の筋力が低下すると、膣のゆるみや尿漏れなどのトラブルが生じます。膣のゆるみによって内腔のスペースが広くなると空気が入り込み、結果として膣おならが出やすくなる場合も…。

 膣おならを減らすには、膣のゆるみを解消することが大切です。そのために、膣トレを日々の生活にとり入れて、骨盤底筋を鍛えていきましょう!

4. 今すぐできる簡単膣トレ

 膣おならが気になる人に向けて、簡単にできる膣トレを3つ紹介します。

 膣トレは一度きりでは効果が得られず、毎日継続していくことが大切です。自分に合った方法を選び、ふとしたときなどに何度も行っていきましょう。

4-1. 立った姿勢でできる膣トレ

 立った姿勢でできる膣トレです。自然に行える動作なので、家事の途中やオフィスでの休憩中などにもおすすめです。

(1)まっすぐに立ち、かかとをつけてつま先は90度の角度に開く。
(2)息を吐き、からだの力を抜く。
(3)ゆっくりと息を吸い、左右の内ももを合わせて肛門・尿道・膣を引き上げるイメージで締める。
(4)その姿勢を5秒保つ。
(5)ゆっくりと息を吐き、からだをリラックスさせる。

(1)~(5)を全体で30秒かけて行い、数回くり返しましょう。

4-2. 仰向けになって行う膣トレ

 寝た姿勢でできる膣トレです。朝起きたときや夜の就寝前などに習慣づければ、無理なく続けることができますよ。

(1)仰向けになって両足を肩幅に開き、ひざは曲げて立てる。
(2)全身をリラックスさせる。
(3)肛門・尿道・膣を閉めて、お尻をゆっくり上げていく。
(4)その姿勢を20秒ほど保つ。
(5)ゆっくり力を抜いて、からだを(1)の姿勢に戻す。

(1)~(5)を全体で1分ほどかけて行い、数回くり返しましょう。

4-3. いすに座ってできる膣トレ

 いすに座った状態で行う膣トレならこちら。オフィスワークの途中などでも、自然にとり入れることができます。

(1)背もたれのある椅子に深く座り、背もたれに軽く寄りかかる。
(2)(1)の姿勢を保って、10秒ほどかけて肛門・尿道・膣をじっくり引き上げていく。
(3)そのままの姿勢で5秒キープ。
(4)ゆっくりと力を抜き、全身をリラックスさせる。

(1)~(4)を全体で30秒かけて行い、数回くり返しましょう。

5. 毎日の膣トレで「膣おなら対策」をしよう!

「えりのさん。膣おならや膣トレのこと、いろいろ教えてくれてありがとうございました。今日からさっそく、膣トレを始めてみたいと思います!」

 晴れやかな表情で感謝の気持ちを伝える舞さん。えりのボスも思わず笑みがこぼれます。

「継続は力なり、よ。骨盤底筋を鍛えておくと、膣おなら対策だけじゃなくて尿漏れの予防にもなるから。ぜひ毎日続けてみてね!」

「はい」

「おまけのワンポイントアドバイスだけれど。性交渉のときにはどうしても膣内に空気が入り込みやすくなるから、膣おならが出ることもあるわ。

 パートナーの動きをゆっくりにしてもらえれば、膣おならも軽減されるはずよ」

「わかりました、相談してみます」

 安心した表情でサロンを去っていく舞さんを、えりのボスは明るく送り出しました。

「また気になることがあったら、いつでもサロンへいらっしゃい」

 今日もまた、悩めるムスメに寄り添うえりのボスなのでした。

★サロン「コクハク」のオーナー えりの

 顔と口調は若いものの、年齢不詳。タヌキか妖怪の噂も囁かれる謎めいた主人だが、ココロやカラダ、健康に関する知識はズバ抜けており、何気にハイスペック。ムスメ時代に苦労してるため、自分より“後輩”の女にはしあわせになって欲しいと願っている。愛称は、えりのボス。

(漫画/腹肉ツヤ子

  ◇  ◇  ◇

<この記事の監修者>

あんしん漢方薬剤師 中田 早苗(なかだ・さなえ)

 デトックス体質改善・腸活・膣ケアサポート薬剤師・認定運動支援薬剤師。病院薬剤師を経て漢方薬局にて従事。症状を根本改善するための漢方の啓発やアドバイスを行う。健康・美容情報を発信するMedical Health -メディヘルス-youtubeチャンネルでは、お薬最適化薬剤師として「無駄な服薬はお財布と体の敵!」をモットーに薬の最適な選び方を解説する動画を公開中。症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。

「あんしん漢方」を詳しく見てみる

YouTube「Medical Health CH」

コクハク編集部
記事一覧
コクハクの記事を日々更新するアラサー&アラフォー男女。XInstagram のフォローよろしくお願いします!

ビューティー 新着一覧


ついつい雑になりがち? 意外と知らない“正しい洗顔”の方法
 洗顔は当たり前に毎日すると思います。歯を磨いたり髪をとかしたりするのと同じで、何げない日常の一部になっていますよね。で...
ビューティークレンジングバームで大人の毛穴ケア!60秒でメイクオフの効果は?
 女性誌で話題の「ビューティークレンジングバーム」ってご存知ですか?メイク落ちの良さはもちろん、毛穴悩みまで改善させてく...
かわいい系からキレイ系にシフトする手っ取り早い4つの方法
「童顔って言われることが多かったのに、気がついたら年相応に見られることが多くなった」 「ガーリーなものが大好きだったけ...
七海 2019-12-04 06:00 ビューティー
乾燥対策は12月から! ボーナスで買って損しない美容家電3選
 例年、冬の乾燥警報は12月から増えていきます。たかが乾燥、されど乾燥。加齢とともに敏感になる女性の肌には、乾燥は大敵で...
ダイソー「URGLAM」4点を紹介! 秋冬メイクを100円均一で
 100円均一で買えるなんて信じられないくらい、アイテムがオシャレなダイソーコスメ「URGLAM」。ちょうど購入予定だっ...
腫れぼったさゼロ!「涙袋×ピンク」でモテる瞳のつくり方
 ツンとしたおすまし顔をしていても、まるでニコッと微笑んでいるように見せてくれるのが涙袋メイク。  けれど、白いアイシ...
ほっそり長い脚に見せたい!コンプレックス別ブーツの選び方
 寒くなり、朝夕は息が白くなる季節になりました。防寒対策としても、お洒落としても、ブーツを導入し始めている人は多いのでは...
七海 2019-11-30 06:00 ビューティー
毛の悩みとサヨナラ! 医療脱毛のアレコレを専門医に聞いた
 脇だけ脱毛を済ませたのですが、お手入れが劇的に楽になったので、他の部位も医療脱毛をしようか迷い中。でも医療脱毛ってどん...
エイジングケア専門医が語る「セックスと美容」の良い関係
 モデルやレースクイーンの経験を持ち、40歳で“奇跡のグラドル”として活動したり2019年はラスベガスで開催された「Mr...
2021-12-21 16:23 ビューティー
いくつ実践? セルフで“美バスト”を育む効率的なポイント3つ
 彼が女性らしさを感じる大切なパーツに、“胸”は欠かせません。「胸に自信を持ちたい!」「美バストになって、彼に喜んでもら...
化粧水はコットンと手のどっちがいい? 肌の水分量UPの方法
 洗顔後に化粧水を付ける時、コットンでつけるか、手でつけるか迷ったことがある方は多いでしょう。実際のところ、どちらが正解...
湿度が低い日も怖くない!デート前の「くせ毛」を時短で救う
 くせ毛の女子にとって、広がりやパサつきが気になる日のデートは、頭を抱えがちなシチュエーション。 「今日に限って、髪が...
小顔整形って? エラを小さくする「3つの方法」を詳しく解説
 プチ整形、アンチエイジング……気になるけれど、敷居が高くてよくわからない、そんなお悩みを抱えている方も多いのでは? コ...
妊娠線予防は?髪型は?プレママに役立つ産前産後の美容知識
 プレママ期間は赤ちゃんを迎える準備や妊婦検診など、何かと忙しい時期。気づけば自分のことは後回しになってしまっていません...
肌に優しいから安心スキンケア! お守り的な基礎化粧品4選
 肌が強くないので、合わない化粧品を使うと赤くなったり、吹き出物ができてしまうのが悩みのタネ。もしもトラブル肌になっても...
そのヒール…本当に似合ってる? 美脚のための選び方のコツ
 美脚になりたくてハイヒールを履いているのに、ガラスに映った自分の歩く姿に、ギョッとしたことがある方はいませんか? 「デ...
七海 2019-11-19 06:00 ビューティー