そんなえりのボスのもとにはウワサを聞きつけ、今日も悩みを抱えた女性が、ふらりと立ち寄ったようですよ。
1. 最近ふらついてしまうことが多い
きょうは、菜摘さん(33歳女性/仮名)からのご相談です。
「最近、ふらついてしまうことが多いのが悩みなんです。座った状態から立ち上がったあととか、朝起きて歩きはじめるときとかにふらついて、倒れそうになるんです」
菜摘さんは、ため息をついて話します。
「1日に何回もふらつきがあるの?」
「そうですね。立ち上がって歩き出す度にあると言ってもいいくらい、毎回ある気がします」
これは放っておけません!
2. ふらつきの原因
「ふらつきの原因はさまざまあるの。大きく分けると、脳の病気や内耳の病気、自律神経の乱れなどがあるわね」
「ふらつきの原因ってそんなにたくさんあるんですね。脳の病気だったらどうしよう」
「脳の病気であれば、ふらつきだけじゃなく、激しい頭痛や手足の麻痺、言語障害、舌のもつれなどの症状もみられるわ。
ちなみに、内耳の異常で起きるメニエール病の場合は、吐き気、回転性もしくは浮動性めまい、平衡感覚の異常、難聴の症状が起きるわ。菜摘さんはどんな感じ?」
「そうですね。ふらつき以外の症状はとくにないです。めまいとか難聴もなければ、激しい頭痛とか舌のもつれもありません」
「であれば、自律神経系の起立性低血圧症か、自律神経失調症かもしれないわね」
「もしそうだった場合、病院で診断してもらえるのでしょうか?」
「そうねぇ。もし脳の検査や耳の検査をして異常がないと診断された場合は、自律神経の乱れと診断されるかもしれないわ。
ただし、異常なしという結果だけで終わってしまうこともあるわ。どちらにせよ、早めに病院にいった方が安心ね」
3. 異常なし?実は自律神経に原因があった
病院で検査をして異常なしと言われた場合のふらつき原因は、自律神経の可能性があります。
自律神経が乱れることで起きるふらつきには「自律神経失調症」「起立性低血圧症」があります。
脳の検査や内耳の検査をしても、自律神経に問題がある場合は脳や内耳には異常がないため原因がわからないと言われるのです。
自律神経失調症とは、自律神経の乱れによりさまざまな体調不良を起こしている状態をいいます。
ふらつきだけでなく、頭痛や肩こり、動悸や不整脈、多汗など、あらわれる症状は多岐です。
一方の起立性低血圧症は、自律神経が一時的に働かなくなり、急激に立ち上がった際に下半身に血液が集中して脳の血流が少なくなることで不調が起きます。
ふらつきや立ちくらみ、ひどいケースでは意識を失うこともあります。
4. 自律神経を整える5つのポイント
自律神経を整える方法は普段の生活にあります。
自律神経を整えるための過ごし方のポイントを5つ紹介するので、できることからはじめていきましょう。
4-1. 睡眠のリズムを作る
睡眠のリズムが崩れると自律神経のバランスが乱れるため、予め、就寝時刻と起床時刻を決めるようにしましょう。
ただし、仕事や育児などで一定の睡眠時間を保つことが難しい方もいるでしょう。そのような方は、起床後に朝日を浴びるのがおすすめです。朝日を浴びることで体内時計がリセットされます。
4-2. 軽めの有酸素運動を習慣にする
ウォーキング、ジョギングといった軽めの運動は、自律神経のバランスを整えてくれます。
運動中は交感神経が優位になりますが、運動後は副交感神経が優位になるため、乱れたバランスを整えてくれる効果が期待できるのです。
また、運動はストレスを発散する効果もあるため、過度なストレスによって自律神経を乱すのを予防できます。
4-3. リラックスタイムを作る
まったりと自分の時間を過ごす、アロマを炊く、映画を観るなど、自分がリラックスできる時間を作ることも大切です。
過度なストレスやストレスの蓄積は、交感神経を優位にし続けます。
寝る前や仕事の休憩時、お風呂タイムなどは、ぜひリラックスできる時間にしてください。
4-4. ぬるめのお湯にゆっくり浸かる
ぬるめのお湯にゆっくり浸かると心身の緊張がほぐれ、副交感神経を優位にしてくれます。
また、心身がリラックスすることから睡眠の質も上がります。
副交感神経を優位にすること、睡眠の質を上げることは、自律神経のバランスを整えるために重要なことなので、試してみてください。
4-5. 軽いストレッチで筋肉をゆるめる
血流の悪さは自律神経の働きに悪影響を及ぼすため、軽いストレッチで筋肉をゆるめましょう。
たとえば、デスクワークが多い方は首や肩がこりやすいので、こまめに腕を回したり、片手で首を左右の肩に引き寄せるようにしたりするといいです。
5. ふらつき対策には漢方薬もおすすめ
自律神経の乱れからくるふらつきは、漢方薬で対策できることがあります。
ただし、漢方薬は体質に合ったものでなければ効果が得られず、また副作用のリスクを上げるため、自分で選ばず詳しい専門家に選んでもらいましょう。
運動などを毎日続けるのは苦手、睡眠サイクルがどうしても整えられないという方も、症状や体質に合った漢方薬を毎日飲むだけなので、手間なく気軽に継続できます。
自律神経の乱れからくるふらつきについて悩む女性におすすめの漢方薬をご紹介します。
5-1. 加味逍遙散(かみしょうようさん)
「気(エネルギー)」を巡らせて過剰な熱を冷ますことで自律神経の乱れを整えます。
肩がこり、疲れやすく、不安やイライラなどの情緒不安定や便秘傾向の人に。冷え症、月経不順、月経困難、更年期障害などにも用いられます。
5-2. 柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
「気(エネルギー)」を巡らせることで、たまった熱を冷まして気持ちを落ち着かせます。ストレスによる精神症状や動悸、更年期神経症などに用いられます。
5-3. 半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
喉や胸部に滞った気を取り除き、精神の緊張をゆるめます。気分がふさぎ、喉や食道部に異物感があり、動悸やめまい、嘔気などのある人に。
不安神経症、神経性胃炎、咳、しわがれ声などにも用いられます。
漢方薬が自分の体質に合っているのかを、スマホで気軽に漢方の専門家に相談できるオンライン個別相談もあります。スマホで完結できるので、対面では話しづらいことも気軽に相談が可能です。
6. 自律神経を整えてふらつきを改善しよう
「今日はたくさん相談に乗ってくださりありがとうございました! ふらつきの原因が自律神経の乱れも関係しているとは思いませんでした」
「そうよね。自律神経のバランスはストレスや体内時計の乱れ、血行不良などが原因になるから、リラックスタイムを作ったり漢方薬を飲んだりして対策してね」
「はい! ぜひそうします。ありがとうございました!」
菜摘さんは嬉しそうに答えました。
「またなにか悩みごとがあったら、いつでもサロンにいらっしゃい」
えりのボスは、すっきりした様子の菜摘さんの後ろ姿を、笑顔で見送りました。
★サロン「コクハク」のオーナー えりの
顔と口調は若いものの、年齢不詳。タヌキか妖怪の噂も囁かれる謎めいた主人だが、ココロやカラダ、健康に関する知識はズバ抜けており、何気にハイスペック。ムスメ時代に苦労してるため、自分より“後輩”の女にはしあわせになって欲しいと願っている。愛称は、えりのボス。
(漫画/腹肉ツヤ子)
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<この記事の監修者>
あんしん漢方薬剤師 中田 早苗(なかだ・さなえ)
デトックス体質改善・腸活・膣ケアサポート薬剤師・認定運動支援薬剤師。病院薬剤師を経て漢方薬局にて従事。症状を根本改善するための漢方の啓発やアドバイスを行う。健康・美容情報を発信するMedical Health -メディヘルス-youtubeチャンネルでは、お薬最適化薬剤師として「無駄な服薬はお財布と体の敵!」をモットーに薬の最適な選び方を解説する動画を公開中。症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。
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